こんにちは。中小企業の財務コンサルを専門としております行政書士・1級FP技能士・銀行融資診断士®の本間です。
銀行は企業を評価する際、まず 「一次評価(定量評価)」 を行います。
これは決算書をもとにした13種類の財務指標を点数化し、数値で企業の体力を測る仕組みです。
一覧すると次の通りです。
一次評価で用いられる13指標
安全性(34点)
1. 自己資本比率 = 自己資本 ÷ 総資産 ×100
2. ギアリング比率 = 負債合計 ÷ 自己資本 ×100
3. 固定長期適合率 = 固定資産 ÷(固定負債+自己資本)×100
4. 流動比率 = 流動資産 ÷ 流動負債 ×100
収益性(15点)
5. 売上高経常利益率 = 経常利益 ÷ 売上高 ×100
6. 総資産経常利益率 = 経常利益 ÷ 総資産 ×100
7. 当期利益の推移(3期連続黒字で加点)
成長性(25点)
8. 経常利益増加率 =(当期経常利益-前期経常利益)÷ 前期経常利益 ×100
9. 自己資本額(1億円以上で高評価)
10. 売上高(1億円以上で加点、5億円以上で高評価)
返済能力(55点)
11. 債務償還年数 =(借入金総額-経常運転資金)÷(経常利益+減価償却費-法人税)
12. インタレスト・カバレッジ・レシオ = 事業利益 ÷ 金融費用
13. EBITDA = 営業利益+減価償却費
これら13指標はすべて数値化され、合計で55点以上ならプロパー融資の対象、60点以上なら金利引き下げや連帯保証解除も可能になります。
つまり、社長が日々の経営で意識すべきことは、この13の評価項目を改善・維持していくことに他なりません。
以下では、それぞれの評価軸に沿って、日常の経営で注意すべきポイントを整理します。
1. 自己資本を厚くする努力を怠らない
一次評価で最も重視されるのは「自己資本比率」です。
自己資本は返済不要の資金源であり、会社の安定基盤を示します。
自己資本比率が30%を超えると一定水準、60%以上であれば満点評価です。
そのためには「利益をしっかり残して内部留保を厚くする」ことが何より大切です。
役員報酬や過大な投資に資金を回す前に、まずは利益を積み上げることを心がけましょう。
2. 借入の返済年数を短く保つ
銀行は「貸したお金が返ってくるか」を最重要視します。
その判断基準が「債務償還年数」です。
中小企業の平均は13年程度ですが、9年以内を目指したいところ。
日常的には、安易に追加借入を増やさず、利益を確保することで返済年数を短縮していくことが必要です。
返済余力を持つ経営こそ、銀行からの信頼につながります。
3. 利益は「経常利益」で見る
銀行が最も重視する利益は「経常利益」です。
営業外費用である利息を支払った後に残る利益であり、まさに会社の総合力を示す数値です。
「黒字だから大丈夫」ではなく、「経常利益が黒字か」を必ず確認してください。
営業利益が赤字であれば、融資審査は原則不可です。
4. 短期資金繰りを安定させる
「流動比率」は短期の支払い能力を示す指標です。200%超が理想、140%以上が目安です。
日常的には、売掛金の回収サイト短縮、棚卸資産の適正化、買掛金の支払サイトの調整など、キャッシュサイクルを常に意識しましょう。
資金繰り表を月次で作成することが、最も実践的な改善策です。
5. 設備投資は長期資金でまかなう
「固定長期適合率」は、固定資産が安定した資金(自己資本や長期借入金)で賄われているかを評価する指標です。
100%以内が理想です。
社長が注意すべきなのは「短期借入で設備投資をしない」こと。
短期資金で設備を購入すれば、資金繰りが一気に不安定になります。
設備投資は必ず長期資金で調達するのが鉄則です。
6. 売上と利益のバランスを意識する
銀行は売上高もチェックしますが、それ以上に「経常利益の増加率」を重視します。
売上が伸びても利益が減っていれば評価は下がります。
価格転嫁やコスト削減を行い、売上と利益の両輪で成長することが重要です。
「売上が増えても赤字では意味がない」ことを常に意識しましょう。
7. 日常的にできる行動習慣
指標を改善するには、決算のときだけでなく日常的な習慣が欠かせません。
- 月次決算を行い、利益の状況をタイムリーに把握する
- 資金繰り表を更新し、手元資金を常に見える化する
- 売掛金回収・在庫管理を徹底し、キャッシュを早く手元に戻す
- 借入返済スケジュールと利益水準を照らし合わせ、無理のない返済計画を組む
- 設備投資や大規模支出の前に、資金余力を必ず確認する
これらを習慣化するだけで、銀行評価は確実に改善していきます。
まとめ
銀行の一次評価(定量評価)は、13の指標を用いて企業の安全性・収益性・成長性・返済能力を点数化する仕組みです。
中小企業の社長が日々注意すべきなのは、自己資本を厚くする、経常利益を安定的に確保する、資金繰りを健全に保つ ことです。
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