こんにちは。中小企業財務コンサルを専門としております行政書士・1級FP技能士・銀行融資診断士®の本間です。
「売上はあるのに資金繰りが苦しい」「キャッシュフローが不安定で銀行にどう見られているか心配だ」──多くの中小企業の社長が直面する悩みです。
その解決のカギとなるのが CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)。
資金が企業の中でどれくらいの期間眠っているかを示す指標で、資金繰り改善や銀行評価にも直結します。
本記事では、CCCの基本から、入出金サイト交渉や在庫管理といった実務的な工夫、そして銀行がどう評価するかまでを整理します。
CCCの基本原則とは?
CCCは、企業が仕入れた資材や商品が売上となり、最終的に現金として戻るまでのサイクルを表す指標です。
式で表すと:
CCC =在庫回転期間+ 売掛金回収期間- 買掛金支払期間

つまり、
- 在庫を早く回す
- 売掛金を早く回収する
- 買掛金の支払いを遅らせる
この3つの工夫でCCCは短くなり、キャッシュフローは安定します。
ただし、これは「理想形」。実際の中小企業の現場では、この原則をそのまま適用できない事情も少なくありません。
入金を早くする工夫(売掛金回収サイト短縮)
「月末締め翌々月末払い」という慣行は、実質60日のサイト。中小企業にとっては大きな資金負担です。
そこで実務では、
- 回収サイト短縮の交渉:「翌月末払いを翌月20日に変更」など
- 月2回締めへの変更:資金回収を早める
- 早期決済割引の導入:「10日以内の入金なら2%値引き」
といった工夫が行われています。
ファクタリングは非常手段
売掛金を早期に資金化できるファクタリングもありますが、手数料が3〜10%と高いのが難点。
短期的に資金ショートを回避するには有効でも、常用すると利益を削ってしまいます。
私は顧客企業には「原則として勧めない」「どうしても必要な場合の最後のカード」と説明しています。
出金を遅くする工夫(買掛金支払サイト延長)
仕入先への支払いも、工夫次第で資金繰りが改善できます。
ただし、無理な要求は信用を失うため「信頼関係を前提とした交渉」が必須です。
実務的には、
- 月末払いを翌月10日払いに延長
- 支払回数を月2回から月1回に減らす(資金繰りの山谷を平準化)
- 取引量を増やす・長期契約を結ぶなど、仕入先にとってのメリットを提示して交渉
といった工夫が行われています。
「長年の付き合いだから」「取引を増やすから」といった信頼関係が支払いサイト交渉の裏付けになります。
在庫は早く換金する──でも「例外」もある
在庫を減らせば資金繰りは楽になります。倉庫代も減り、廃棄リスクもなくなる。
しかし中小企業の現場では「在庫をあえて持つ」ことが合理的な場合もあります。
在庫を抱えるメリット例
- 価格変動リスクを回避
鉄や銅など素材価格が上昇するとき、安い時期に仕入れて在庫を確保する方が得策。 - 一括仕入によるコストダウン
「100個買えば単価が下がる」条件に応じることで、長期的に利益を守れる。 - 安定供給が信頼につながる
顧客から「いつでも出せる会社」と認識され、競争力になる。 - 仕入れ機会が限られる場合
輸入品や職人の限定品は「そのとき買わなければ手に入らない」ため、まとめ買いが必要。
つまり、在庫は「無条件で減らせばよい」というものではなく、戦略的に持つかどうかが大切です。
その際は、保管コストや長期在庫リスクも考慮することは言うまでもありません。
銀行はCCCをどう見ているか?
銀行は企業審査の際、損益計算書の利益だけでなく「資金の流れ」を重視します。
特にCCCは以下の観点から評価されます。
- 売掛金回収が遅い企業は「資金繰りリスクが高い」と見なされる。
- 買掛金支払が極端に遅い企業は「取引先との関係が不安定」と警戒される。取引先から見たら、資金繰りが苦しくて払ってもらえないおそれから、取引を敬遠されるリスクあり。
- 在庫が過大な企業は「資金を寝かせている」と判断される。
一方で、在庫を戦略的に抱える理由や、支払条件の妥当性を経営者が説明できれば評価は変わります。
銀行担当者は「数字の動きを把握し、資金をコントロールできている経営者か」を見ているからです。
まとめ
CCCの短縮は「資金繰り改善の三原則」として明快ですが、現場では、
- 売掛回収サイト短縮(ただしファクタリングは非常手段)
- 買掛支払サイト延長(信頼関係を前提に交渉)
- 在庫管理(減らすだけでなく戦略的に持つ場合もある)
- 銀行からの評価(資金繰りを説明できる経営者が強い)
という複雑な判断が求められます。
資金繰りは数字の理屈だけでは動きません。取引先との関係や業界慣習、銀行との対話など、実務的な工夫が必要です。
中小企業の社長にとっては、「原則」と「現実」の両方を理解し、資金繰りを安定させる意思決定をすることこそが、経営の基盤を強くする第一歩です。
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