こんにちは。中小企業の財務コンサルを専門としております行政書士・1級FP技能士・銀行融資診断士®の本間です。
「主力事業の将来性に不安がある」——多くの中小企業の社長が一度は抱く悩みです。
売上の大半を占める事業に陰りが見えたとき、資金繰りや雇用、取引先との関係に直結するため、不安は尽きません。
しかし、闇雲に新規事業に飛び込むのも危険です。
大切なのは、冷静に財務的な視点で状況を把握し、未来に備えることです。
主力事業が抱える典型的な不安
中小企業の社長からよく聞く「主力事業への不安」には、次のようなものがあります。
- 市場縮小の不安:顧客の高齢化や業界全体の縮小
- 価格競争の激化:安売り競合の台頭による利益率低下
- 技術の陳腐化:製品やサービスが時代遅れになるリスク
- 取引先依存の偏り:特定顧客に売上の大半を依存している不安
これらは単なる「気持ちの問題」ではなく、将来のキャッシュフローに直結する重大リスクです。
財務の視点で可視化しておく必要があります。
まず取り組むべきは「数字での見える化」
将来性の不安に対処する第一歩は、「感覚」から「数字」への転換です。
- 売上依存度分析
取引先ごとの売上構成を確認し、上位3社で何割を占めているかを把握します。依存度が高いほど、リスクも高まります。
- 利益率の変化の確認
過去3年の粗利率・営業利益率を比較し、下がっていないかをチェック。小さな変化も将来の兆候です。
- CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)
売掛金回収期間+棚卸資産回転期間-買掛金支払期間。この数値が延びている場合、資金繰りが苦しくなるサインです。
- 固定費比率の確認
売上が減っても変わらない費用(人件費・家賃など)がどれくらいあるか。将来リスクを考える上で重要です。
不安を「資金面」でコントロールする方法
主力事業の不安は、すぐに解決できない場合がほとんどです。だからこそ、資金面での備えが必要になります。
- 運転資金の余力を確保
最低でも月商の2〜3か月分の現預金を確保しましょう。これが「時間的な猶予」を生みます。
- 銀行融資で安全余裕を持たせる
将来性に不安があるときこそ、黒字のうちに資金調達を。銀行は赤字に入ってからでは貸してくれません。
- 借入金を一本化して整理する
複数の金融機関や短期借入を抱えている場合、それぞれに返済日や金利条件が異なると資金繰りは複雑化します。一本化することで返済スケジュールを整理でき、無駄な支払利息を削減できる可能性があります。
- 運転資金は短期継続融資でまかなう
運転資金を「1年借りて1年で返済」という形にすると、期日到来のたびに大きな返済負担が発生します。銀行との信頼関係が築けていれば、短期継続融資(リボルビング型)を利用し、期日ごとに元本を返済せずに更新する方式を検討できます。これにより、返済に追われず資金を安定的に確保できます。
将来に向けた「選択肢」を広げる
資金繰りの備えを整えたうえで、次は「将来への布石」を打つ段階です。
ここでは 「新規事業の実験投資」 と 「既存事業の磨き上げ」 に注力することが現実的です。
新規事業の実験投資
新しい柱を育てるには、大きな投資よりも「小さな実験」を積み重ねることが重要です。
- 小規模から始める:いきなり新工場や大規模設備投資ではなく、既存設備や外注を活用して試作やテスト販売から着手する
- マーケットを検証する:売れるかどうかは市場に出してみないと分かりません。展示会やECサイトなどで反応を確かめる
- 撤退基準を明確に:成功すれば拡大し、成果が出なければ早期撤退。資金の消耗を防ぐために「損切りライン」を最初に決めておく
このような実験型アプローチを取れば、リスクを最小限に抑えつつ将来の芽を育てることができます。
既存事業の磨き上げ
主力事業に不安を感じたとき、多くの社長は「新しいことをやらねば」と考えがちです。
しかし、実は既存事業を磨き上げることこそ最も低リスクの成長戦略です。
- 値上げの余地を探る:単なる価格転嫁ではなく、付加価値(品質、スピード、アフターサービス)を打ち出すことで値上げを受け入れてもらえる
- 顧客層を広げる:既存商品でも販路を変えるだけで売上は伸びます。例えばBtoBをBtoCに展開する、海外市場を試すなど
- 業務効率を高める:同じ売上でも原価削減や在庫管理改善により利益率は上がります。効率化は最も確実な改善策です
既存事業はすでに経験値と顧客基盤があるため、新規事業よりも成功確率が高く、財務的なリスクも小さく済みます。
社長がすべきは「未来を数字で語ること」
銀行や取引先に「主力事業の将来性が不安です」と口にすれば、不安がそのまま信用不安につながります。しかし、
- 「現状の依存度は○○%」
- 「3年後にはこの新規事業で売上の20%を見込む」
- 「既存事業は値上げと効率化で利益率を2ポイント改善予定」
と数字で語れれば、むしろ「危機管理ができる社長」と評価されます。
まとめ|不安を「行動」と「数字」に変える
主力事業の将来性に不安を覚えたとき、やってはいけないのは「何もせず様子を見る」ことです。
- 現状を数字で見える化する
- 資金繰りの余力を持たせる
- 借入金を一本化し、運転資金は短期継続融資でまかなう
- 新規事業は小さく実験し、既存事業を徹底的に磨き上げる
- 数字で未来を語れるようにする
このサイクルを回すことで、不安は「漠然とした恐れ」から「具体的な行動計画」へと変わります。
当事務所では、資金繰りの改善や銀行融資戦略、新規事業に向けた財務計画作りをサポートしています。
主力事業の不安をチャンスに変えたいとお考えの社長は、ぜひ一度ご相談ください。