こんにちは。中小企業財務コンサルを専門としております行政書士・1級FP技能士・銀行融資診断士®の本間です。
「銀行は何行と付き合うのが正解なのか?」―これは中小企業の経営者がよく抱く疑問です。
複数行と取引しておけば安心と考える社長もいれば、「うちは一本主義だから大丈夫」と考える社長もいます。
しかし実際には、銀行取引は多すぎても少なすぎてもリスクがあります。
今回は「複数行取引の落とし穴」という切り口で、銀行を増やしすぎる弊害と最適な数について解説します。
銀行を増やすメリットとその裏側
複数行と取引するメリットは、資金調達のリスク分散です。もしメインバンクに断られても、他の銀行に相談できる。これは確かに安心材料です。
ただし、行数を増やしすぎると次のような落とし穴に陥ります。
- 与信が分散する:借入残高が散らばると、どの銀行からも「メイン扱い」されず、いざというときの支援が得にくい。
- 融資枠が小さくなる:1行あたりの融資額が少なくなり、大口資金需要が出ても「対応できません」と断られやすい。
- 信用が薄まる:銀行は「自分をどれだけ頼ってくれているか」を重視します。均等に借りていると「信頼されていない」と感じられ、結果として親身な対応をしてもらいにくくなります。
ありがちなシナリオ
仮に、ある製造業の会社が「銀行は多い方が安心だ」と考え、信用金庫2行、地銀2行、日本政策金融公庫、商工中金と、合計6行と取引していたとしましょう。
一見すると強固な体制に見えますが、業績が悪化した際には「うちはメインではない」とどの銀行からも判断され、追加融資を取り付けることができませんでした。
結果的に、行数を増やすことで逆に支援を受けられなくなるという典型的な失敗に陥る可能性があります。
一行依存も危険
逆に「うちはこの銀行一本だから安心」という一行主義もリスクがあります。
- 支店長の異動や銀行方針の変更で融資姿勢が一変することがある。
- 業績が悪化した際に「NO」と言われれば、他に頼れる先がない。
- 条件交渉で不利になる:例えば「金利を0.2%下げてほしい」「担保を外してほしい」と要望しても、他行が存在しなければ競争原理が働かず、銀行側の言い値を受け入れざるを得なくなります。
したがって、複数行を持つこと自体は必要ですが、数が多すぎても少なすぎても危険なのです。
年商規模ごとの最適な銀行数
では、会社の規模に応じてどのくらいの銀行数が適切なのでしょうか。目安は以下の通りです。
- 年商3億円まで:2~3行
- 年商3~5億円:3~4行
- 年商5~10億円:5~6行
これ以上増やすと管理が煩雑になり、どの銀行からも「本気で支援する相手」と見てもらえなくなります。
逆に少なすぎると、緊急時に資金調達の選択肢がなくなります。
複数行を持つ際のポイント
重要なのは「役割分担」を明確にすることです。
- メインバンク:日常の資金繰りや長期融資の中心。経営計画や決算内容を共有し、信頼を積み重ねる。
- サブバンク:保証協会付き融資や季節資金をお願いしつつ、将来のメイン候補にもなる存在。
- 政策金融機関(日本公庫・商工中金):創業期や危機対応、再生支援など、民間銀行では難しい案件を補完。
このように役割を分けることで、銀行側も「自分の立ち位置」を理解しやすくなり、関係性がスムーズになります。
銀行取引数ごとのメリット・デメリット表
銀行数ごとのメリット・デメリットを整理すると次の通りです。
| 銀行数 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 1行のみ | 管理がシンプル。信用を集中できる。 | 方針変更で一気にリスク。条件交渉で不利。 |
| 2~3行 | バランスが良い。競争原理が働く。緊急時の選択肢も残る。 | 行数管理の手間が少し増える。 |
| 4~6行 | 大きな資金需要に対応可能。関係を広げられる。 | 与信が分散し「どこもメインではない」と見られやすい。管理が煩雑。 |
| 7行以上 | 表面的には安心感が大きい。 | 支援が希薄化し、緊急時にどこも動いてくれない。事務負担も過大。 |
まとめ
銀行を増やしすぎると「どこからもメイン扱いされない」という落とし穴に陥ります。
一方、一行依存では、交渉力を失い、金利や担保条件で不利になるリスクがあります。
最適なのは、メイン1行+サブ1~2行を基本とし、年商規模に応じて3~6行へと適切に広げていくことです。
銀行を資金調達の相手としてだけでなく、経営を共に支えるパートナーと位置づけることが、安定した資金繰りと成長のカギとなります。
そして何より、金融機関との関係づくりは、短期の資金調達だけでなく、中長期の成長戦略を実現する土台になるのです。
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