こんにちは。中小企業の財務コンサルを専門としております行政書士・1級FP技能士・銀行融資診断士®の本間です。
銀行融資を申し込むとき、「決算書を提出してください」と必ず言われます。
しかし、ここで誤解されがちなのは、銀行員が言う「決算書」は、貸借対照表や損益計算書だけではないという点です。
実際には「決算書一式」と呼ばれる一揃いの書類があり、それを提出することで銀行の信頼を得ることができます。
逆に言えば、一部だけ提出するのは「不十分な情報しか出さない会社」という印象を与えかねません。
この記事では、
- 銀行が求める「決算書一式」の正体
- 良い決算でも悪い決算でも出すべき理由
- 提出の際に社長が押さえるべき活用法
について、分かりやすく整理して解説します。
銀行員が求める「決算書一式」とは?
経営者の多くは「決算書=P/LとB/S」と考えがちです。
しかし、銀行が融資審査で確認したいのは「会社の経営実態を裏付けるすべての情報」です。
以下の表は、銀行に提出すべき決算書一式の全体像です。
決算書一式の全体像(まとめ表)
| 書類 | 内容・目的 | 銀行が見るポイント |
|---|---|---|
| ① 決算報告書 | 貸借対照表・損益計算書・製造原価報告書・株主資本等変動計算書・注記表 | 財務状況・利益構造・前期比較による業績推移 |
| ② 法人税申告書一式 | 別表一~十六 | 税務上の数値との整合性、信頼性の裏付け |
| ③ 税務署の収受印/受信通知 | 申告済みを証明 | 形式的要件の確認(未申告は大きなマイナス) |
| ④ 勘定科目内訳明細書 | 預金・売掛金・借入金・役員給与など詳細 | 資金繰りの安定性、貸倒リスク、資金の流れ |
| ⑤ 固定資産台帳 | 設備の新旧、減価償却明細 | 設備更新の必要性、追加投資の余地 |
| ⑥ 法人事業概況説明書 | 業種、従業員数、主要取引先、事業概要 | 業務の実態把握、業界動向との比較 |
このように「決算書一式」とは単なる数字の集まりではなく、会社の信頼性を裏付ける“証拠資料のセット”なのです。
銀行に提出する目的
1.信頼を獲得する
求められる前に一式を出すだけで「この社長は金融リテラシーが高い」と評価されます。
結果として、融資条件の交渉が有利に進む可能性も高まります。
2.定期報告の義務を果たす
銀行は融資残高のある企業に対し、決算期から2か月後(法人税納付期限)までに決算書の提出を必ず求めます。
これは銀行取引約定書に明記されている義務です。
もし出さなければ「隠し事をしているのでは」と疑われ、融資姿勢が厳しくなりかねません。
3.有利な提案を引き出す
好業績であれば、銀行側から「金利を下げませんか」「新しい融資枠を用意できますよ」といった提案が来ることもあります。
決算を出さなければ、そうしたチャンスを自ら閉ざしてしまうことになります。
悪い決算でも提出すべき理由
業績が思わしくないとき、提出を渋る社長もいます。
しかし、それは逆効果です。
銀行は「出さない=危険」と見ます。
むしろマイナス決算のときこそ、改善策とともに出すことで「前向きな姿勢」と評価されます。
たとえば:
- 赤字の場合:「販管費削減で翌期改善予定」
- 借入過多の場合:「借換を進めて返済負担を軽減する」
このように具体策を添えることで、信頼を得られます。
絶対にやってはいけない対応
- 粉飾決算:一時的にごまかせても、必ず見破られます。信用を失えば将来の融資は閉ざされます。
- 勘定科目の入替え操作:銀行は内訳明細書や税務申告で突合しています。小細工は逆効果です。
提出のコツと活用法
1.毎年同じタイミングで出す
「安定している会社」という印象を与え、信頼が積み上がります。
2.決算説明資料を添付する
社長自身が簡単な「決算サマリ」を作成し、数字の背景をA4一枚にまとめれば、銀行員から高評価。
社内稟議も通りやすくなります。
3.顧問税理士に任せきりにしない
提出は社長の仕事です。数字の意味を理解し、自分の言葉で説明できることが、銀行との信頼構築に直結します。
まとめ
- 決算書一式は「決算報告書」だけでなく、申告書・内訳書・固定資産台帳・概況説明書まで含むフルセット。
- 銀行は毎期必ず提出を求める。良い決算も悪い決算も、隠さず出すことが信頼の第一歩。
- 改善策を添えて出せば、マイナス決算でも前向きに評価される。
- 「求められる前に一式を出す」ことで、銀行から一目置かれる存在になれる。
決算書は義務ではなく、「会社の未来を銀行に伝えるプレゼン資料」です。
社長自らが理解し、積極的に活用することが、融資審査を有利に進める最大の鍵になります。
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