こんにちは。中小企業財務コンサルを専門としております行政書士・1級FP技能士・銀行融資診断士®の本間です。
今回は、中小企業にとって「経常利益」がなぜ会社の命綱となるのか、その重要性と具体的な目安、そして改善のための実践策について整理します。
経常利益が会社の「命」と呼ばれる理由
経常利益とは、本業の儲けに金融収支を加えた、いわば「企業の体力」を示す指標です。
中小企業にとって、経常利益は単なる会計数値ではなく、銀行融資の返済原資であり、倒産を回避するための最後の砦でもあります。
赤字が続けば資金繰りは行き詰まり、いくら売上があっても手元資金が枯渇すれば会社は存続できません。
その意味で、経常利益は経営者が最も重視すべき数字といえるのです。
経常利益の目安|金額と利益率
では、どの程度の経常利益を目指すべきでしょうか。一般的な基準として次の2つが挙げられます。
- 金額ベース:1,000万円以上
- 利益率ベース:最低でも2%以上
製造業や卸売業など利益率が低めの業種では、年商3〜5億円程度でようやくこのラインに届きます。
サービス業のように利益率が高い業種なら、年商2億円前後でも達成可能です。
重要なのは、自社に合った「最低ライン」を設定し、下回らないように管理することです。
保証協会付き融資からプロパー融資へ
この水準(経常利益1,000万円超・利益率2%以上)を安定的にクリアしている企業は、保証協会付き融資からプロパー融資へ切り替える可能性が出てきます。
- 保証協会付き融資は、信用保証協会がリスクを肩代わりしてくれるため借りやすい反面、枠に限界があり将来の借入余力を圧迫します。
- 一方、プロパー融資は銀行が自らリスクを負うため審査は厳しくなりますが、信用力の証明となり、条件面での柔軟さも期待できます。
銀行は「返済原資が十分にあるか」を最も重視します。
そのため、経常利益が安定的に1,000万円を超え、かつ利益率も2%以上確保できている会社は、銀行から「保証協会に依存せずとも返済可能」と評価されやすくなるのです。
税理士と銀行員の視点の違い
ここで注意したいのが、税理士と銀行員の経常利益に対する視点の違いです。
- 税理士の視点:節税を重視し、利益を圧縮して税負担を軽減することを優先しがち。
- 銀行員の視点:融資の返済能力を重視し、利益が少なければ「返済できない会社」と評価する。
経営者は両者のバランスをとる必要があります。節税に偏れば銀行評価が下がり、融資が受けられないリスクがあります。
逆に利益を過剰に計上すれば税金が重くのしかかります。
したがって、「銀行が安心してプロパー融資を出せる水準」を意識した利益確保が肝心です。
経常利益が出ない典型的な原因
経常利益が出ない会社には、共通する落とし穴があります。代表的なのは次の3つです。
- 売上があっても利益が残らない
過度な値引きや価格転嫁の失敗により、売上が伸びても粗利が確保できないケースです。 - 金融費用に圧迫されている
借入金が過大で、支払利息が利益を食いつぶしている状況です。金利上昇局面では特に注意が必要です。 - 一時的な収益に依存している
補助金や資産売却益に頼った利益は持続性がなく、翌期以降に赤字転落する危険性があります。
改善のための具体的アプローチ
では、どうすれば経常利益を安定的に確保できるのでしょうか。
重要なのは、「構造的に黒字を生み出す仕組み」をつくることです。
1. 損益分岐点分析を活用する
損益分岐点とは、売上高と費用がちょうど一致する点です。ここを把握することで、
- 「どの程度の売上を確保すれば黒字になるか」
- 「固定費を下げればどの程度余裕が生まれるか」
を具体的に検討できます。
2. 精度の高い経営計画を立てる
利益は偶然に生まれるものではありません。売上目標、経費の見積もり、投資計画を含めた経営計画書の作成が不可欠です。
銀行に対しても「計画と実績を比較し、改善を続けている会社」は高く評価されます。
3. 借入の見直しをする
一本化で利息負担を軽減したり、長期化で月々の返済額を抑えて資金繰りの余裕を作る。
ただし長期化は総利息が増える可能性もあるため、資金繰りと利益のバランスを見極めた判断が必要です。
銀行交渉においても、資金繰り表を用いて「返済可能性」を論理的に示すことが大切です。
まとめ:経常利益を守ることが会社を守ること
経常利益は、会社が存続し成長するための「命」です。
目安として 1,000万円以上・利益率2%以上 を意識し、損益分岐点分析と計画的経営によって安定的に黒字を生み出す仕組みを構築しましょう。
そして、この水準をクリアすれば 保証協会付き融資に頼らず、プロパー融資への切り替えが視野に入る という大きなメリットも得られます。
経常利益を守ることは、会社を守ることそのものなのです。
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