こんにちは。中小企業の財務コンサルを専門としております行政書士・1級FP技能士・銀行融資診断士®の本間です。
中小企業が銀行に融資を申し込むとき、必ず提出を求められるのが「決算書」です。
「決算書は数字の羅列だから銀行に出すだけでしょ」と思われがちですが、実は銀行はその決算書をもとに融資審査を行い、融資を実行するかどうかを厳格に判断しています。
今回は、まず銀行に提出する「決算書一式」とは何かを整理し、そのうえで銀行が決算書をどんな観点から評価しているのか、4つのチェックポイント(安全性・収益性・成長性・返済能力) を解説します。
銀行に提出する「決算書一式」とは?
銀行員が「決算書を提出してください」と言うとき、それは単に貸借対照表や損益計算書を意味するのではありません。
実際に提出すべき決算書一式は以下の通りです。
- 決算報告書
(貸借対照表・損益計算書・製造原価報告書・株主資本等変動計算書・個別注記表) - 法人税別表一~十六
- 税務署の収受印または電子申告の受信メール
- 勘定科目内訳明細書(売掛金、借入金、役員給与、棚卸資産など)
- 固定資産台帳(減価償却明細書)
- 法人事業概況説明書
これらをまとめて提出することで「社長は銀行の視点を理解している」と受け止められ、信頼感が高まります。
逆に一部しか出さないと「何か隠しているのでは?」と疑念を持たれ、融資審査に不利になることもあります。
銀行が決算書を見る4つの評価ポイント
銀行は決算書をもとに企業を総合的に判断しますが、その際に重視するのが次の4つの観点です。
1.安全性の評価 ― 財務基盤は安定しているか?
安全性は「企業が安定して返済できる基盤を持っているか」を示します。
代表的な指標は以下です。
- 自己資本比率 … 30%以上で評価、60%以上で高評価
- ギアリング比率 … 自己資本に対して負債が過大でないか
- 流動比率 … 短期の支払能力を示し、140%以上が望ましい
安全性が低ければ「少しの赤字で資金ショートする企業」と判断され、融資条件が厳しくなる可能性があります。
2.収益性の評価 ― 利益を出す力はあるか?
収益性は「どれだけ効率的に利益を生み出せるか」を見るものです。
- 売上高経常利益率 … 4%以上で高評価、最低でも2%以上
- 総資産経常利益率(ROA) … 3%以上が目安
- 当期利益の推移 … 2期連続黒字が望ましい
利益の数字だけでなく「利益の質」や「継続性」が重要視されます。
3.成長性の評価 ― 将来の伸びしろはあるか?
銀行は過去の実績だけでなく、将来の成長可能性も重視します。
- 経常利益増加率 … 15%以上で理想的
- 売上高の規模・推移 … 安定成長しているか
- 自己資本額 … 1億円以上でプラス評価
「売上・利益が右肩上がり」だけでなく、新規事業や設備投資など将来の布石があるかも審査の対象になります。
4.返済能力の評価 ― 借入金を確実に返せるか?
最後に最も重要視されるのが返済能力です。
- 債務償還年数 … 借入金を返すのに何年かかるか。短いほど評価が高い(1年未満で満点)
- 償却前営業利益(EBITDA) … 実際に返済に回せるキャッシュを示す
- インタレスト・カバレッジ・レシオ … 利息支払能力。3倍以上が理想
黒字でもキャッシュ不足なら返済はできません。銀行は必ず「現金の流れ」を確認しています。
まとめ ― 銀行は決算書からここを見る
銀行に提出する決算書は、単なる税務申告書ではなく、企業を評価するための重要な情報源です。
銀行は決算書を通じて、次の4つの観点から融資審査を行います。
- 安全性 … 財務基盤が安定しているか
- 収益性 … 利益を継続的に生み出せるか
- 成長性 … 将来の伸びしろがあるか
- 返済能力 … 借入金を確実に返せるか
良い決算の場合は低金利の提案や追加融資のチャンスにつながり、悪い決算であっても改善策とセットで説明すれば信頼を失わずに済みます。
逆に、粉飾決算や情報隠しは必ず見抜かれ、今後の取引に大きな悪影響を及ぼします。
銀行融資を有利に進めるためには、決算書の「見られ方」を理解し、正しく準備することが欠かせません。
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