はじめに
2月8日の衆議院総選挙に向け、各党が独自の経済政策を打ち出しています。
本記事では、政局の動向ではなく、各党が自ら主導して掲げている「主な公約」が、中小企業の資金繰りにどのような影響を与え得るのかに絞って整理します。
主要政党の公約と資金繰りへの影響
| 政党・勢力 | 自ら主導する「主な公約」 | 資金繰りへのプラス影響 | 資金繰りへの懸念・リスク |
| 自民・維新 | 戦略分野への集中投資 AI・半導体等の支援 | 補助金や税制優遇。先端分野での受注増や設備投資支援。 | 「選別」の強化。従来型中小企業への融資や支援が相対的に厳格化。 |
| 中道改革連合 | 食料品消費税の恒久ゼロ 生活者重視の分配 | 小売・飲食業の需要喚起。長期的な消費下支えによる売上の安定。 | 複数税率による経理事務コスト。財政懸念による金利上昇。 |
| 国民民主党 | 社会保険料の負担軽減 賃上げ企業への助成 | 法定福利費の直接抑制。現役世代の手取り増による内需拡大。 | 減税・歳出増に伴う円安・輸入コスト増と金利の再上昇。 |
| 参政党 | 国民負担率の上限35%設定(注) 消費税・インボイス廃止 | 税・社保負担の総額抑制による手元現金の直接増。 | 財政の信認低下による金利急騰や急激な円安。 |
| れいわ・共産 | 消費税廃止・季節別給付金(注) (年4回の現金給付) | 給付金による消費活性化。インボイス等の事務消滅。 | 通貨価値の下落による物価高騰と金利の制御不能。 |
(注)経営者が知っておくべき2つのキーワード
国民負担率35%とは?
国民負担率とは、所得のうち「税金」と「社会保険料」が占める割合のことです。
現在は約45%(稼ぎの半分近く)ですが、これを35%まで引き下げる公約です。
実現すれば、会社が負担する「法定福利費(社保の会社負担分)」や、社長個人の所得税・住民税が大幅に軽減され、手元の現金を残しやすくなります。
季節別給付金とは?
「季節ごとのインフレ対策給付金」を指します。
大幅な減税が実現するまでの間、インフレ対策として「春夏秋冬の季節ごとに10万円」を一律で現金給付する提案です。
家計の購買力を直接的に補完し、店舗売上などの内需を底上げする効果が狙いです。
資金繰り観点での3つのポイント
公約が実行に移された際、経営者が通帳を守るために見ておくべきポイントは以下の通りです。
1. 金利耐性のストレステスト
どの勢力も大規模な財政支出や減税を掲げており、市場では財政不安から長期金利が上昇傾向にあります。
- 実務の視点:現在の借入金利に+1.0%〜2.0%の上昇を仮定しても、営業利益で利払いを吸収できるか。これが困難な場合、早めの「固定金利への借り換え」を検討すべき局面です。
2.強制的な「人件費上昇」への備え
中道改革・共産などが強く推進する「最低賃金1,500円」への加速は、法的強制力を伴うコスト増です。
- 実務の視点:単に最賃層だけでなく、社内の賃金体系全体の底上げが必要になります。これによる利益率の低下を、業務の自動化や単価アップで補填できるかのシミュレーションが不可欠です。
3.為替のボラティリティ(変動幅)
強力な減税策(消費税廃止や178万の壁)は、消費を刺激する一方で、一段の円安を招く副作用が指摘されています。
- 実務の視点:輸入資材のコスト増が粗利益をどれだけ圧迫するか。為替水準の「予測」に頼らず、原価変動を即座に価格転嫁できる体制の構築が急務です。
まとめ
「178万円の壁」への対応のように、野党の主張を与党が取り込むなど、政策の境界線は曖昧になっています。
しかし、各党が本来目指している方向(投資重視か、家計支援か)によって、資金繰りの「急所」は異なります。
特定の勢力に偏ることなく、提示された公約を「自社の数字」に置き換えて備える。
この冷静なシミュレーションこそが、不透明な2026年を乗り切るための「真の財務設計」です。
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