棚卸を軽視すると資金繰りの悪化や粉飾と疑われるリスクにつながります。
意図せずとも発生しやすい誤りや落とし穴に触れつつ、実地棚卸の重要性を資金繰りの観点から解説します。
はじめに
こんにちは。中小企業の財務コンサルタントを専門とする行政書士・1級FP技能士・銀行融資診断士®の本間です。
「棚卸は決算のためにやる面倒な作業」――そのように考えていませんか?
しかし、棚卸は単なる会計処理ではなく、資金繰りの安定や企業の信用を守るための基盤です。
さらに、意図せず誤った処理を続けることで、結果的に「粉飾ではないか」と疑われるリスクさえ生じます。
本記事では、棚卸の重要性を資金繰りの視点から整理しつつ、無意識の誤りが思わぬリスクにつながる点にも触れていきます。
システム任せの危うさ
最近は会計ソフトや販売管理システムで在庫を管理できるようになり、便利になりました。
しかしシステム任せでは危険です。
- 入出庫の記録漏れ
- 不良品や返品の処理忘れ
- 在庫移動や仕掛品の勘定処理ミス
こうした小さな誤差が積み重なると、帳簿上は資産が増えているように見えても、実際には換金できない在庫ばかり、という事態に陥ります。
銀行が決算書を精査するとき、棚卸資産には特に厳しい目が向けられるのはこのためです。
実地棚卸の意義
実地棚卸は、現場で商品や材料を一つずつ数えて確認する作業です。
手間はかかりますが、以下の効果があります。
- 数値の正確性を確保
→ 銀行や取引先に示す決算書の信頼性が担保される。
- 不良在庫の発見
→ 売れ残りや陳腐化した在庫を早期に把握できる。
- 資金繰り改善の材料
→ 在庫回転率や発注計画の見直しにつながる。
在庫=資金の固定化
在庫は「資産」と計上されますが、現金がモノの形で滞留している状態に過ぎません。
たとえば1,000万円の在庫を抱える企業は、実質的に1,000万円の資金を倉庫に眠らせているのと同じです。
これが仕入代金や人件費の支払いに回せない要因となり、資金繰りを圧迫します。
在庫回転率のチェック
「月商に対して在庫が何か月分あるか」を確認するだけで資金繰りの健全度が見えます。
- 在庫月商倍率2倍 → 資金が滞留しすぎ(危険)
- 在庫月商倍率0.5倍 → 適正水準
銀行もこの指標を融資判断に使っています。
無意識に陥りやすい「粉飾リスク」
棚卸資産は、意図的に操作しなくても “粉飾と疑われやすい科目” です。
- 不良在庫を処分せず資産に残したまま
- 市場価値を失った在庫を評価減せずに放置
- 現物と帳簿のズレを確認しないまま決算へ
経営者に悪意がなくても、これらの処理を怠れば「利益のかさ上げ」と受け止められ、粉飾を疑われる可能性があります。
結果的に、銀行や取引先の信用を損ない、融資条件の悪化につながりかねません。
中小企業にありがちな落とし穴
1.社長自身が在庫量を把握していない
→ 倉庫に何があるかを現場に任せきり。
2.売れないものを“資産”と錯覚
→ 実態は動かない在庫でも、数字上は利益を押し上げてしまう。
3.営業と経理のズレ
→ 営業は「まだ売れる」と考えても、経理視点では価値ゼロというケースが多い。
実地棚卸を資金繰り改善につなげる方法
1.不良在庫を処分
赤字でも現金化した方が資金繰りは改善します。
2.発注サイクルを見直す
仕入れ過多が明らかになれば、発注基準を修正。資金繰り表に反映する。
3.棚卸結果をKPIに落とし込む
「在庫回転率を半年で1.5倍にする」といった数値目標を立て、経営計画に組み込む。
銀行評価にも直結する
銀行は、決算書だけでなく、倉庫の在庫の状態を実際に見ることがあります。
- 整理されていない
- 古い商品や埃をかぶった在庫が多い
こうした様子を見られると、決算書の数字への信頼は一気に揺らぎます。
逆に棚卸が定期的に行われ、在庫管理が徹底されている企業は「数字の裏付けが確か」と判断され、評価は格段に上がります。
まとめ
棚卸は、
- 資金繰りの安定化
- 無意識の粉飾リスクを防ぐ
- 企業の信用維持
この3つを支える基盤です。
「売上や利益は伸びているはずなのに、資金繰りが厳しい」と感じるなら、その原因は在庫にあるかもしれません。
システムに任せきりにせず、定期的に実地棚卸を行うことで、資金繰りの健全化と企業の信頼を守ることができます。
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