今回は、一括・分割・併用の違いをわかりやすく整理。
退職金や企業年金、iDeCoなど、長年積み上げてきた老後資金。
しかし、この「受け取り方」をどう選ぶかで、最終的に手元に残る金額が大きく変わることをご存じでしょうか。
税金・控除・社会保険料の扱いは、受け取り方法によって全く異なります。
この記事では、老後資金を賢く受け取るためのポイントを整理します。
退職金の一括受取は「二重の税優遇」で手取りが大きい
退職金を一括で受け取ると、他の所得とは比べものにならないほど大きな優遇を受けられます。
🔹退職所得控除
退職金には勤続年数に応じた控除額が設定されており、年数が長いほど優遇されます。
勤続年数と控除額の例
- 20年 → 800万円
- 25年 → 1,150万円
- 30年 → 1,500万円
- 35年 → 1,850万円
例えば勤続30年なら控除額は1,500万円。退職金が1,500万円以内であれば税金はゼロです。
🔹さらに「1/2課税」の特別計算
退職所得控除を差し引いた“残りの金額”は、さらに 1/2(50%)に圧縮されて課税対象になる
という特別ルールがあります。
例)退職金1,800万円・勤続30年
1,800万円 − 1,500万円 = 300万円
300万円 ÷ 2 = 150万円が課税対象
この二重優遇のおかげで、他の所得と比べて圧倒的に税負担が小さくなります。
🔹一括受取のメリット・デメリット
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 控除+1/2課税で税金が非常に少ない | 一度に大きな資金を管理する必要 |
| 最も手取りが大きくなりやすい | 利息がつく仕組みはない場合が多い |
| 社会保険料が増えにくい | 運用は自分で行う必要 |
年金方式(分割受取)は控除体系が異なり、社会保険料に影響
企業年金やiDeCoを「年金形式」で受け取る場合は、退職所得には該当せず雑所得扱いになります。
そのため、一括受取で受けられる「退職所得控除」「1/2課税」はありません。
代わりに適用されるのが、
- 公的年金控除
- 基礎控除
です。
ただし控除は毎年の所得と合算されるため、働いている人や他の収入がある人は課税所得が増える場合があります。
🔍 年金方式の特徴
① 控除はあるが年収扱いになる
受け取る年金額はほかの収入と合算され、税金が増えることがあります。
② 1/2課税がない
退職所得のような“特別な圧縮効果”はありません。
③ 社会保険料が増える可能性あり
国民健康保険料・介護保険料などの算定対象になるケースがあります。
🔹分割受取のメリット・デメリット
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 安定的に受け取れる | 控除が少なく税負担が増える可能性 |
| 長期運用や利息付与がある制度も | 社会保険料が増える場合がある |
| iDeCo・DCは併用しやすい | 毎年収入として扱われ税計算が複雑 |
制度ごとに選べる受取方法が違う
すべての制度が「一括・分割・併用」できるわけではありません。
まずは、自分がどの制度に加入しているのかを確認することが重要です。
| 年金・退職金制度 | 一括受取 | 分割受取(年金形式) | 一括+分割併用 |
|---|---|---|---|
| 公的年金 | ー | 〇 | ー |
| 退職金(退職一時金) | 〇 | ー | ー |
| 確定給付企業年金(DB) | 〇 | 〇 | 〇 ※1 |
| 企業型確定拠出年金(DC) | 〇 | 〇 ※2 | 〇 ※1 |
| iDeCo | 〇 | 〇 | 〇 ※1 |
※1:制度や金融機関の規約により異なります
※2:分割受取は保険商品に限定される場合があります
制度ごとに選択肢が異なるため、まずは「自分がどれを選べるのか」を把握することが第一歩です。
一括と分割の「併用」が最適解になることも多い
退職金は一括、企業年金は分割――など、制度ごとに受け取り方を組み合わせることで、
- 税負担の最小化
- 社会保険料のコントロール
- 老後のキャッシュフローの安定化
が実現しやすくなります。
特にiDeCo・企業型DC・DBは併用可能な場合が多く、上手く組み合わせるほどメリットが出ます。
必ず「自分の数字」でシミュレーションすること
同じ制度に加入していても、
- 退職金額
- 勤続年数
- 退職後の収入(再雇用など)
- 家族構成
- 社会保険の加入区分
によって最適な受け取り方は大きく変わります。
つまり、一般論で判断してはいけないということです。
自分の数字で試算することで、はじめて最適解が見えてきます。
まとめ:受け取り方ひとつで老後の安心が変わる
退職金・企業年金・iDeCoは、どれも大切な老後資金ですが、受け取り方をどう選ぶかで最終的な手取り額は大きく変わります。
- 退職金の一括受取は「退職所得控除」と「1/2課税」により圧倒的に有利
- 年金方式は控除体系が異なり、社会保険料への影響が大きい
- 制度ごとに「一括」「分割」「併用」の可否が違う
- 組み合わせ次第で、税金と保険料の最適化が可能
- 最適解は必ず「人によって違う」
つまり、受け取り方法の決定は、老後の生活設計の“最終仕上げ”と言えます。
制度の理解と数字のシミュレーションが整って初めて、あなたにとって最も手取りが多く、安心できる受け取り方が見えてきます。
迷ったときは、一度専門家と一緒に整理してみることで、老後資金がよりクリアになり、安心して次のステージに向かうことができます。
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制度の確認からシミュレーション、受け取り方法の検討まで、丁寧にサポートいたします。
✔ 退職金
✔ 確定給付企業年金(DB)
✔ 確定拠出年金(DC・iDeCo)
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