こんにちは。
中小企業の資金繰りと融資支援を専門とする行政書士・1級FP技能士・銀行融資診断士®の本間です。
「小規模事業者持続化補助金などで採択されたので、もう安心。次は信金からプロパー融資を受けようと思う」
そう考える社長も多いのですが、実際には“採択=補助金着金確実”とは限りません。
金融機関はこの点を慎重に見ています。
今回は、補助金採択後に融資を受ける際、なぜ保証協会付きになるのか、そしてどのように進めると良いのかを解説します。
採択=お金がもらえる、ではない理由
補助金は以下の流れを経て、ようやく交付(入金)されます。
公募申請
⇒採択
⇒経費の価格の妥当性を証明できる見積書等(相見積含む)を提出
⇒交付決定
⇒補助事業の実施
⇒実績報告
⇒確定検査・補助金額の確定
⇒請求
⇒入金
採択通知の段階では、まだ補助事業を実施しておらず、経費の支払いも、証憑も、確定額も存在しません。
つまり「採択された=支給が確定した」ではなく、「計画として認められたにすぎない」のです。
金融機関の立場から見れば、採択通知は「条件付きの約束」。
実際にお金が入るまでは不確定要素が残るため、融資判断においては“信用材料”にはなっても“返済保証”にはなりません。
減額・遅延・不交付のリスクも
実務では、実績報告の不備や支出のタイミングのずれによって、次のようなケースが少なくありません。
- 経費が認められず補助金が減額された
- 書類不備で入金が数か月遅れた
- 支払方法の誤りで対象外経費になった
採択通知書には「補助金をいくら交付する」と明記されていても、最終的に入金されるまで内容が変わる可能性があるのです。
金融機関が保証協会付きにしたがるのは、このような“制度特有の不確実性”を回避するためです。
融資は「先払い」、補助金は「後払い」
もう一つの大きな理由が、資金の流れの違いです。
補助金は基本的に後払い方式。事業者が自ら支出し、領収書や請求書などの実績報告を提出してから清算払いで交付されます。
一方、融資は「先に資金を出す」行為。
つまり、金融機関は補助金が入るまでの“立替資金”を貸すことになります。
立替には必ずリスクが伴うため、信金としては保証協会付きで実行するのが安全運転なのです。
補助金は「返済原資」ではない
銀行や信金の審査で重視されるのは、あくまで「返済原資=事業利益」。
補助金はその一部を助成するものであって、「返済に充てられる資金」ではありません。
したがって、金融機関が見るのは
「補助金によって事業がどう伸び、利益が出るのか」
「その利益で返済が可能か」
という“事業の成長ストーリー”です。
採択されたこと自体は前向きな材料ですが、それだけでプロパー融資(保証なし)は難しいのが現実です。
信金が保証協会を付ける5つの理由
| 理由 | 内容 |
|---|---|
| ① 採択時点では入金未確定 | 実績報告・検査で変動する可能性 |
| ② 減額・不交付リスク | 不備・遅延・対象外経費の発生 |
| ③ 立替金の性質 | 補助金入金前の資金支出を先行融資 |
| ④ 補助金は返済原資でない | 利益計画が返済判断の基準 |
| ⑤ 信金はリスク分散を重視 | 初回融資は保証協会付きが原則 |
公庫の方が有利なケースも
もしお客様がすでに日本政策金融公庫と取引しているなら、追加融資を公庫に申し込む方が早く、金利も低く済むことが多いです。
公庫は保証料が不要で、制度によっては1〜2%台の低金利。
一方、信金+保証協会の場合、保証料を含めると実質3〜4%台になることもあります。
スピード面でも、公庫の方が手続きがシンプルなため、「採択→交付決定→発注」の流れに合わせて動かしやすいのが実務上のメリットです。
まとめ:採択後は「安心」ではなく「準備のスタート」
補助金採択は、金融機関にとってもポジティブなシグナルです。
しかし、実際に融資を実行する段階では、補助金入金前の“空白期間”にどう資金を回すかが問われます。
補助金採択後に融資を受ける=「立替資金を借りる」行為
補助金は「信用材料」であって「返済保証」ではない
この違いを理解しておくと、金融機関との話がスムーズになります。
まずは保証協会付きで確実に実行し、実績を積み上げることで、次回以降のプロパー融資へとつなげていく——それが、地に足のついた資金調達の王道です。
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