日本政策金融公庫をどう活用するかで、中小企業の資金繰りは大きく変わります。
公庫をメインバンクにせず、協調融資や呼び水として戦略的に使う3つの鉄則を解説。
現預金は月商の何ヶ月分あれば安心かの目安も紹介します。
はじめに
こんにちは。中小企業の財務コンサルタントを専門とする行政書士・1級FP技能士・銀行融資診断士®の本間です。
中小企業にとって「資金調達」は経営の生命線です。
とくに売上が伸び始めて投資が必要なとき、あるいは景気変動や原材料高騰で一時的に資金繰りが厳しくなるとき、どこから資金を調達するかは経営者の大きな関心事でしょう。
このとき多くの企業が頼りにするのが「日本政策金融公庫(以下、公庫)」です。
公庫は政府100%出資の金融機関であり、民間金融機関が融資をためらう分野を補完する役割を担っています。
しかし、公庫を「万能な資金繰りの味方」と誤解してしまうと、かえって資金調達力を弱めてしまうこともあります。
そこで今回は、地元中小企業が資金調達力を高めるために知っておきたい公庫との正しい付き合い方を、「三つの鉄則」として整理します。
日本政策金融公庫とは何か
公庫は中小企業・小規模事業者、農林水産業者などに対する長期安定的な融資を使命とする政府系金融機関です。特徴は以下の通りです。
- 民間金融機関の補完:銀行や信用金庫が融資しづらい案件(創業、業績悪化後の再建、担保不足など)を支援。
- 低金利・長期返済:政府系ならではの金利水準や返済条件。
- 全国ネットワーク:地域に密着した窓口と、業種特性を理解した審査体制。
つまり、公庫はあくまでも「補完的な存在」であり、地域金融機関の代替ではありません。
この立ち位置を理解することが、正しい付き合い方の第一歩です。
三つの鉄則
1.公庫を「メインバンク」にしない
公庫は「地域の信用金庫や銀行に代わるメインバンク」ではなく、「民間が貸せないときの補完」として活用するのが鉄則です。
なぜなら、公庫は日常的な入出金や取引関係を持つわけではなく、地元企業の細やかな経営支援を担う役割は民間金融機関が果たしているからです。
公庫ばかりに依存すると、地域金融機関との関係が希薄になり、いざ追加融資や保証枠の拡大が必要なときに選択肢が狭まります。
経営の安心を得るには、普段の資金繰りは民間金融機関と組み、公庫は「ピンチヒッター」や「バックアップ」として捉えるのが正しい姿勢です。
2.協調融資で「借りやすさ」を高める
二つ目の鉄則は、公庫を「民間との協調融資」に活用することです。
協調融資とは、公庫と民間金融機関が同時に資金を出し合う仕組みです。
これにより、民間側はリスクを分散でき、公庫側も地域金融との連携を重視するため、融資がスムーズに進みやすくなります。
例えば、新規設備投資をする際に「半分を公庫、半分を信用金庫」という形にすれば、企業にとっても資金繰りのバランスが取りやすく、銀行にとっても「公庫が支援しているなら安心」という心理が働きます。
結果として、追加の融資や今後の取引にプラス効果をもたらします。
3.呼び水として信用力を築く
三つ目の鉄則は、公庫融資を「民間金融機関からの信用を築くための呼び水」として利用することです。
公庫は審査にあたり、事業計画や資金繰り表を細かくチェックします。
その審査を通過して融資を受けられたという事実は、民間金融機関にとって「公庫のお墨付き」と映ります。
つまり、公庫融資は「民間からの追加融資を引き出すための呼び水」になるのです。
特に創業時や赤字からの再建期など、民間が単独では動きにくい場面で効果を発揮します。
運転資金の安心ラインは「月商◯ヶ月分」
資金繰りの観点からも、公庫との付き合い方は重要です。
運転資金については、現預金を「月商の2〜3ヶ月分」確保するのが安心ラインとされています。
例えば、月商が3,000万円の会社であれば、6,000万〜9,000万円の現預金があれば、売上の急減や仕入れ条件の変化にもしばらく耐えられる計算です。
この「安心ライン」を下回る場合、公庫融資を活用して資金繰りを厚めに確保しておくのも一つの戦略です。
まとめ
日本政策金融公庫は、中小企業にとって心強い存在ですが、使い方を誤ると「公庫頼みの経営」になってしまいます。
- 公庫をメインバンクにせず、民間を軸に据える
- 協調融資で借りやすさを高める
- 呼び水として民間信用を築く
この三つの鉄則を意識すれば、公庫は企業にとって「単なる融資元」ではなく、資金調達力を引き上げるための強力なパートナーになります。
資金繰りに不安を感じている経営者の方は、公庫の活用を「単発」ではなく「戦略的な位置づけ」として考えてみてはいかがでしょうか。
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