「決算書は銀行や税理士以外には見せられない…」と考える中小企業の社長は少なくありません。
なぜ経営者は決算書を外部に出すことを嫌がるのか、その心理とリスク、そして安心して財務改善に活かすための方法を解説します。
こんにちは。中小企業の財務コンサルを専門としております、行政書士・1級FP技能士・銀行融資診断士®の本間です。
以前、ある中小企業の社長から
「決算書は銀行と税理士にしか見せられません。他の人には見せられませんよ。税理士も嫌がりますから」
と言われたことがあります。
決算書は当然、銀行や税理士には提出するものですが、「それ以外の人には見せられない」と線を引く経営者は実際に少なくありません。
そして多くの経営者は、心の中で「決算書の数字が悪いときは、銀行に見せるのも気が重い」と感じています。
これは決して特殊な話ではなく、中小企業に広く共通する心理です。
ではなぜ社長はここまで決算書を見せることを嫌がるのでしょうか。
決算書を見せたくない心理の正体
1.弱みを見せたくない「防衛本能」
決算書は会社の成績表です。
売上の増減、利益率、借入残高など、経営の姿が赤裸々に現れます。
もし赤字や債務超過があれば、「恥ずかしい」「経営者として能力不足だと思われるのでは」という不安に駆られます。
弱みをさらすことへの抵抗感は、多くの社長に共通する自然な感情です。
2.秘密主義と情報統制
中小企業では、決算書がほぼ唯一の「経営の全貌を映す資料」です。
だからこそ「数字を見せる=経営の手の内を明かす」と捉える社長もいます。
「この情報が外に漏れたらどうなるか」という過剰な警戒心が先立ち、守秘義務を持つ専門家であっても、最初は信用できないという気持ちになります。
3.税理士との関係を壊したくない
「顧問税理士が嫌がるから」という声もよく耳にします。
税理士は決算書を作成する専門家であり、自らの成果物に強い責任感を持っています。
そのため、他の専門家に決算書を見せれば「自分の仕事を批判されるのでは」と受け取られることも。
社長はその反応を恐れて、「余計な摩擦を起こさないように」と判断し、財務コンサルなど第三者に見せることを避けるのです。
4.銀行にすら見せたくない心理
銀行への提出は必須ですが、数字が悪いときには「追加融資を断られるのでは」「信用を失うのでは」と恐れる社長も少なくありません。
実際には銀行は口座の動きや試算表から大まかな状況を把握しています。
それでも経営者にとっては「悪い数字を見せた瞬間に評価が下がる」という不安が強く働くのです。
決算書を隠すことのリスク
こうした心理は理解できますが、決算書を隠すことには大きなリスクがあります。
- 改善のタイミングを逃す
第三者の客観的な視点が入らなければ、問題の発見や改善が遅れます。資金繰りの危機が表面化してからでは手遅れになることもあります。
- 銀行の信頼を損なう
提出を渋る態度は「何か隠しているのでは」と勘繰られ、むしろ心証を悪くします。情報を正直に出すことが、結果的に信用につながります。
- 社長自身が数字に弱くなる
税理士や銀行任せにしていると、自分の会社の現状を把握できなくなります。数字に向き合わない経営者は、意思決定のスピードと精度が落ち、経営リスクを高めます。
決算書を安心して共有するために
社長が安心して決算書を外部に見せられるようにするには、次の工夫が有効です。
- 役割分担を理解する
税理士は税務申告の専門家、財務コンサルは資金繰り改善や銀行交渉の伴走者。
役割は競合するのではなく、むしろ補完し合う関係です。
- 守秘義務を契約で担保する
顧問契約や秘密保持契約(NDA)を結ぶことで、「情報が外に漏れない」という安心感が得られます。
- 悪い数字こそ早めに共有する
赤字や資金不足の兆しが見えた段階で専門家に相談すれば、銀行との対話や改善策の選択肢は広がります。
逆に、ギリギリで相談しても打てる手は限られます。
まとめ:数字を開示することは「弱さ」ではなく「強さ」
決算書を見せることに抵抗を感じるのは、多くの中小企業経営者に共通する心理です。
しかし「隠すこと=守り」ではなく、「共有すること=攻め」です。
信頼できるパートナーに数字を開示し、課題を早めに共有することで、未来の資金繰り改善につながります。
経営者にとって「数字を正しく見せられること」こそ、本当の意味での強さです。
おわりに
当事務所では、銀行融資・資金繰り改善に特化した財務コンサルティングを行っています。
「決算書をどう見せれば良いのか」「銀行との付き合い方に不安がある」と感じる社長は、ぜひ一度ご相談ください。
秘密保持を徹底し、安心してご相談いただける環境を整えています。