― 補助金を狙う企業が、11月から動くべき本当の理由 ―
はじめに
「補助金は、情報が出てから考えればいい」
もし、そう思っているなら…… 一歩遅れているかも。
補助金の世界では、
11月〜年明けは「情報収集の時期」ではなく「準備の時期」
です。
なぜなら、多くの補助金の“勝負”は、公募開始よりずっと前、国の予算が動く段階で半分決まっているからです。
そのカラクリを、
- 令和7年度当初予算
- 2025年11月に閣議決定された令和7年度補正予算
この2つの“中身の差”を実例に、解きほぐしていきます。
当初予算と補正予算は、役割がまったく違う
まず大前提から。
当初予算とは
- 新年度(4月〜3月)を通しての基本設計図
- 政策の方向性・分野の優先順位を示すもの
- 中小企業政策で言えば、
「成長支援」「省力化」「事業承継」「海外展開」など、恒常メニューが中心
▶ 方針は分かるが、補助金の“迫力”は見えにくい
補正予算とは
- 走りながら行う増改築・実弾投入
- 景気・物価・人手不足・国際情勢を踏まえ、その年の“勝ち筋”に資金集中
- 補助金・基金造成と極めて相性がいい
▶ 補助金を本気で作りにいくのは、補正予算
補正予算=翌年度にも使える「基金」を作れる
補正予算でよく使われる手法
- 補助金を「基金」として計上
- いったん国が基金にお金を積む
- 実際の公募・交付は翌年度以降に実施
これによって、
- 11月補正で予算を確保
→ 翌年春~夏にかけて公募開始
→ 実質的に「来年度補助金」になる
例:
- ものづくり補助金
- 事業再構築補助金
- 省エネ・GX系補助金
などは、この形が非常に多いです。
つまり、
11月補正は
「今年の補正」ですが、
「来年~再来年の補助金原資」でもある
という二重構造となっています。
令和7年度:当初予算は「骨格」、補正予算は「覚悟」
◆ 予算規模がまったく違う
- 令和7年度当初予算(中小企業対策関係)
- 約1,080億円
- 多くが既存基金の内数・継続施策
- 令和7年度補正予算(2025年11月閣議決定)
- 8,364億円
- 既存基金の活用を含め、実質1兆円規模
▶ 方向性は当初で示し、本気の金額は補正で出す
これが、予算の構造です。
補助金の中身は、補正で“別物”になった
① 成長支援のレベルが一段変わった
【当初予算】
- ものづくり補助金
- IT導入補助金
- 小規模事業者持続化補助金
など、「いつものラインナップ」
▶ 幅広く支えるが、薄く広い
【補正予算】
国が目指したいことがより鮮明になりました。
- 中小企業成長加速化補助金の拡充
- 大規模成長投資支援 4,121億円
- 新規基金2,000億円
- 100億宣言企業向けに1,000億円規模を確保
▶ メッセージは明確。
「全社を救う」ではない
「伸びる会社を、一気に引き上げる」
② 省力化投資は“本気で賃上げ前提”に
【当初予算】
- 省力化支援はあるが、枠・条件はやや見えづらい
【補正予算】
- 省力化投資:1,800億円規模
- 従業員規模別に補助上限を見直し
- 業種別「省力化投資促進プラン」を明示
▶ 単なる設備更新ではなく、「人が足りない会社が、生産性を上げて、賃上げまで持っていけるか」
そこまで見られる補助金設計に変わっています。
③ 伴走支援の“思想”が変わった
【当初予算】
- よろず支援拠点
- ワンストップ相談
→ 待ちの支援
【補正予算】
- 伴走支援体制強化 376億円
- 商工会・商工会議所・認定支援機関がプッシュ型で企業を掘り起こす
▶ 「困ったら来てください」から、「気づいていない企業に声をかける」へ。
だから、11月〜年明けに“準備すべきこと”がある
ここが一番大事です。
◆ 補助金が出てから動く会社
- 事業目的が曖昧
- 投資計画が粗い
- 採択されても、実行が苦しい
◆ 11月から準備している会社
- 国のメッセージを先読み
- 補助金に「合わせる」のではなく「補助金に乗る事業」を作っている
6.補助金を狙う企業が、今すぐやるべき3つの準備
① 投資テーマを言語化する
- 省力化か
- 成長投資か
- 賃上げにどうつながるか
▶ 設備名ではなく「経営課題」で語れるか
② 「2〜3年後」を前提にした計画を描く
補正予算の補助金は、
- 基金化
- 翌年度以降に公募
が前提です。
▶ 来年の売上・人員・利益まで、ラフでもいいから描いておく
③ 社内で「腹落ち」させておく
- 社長だけが熱い
- 現場は他人事
これが一番危ない。
▶ 補助金は「通すこと」ではなく「使い切ること」が本番
おわりに
令和7年度の予算を見て、はっきり言えることがあります。
補助金は、準備した会社にしか渡らない
当初予算は地図。
補正予算は燃料。
11月〜年明けは、エンジンをかける時間です。
<まとめ>
| 観点 | R7当初 | R7補正 |
|---|---|---|
| 役割 | 方針・骨格 | 実弾投入 |
| 規模 | 抑制的 | 一気に拡張 |
| 成長支援 | 広く薄く | 勝ち筋に集中 |
| 補助金 | 定番中心 | 拡充・積み増し |
| 伴走支援 | 受け身 | プッシュ型 |
| 性格 | 計画 | 行動 |
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【中小企業庁ホームページより引用】