はじめに
事業を経営する中で、資金繰りの問題は常に頭を悩ませるテーマの一つです。
会社経営者であれ、個人事業主であれ、この課題は避けて通れません。そんな時、事業の成長を後押ししてくれる強力な選択肢が「補助金」です。
しかし、一言に補助金といってもその種類は膨大で、「数が多すぎて複雑だ」「どれが自分の事業に合うのか分からない」と感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、単に補助金の種類を羅列するのではなく、特に人気のある4つの補助金(ものづくり補助金、小規模事業者持続化補助金、IT導入補助金、省力化投資補助金)に焦点を当てます。
そして、多くの人が見落としがちな「意外なポイント」や、知っているだけで有利になる「賢い活用法」に絞って徹底解説します。
長文となるため、「前半」「後半」に分けて、2回でご紹介します。
この記事を最後まで読めば、補助金申請の成功率を高めるための具体的なヒントが得られるはずです。
なお、あくまで一般的な内容をお伝えしておりますので、申請にあたっては、最新の公募要領等をご確認下さい。
1. 「ものづくり補助金」は古い機械の買い替えには使えない
誤解されがちなポイント
まず、「ものづくり補助金」という通称で知られていますが、正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」です。
その名の通り、製造業だけでなく、商業やサービス業など幅広い業種が対象となります。
この補助金で最も重要なポイントであり、多くの人が誤解しているのが「革新性」が求められるという点です。
具体的には、以下のようなケースは対象外となるので注意が必要です。
- 「古くなった機材を新しいものに買い替える」といった単純な設備更新
- 既存事業の延長線上にある、ありふれた投資
この補助金は、あくまで「革新的な新製品・新サービスの開発」や、それに伴う設備投資などを支援するためのものです。
このルールは非常に厳格で、
「古い機械を買い換えるために、ものづくり補助金は使えますか?」
と聞きたくなりますが、答えはNOです。
実践的なアドバイスと注意点
「革新性」と聞くと難しく感じるかもしれませんが、「世紀の大発明」レベルの発想が求められているわけではないのでご安心ください。
自社にとって、あるいは地域にとって新しい取り組みであれば、十分に要件を満たす可能性があります。
ただし、この補助金は従業員規模に応じて補助上限額が大きく設定されている分、審査の目も厳しくなります。
例えば、製品・サービス高付加価値化枠では、従業員数に応じて以下のように上限額が変わります。
- 従業員5人以下:最大750万円
- 従業員6人~20人:最大1,000万円
- 従業員21人~50人:最大1,500万円
- 従業員51人以上:最大2,500万円
- (海外展開を目指すグローバル枠では最大3,000万円)
これだけ大きな金額が動くため、申請には客観的なデータに基づいた詳細な事業計画書の作成が不可欠です。
説得力のある計画書を練り上げるには相応の時間がかかります。
申請の締め切りから逆算して、最低でも1ヶ月、できれば2ヶ月前から準備を始めるというスケジュール感を持つことが、採択への鍵となります。
2. 「小規模事業者持続化補助金」には”隠れた締め切り”が存在
補助金の目的とインパクト
この補助金は、小規模事業者が取り組む「販路開拓」の費用を支援するものです。
例えば、新しい顧客層にアプローチするための広告宣伝費や、ウェブサイトの制作費、展示会への出展費用などが対象となります。
通常枠の補助上限は50万円ですが、「インボイス特例」や「賃上げ特例」といった制度を活用することで、最大250万円まで補助上限を引き上げることが可能です。
これは小規模事業者にとって非常に大きなインパクトをもたらします。
さらに、創業して3年以内の事業者向けには「創業枠」が設けられており、こちらは最初から補助上限が200万円(特例利用で最大250万円)と、非常に手厚い支援が用意されています。
最も重要な「落とし穴」の警告
この補助金で最も注意すべき点は、申請プロセスに2段階の締め切りが存在することです。
これを見落とすと、どんなに素晴らしい計画を立てても申請すらできなくなってしまいます。
- 第1の締め切り: 地域の商工会・商工会議所に「事業支援計画書(様式4)」の交付を依頼する締め切り。(例:11月18日)
- 第2の締め切り: 補助金事務局への申請自体の最終締め切り。(例:11月28日)
多くの場合、事業計画書を商工会・商工会議所に提出すると、内容について修正を求められます。
そのため、第1の締め切りギリギリに依頼をすると、修正して再提出する時間がなくなり、間に合わなくなる危険性が非常に高いのです。
確実に対応するためには、「感覚としては11月の半ば頃までには全ての事業計画を完成させておく」くらいのスケジュール感で動くことが不可欠です。
さらに、「創業枠」にはもう一つ重大な落とし穴があります。
申請には「特定創業支援等事業による支援を受けたことの証明書」が必須なのですが、この証明書をまだ持っていない場合、残念ながら今回の公募には間に合いません。
まさに「知らなかった」では済まされないルールであり、創業枠を狙う方は、次回の公募に備えて今から準備を進めるという戦略が必要になります。
後半は「IT導入補助金」「省力化投資補助金」
後半では、
IT導入補助金と省力化投資補助金の“意外な真実”を解説。
手軽なIT導入補助金の3年間の報告義務、締め切りがない省力化投資補助金の活用法など、知っておくべき重要ポイントをまとめた後半編。
賢く活用して事業成長を加速させたい方向けの記事となっております。
ぜひご覧ください。