在庫の膨張は中小企業の資金繰りを直撃します。
実は、かつて金物卸売業を営んでいた私の実家の父も、大量の在庫を抱えながら資金繰りに苦労していました。
確かに顧客対応のために一定の在庫は必要ですが、持ちすぎれば黒字でも資金不足に陥るリスクがあります。
本記事では、在庫の適正水準を意識しつつ、膨張を防ぎ資金繰りを健全に保つための改善策を具体的イメージで解説します。
はじめに|在庫は資産か、それともリスクか?
こんにちは。中小企業の資金繰り改善や融資支援を専門にしている行政書士・財務コンサルタントの本間です。
製造業や卸売業では「在庫=資産」と考えるのが一般的です。
確かに、一定量の在庫は顧客からの急な注文や納期対応のために必要ですが、持ちすぎれば資金を拘束するリスクにもなります。
そのため在庫は「資産」であると同時に、「資金を圧迫する要因」にもなり得るのです。
本記事では、在庫膨張の仕組みと危険性、そして改善策を具体的イメージを交えてご紹介します。
在庫の膨張が資金繰りを悪化させるメカニズム
1.現金が倉庫に眠る
在庫を仕入れたり製造すると、現金はモノに変わります。
売れるまで資金が戻らないため、実質的には「現金が倉庫に眠っている」状態です。
【具体的イメージ】製造業の場合
原材料を安く仕入れるチャンスだと考えて大量購入。
しかし、想定以上に使い切れず倉庫に積み上がったまま。結果として資金が滞留し、日々の支払いに苦労する。
2.保管コストと劣化リスク
在庫が膨らむと倉庫費用や人件費などの管理コストが増えます。
さらに食品・化学製品・部品などは劣化や陳腐化リスクも高いです。
【具体的イメージ】卸売業の場合
売れ筋を見誤り、大量に仕入れた商品が売れ残り。
賞味期限切れや流行遅れとなり、最終的には廃棄や値引き処分で利益を削る。
3.黒字でも倒産する矛盾
在庫は貸借対照表上「資産」ですが、実際のキャッシュにはつながりません。
そのため、損益計算書が黒字でも現金不足に陥り、いわゆる黒字倒産を招くのです。
在庫膨張が起きやすいシチュエーション
仕入れ過多|「安いからまとめ買い」
- 卸売業に多いパターン。仕入単価の値引きにつられ、過剰在庫を抱える。
- 結果、回転率が落ちてキャッシュが枯渇。
生産過多|「納期遅れを恐れて余剰生産」
- 製造業に多いパターン。顧客対応を優先するあまり、生産量を見込み以上に増やす。
- 結果、滞留在庫が山積み。
売上不振|「販売計画が甘い」
- 小売・EC業に多いパターン。新商品が期待通りに売れず倉庫に滞留。
- 結果、値引き処分で利益率が大幅ダウン。
在庫膨張を見抜くための指標
在庫回転率
「在庫がどれくらい効率よく売れているか」を示す重要指標。
計算式:
在庫回転率 = 売上原価 ÷ 平均在庫高
回転率が低下している場合は「仕入・生産過多」の警告サインです。
棚卸資産回転期間
「在庫が平均して何日倉庫に眠っているか」を示す指標。
期間が長いほどキャッシュ化が遅れ、資金繰りが悪化している可能性があります。
在庫膨張を防ぐ三つの対策
対策1:ランク付けによる重点管理
- Aランク商品:利益貢献度が高いため厚めに確保
- Cランク商品:売れ行きが遅いので最小限に → 限られた資金を効率的に使う。
対策2:需要予測と仕入計画の精度向上
- 販売データや季節要因を分析して仕入を調整
- 「勘」や「安心感」だけで仕入れを決めない
【具体的イメージ】シーズン商品の場合
夏のキャンプ需要を見込んで大量仕入れ。
しかし天候不順で売れ残り、翌年まで在庫を持ち越すことで資金繰りに大きな負担がかかる。
対策3:資金繰り表との連動管理
在庫の増減を資金繰り表に反映させることで、「在庫が増えると手元資金がいくら減るのか」が見える化されます。これにより、銀行との融資交渉でも説得力が増します。
改善を加速する実務的アクション
- 余剰在庫の処分:値引き販売や在庫買取業者で現金化
- IT活用:販売・在庫・会計データを連動させ「見える化」を強化
- 金融機関との対話:在庫が一時的に増える事情を説明し、資金調達を先手で準備
まとめ|在庫は「攻めの資産」であり「守りのリスク」
在庫は売上をつくるための「攻めの資産」ですが、管理を誤れば資金繰りを蝕む「守りのリスク」となります。
製造業・卸売業では「在庫を多く持つ安心感」に流されがちですが、大切なのは在庫とキャッシュのバランスです。
在庫回転率の確認、仕入・生産の見直し、資金繰り表との連動管理。
これらを徹底することで、在庫膨張を防ぎ、黒字倒産を回避できます。
中小企業の経営者の皆さま、ぜひ自社の在庫を「資産」としてだけでなく「資金の流れを左右するリスク要因」として見直してみてください。
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