融資のたびに「社長が連帯保証人になってください」と言われるのはもう当たり前ではありません。
金融庁は保証依存からの脱却を進めており、条件を整えれば経営者保証なしで融資を受けられる時代になってきています。
本記事では、経営者保証を外すための最近の動向と実務対応を解説します。
こんにちは。中小企業の財務コンサルを専門としております、行政書士・1級FP技能士・銀行融資診断士®の本間です。
中小企業の社長であれば、融資を受ける際に「経営者保証」を求められた経験はほぼ必ずあるはずです。
会社が返済できないときには、社長個人が返済義務を負う仕組み。
これは長年、日本の中小企業融資の慣行でした。
しかし、近年は「経営者保証を外す」流れが加速しています。
今回は、その背景と実務の最新状況、そして経営者が取るべき対応についてお伝えします。
融資における担保には、大きく「物的担保(不動産などの資産)」と「人的担保(経営者保証など)」の2種類があります。
物的担保については過去の記事で解説しましたので、今回は人的担保に焦点を当てます。
経営者保証とは何か
経営者保証とは、会社の借入に際して社長個人が「連帯保証人」となる制度です。
会社が返済不能になれば、社長個人の資産や給与、時には家族の財産までも返済に充てられることになります。
この仕組みは銀行にとっては「最後の保険」ですが、経営者にとっては廃業後の生活再建や再挑戦を阻む大きな壁でした。
なぜ外す方向に進んでいるのか
背景には、以下の社会的課題があります。
- 廃業や倒産後に個人も破綻し、再挑戦が難しくなる
- 事業承継やM&Aが進みにくくなる(後継者が保証を嫌う)
- 海外に比べて起業が少ない原因の一つ
こうした課題を解消するため、金融庁と全国銀行協会が2014年に「経営者保証ガイドライン」を策定し、保証依存からの脱却を目指す方針が明確になりました。
経営者保証ガイドラインの内容
ガイドラインの柱は「一定の条件を満たせば、保証を不要とできる」という考え方です。
条件は主に3つ。
- 法人と経営者の資産・経理を分離
会社と個人のお金を混同しないこと。役員貸付金・役員借入金が大きい会社は要注意です。
- 健全な財務基盤
債務超過や赤字続きではなく、返済可能なキャッシュフローを持つこと。
- 適時適切な情報開示
決算書や月次試算表、資金繰り表を金融機関に提供すること。
この3点が揃えば「保証人を外す」交渉が可能となります。
最近の動向と実務
金融庁は2022年から「経営者保証改革プログラム」を推進し、保証依存を一段と減らす方針を打ち出しました。
- 政策金融公庫や信用保証協会でも「保証人不要型」の制度融資が増加。
- 地方銀行・信用金庫でも「保証免除案件」を積極的に模索する動きが出ています。
- 実際、業績が安定しており財務の透明性が高い会社では保証なしで借りられる事例が増加中です。
とはいえ、まだ全体の慣行が一気に変わったわけではなく、「保証あり」が前提の案件も多く残っています。
誤解しやすい点
- 「保証を外せば融資が通りやすい」とは限らない(審査はむしろ厳格に)
- 保証人がいなければ借りられない、は過去の話(制度が整備されつつある)
- 経営者保証ガイドラインは「全廃」ではなく「条件付きで外せる」もの
- 保証を外すには、銀行側との信頼関係が不可欠
経営者が今すぐできる対応策
経営者保証を外すためには、日頃の財務管理が重要です。
- 公私分離:役員貸付金を解消し、会社と個人のお金を明確に分ける
- 財務改善:自己資本比率を高め、赤字体質から脱却する
- 情報開示:月次試算表や資金繰り表を銀行に提出し、透明性を高める
- 計画策定:経営改善計画を専門家と作り、銀行と共有する
これらの努力は、保証外しだけでなく「融資条件の改善」「追加融資のスムーズ化」にも直結します。
まとめ
経営者保証は長らく中小企業融資の常識でしたが、今は「外す方向」が国の方針として進んでいます。
とはいえ、誰でもすぐに外せるわけではなく、財務の健全性・経営の透明性を整えることが前提条件です。
社長にとって「保証からの解放」は、精神的な負担を軽くし、将来の事業承継や再挑戦の可能性を広げる大きな一歩となります。
今のうちから準備を進めておくことが、安心経営への近道と言えるでしょう。
また、融資の世界では人的担保だけでなく、物的担保も大きな論点です。
両者を比較し理解することで、銀行との交渉により深みが出ます。
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