この記事で分かること
- 銀行がこちらから頼んでもいないのに融資を勧めてくる理由
- 銀行という組織のビジネスモデルと営業構造
- 銀行が「貸したい」と考える会社に共通する特徴
- 銀行との健全な距離感を保つための考え方
はじめに
経営をしていると、銀行の担当者から
「最近の業績はいかがですか?」
「もしよろしければ、追加で融資を検討されませんか?」
と提案を受けることがあります。
資金繰りに余裕があるときほど、このような声がかかることに違和感を覚える経営者も少なくありません。
「お金が必要なときには渋るのに、必要ないときには貸したがる。銀行は勝手なものだ」
と感じるのも無理のないことです。
しかし、銀行のこうした行動には、彼らなりの明確で合理的な理由があります。
銀行がどのような理屈で動いているのかを知っておくことは、場当たり的ではない、戦略的な資金調達を行うための第一歩となります。
銀行のビジネスモデル
銀行がなぜ融資を増やそうとするのか。その根本的な理由は、彼らのビジネスモデルにあります。
銀行の主な収益源は、預金者から預かったお金を企業などに貸し出し、その金利差(利ざや)を得ることです。
銀行にとって「貸付金(融資)」は、利益を生み出すためのいわば「商品」です。
商品を棚に並べておくだけでは利益は出ず、顧客に利用してもらって初めて利益が確定します。
そのため、銀行員には「融資残高」の目標が課されていることが一般的です。
預かっている預金がどれだけ多くても、それを貸し出しに回せなければ、利息を支払うばかりで赤字になってしまいます。
だからこそ、銀行は常に「安全に貸し出せる先」を探し続けているのです。
銀行が追加融資を勧める3つの理由
では、なぜ特定のタイミングで「追加」を勧めてくるのでしょうか。そこには大きく分けて3つの背景があると考えられます。
1.業績が良く返済能力が高いと判断された
銀行が最も避けたいのは、貸したお金が戻ってこない「貸し倒れ」です。
決算書の内容が改善したり、試算表で順調な利益が出ていたりすると、銀行内での格付け(評価)が上がります。
評価が上がれば、銀行にとっては「この会社なら安心して追加で貸せる」というお墨付けが出た状態になります。
彼らにとって、優良な貸出先への増額は、最もリスクの低い利益拡大策なのです。
2.組織として融資残高を増やしたい時期である
銀行には、半期や年度末といった決算期があります。
こうした時期が近づくと、支店全体で融資残高の目標数値を達成するために営業活動が活発になります。
また、国や自治体の制度融資が新設された際や、銀行独自の新商品が出た際にも、積極的に提案が行われます。
これは銀行側の営業的な都合による側面が強いといえます。
3.他行に取引シェアを取られたくない
多くの中小企業は、複数の金融機関と取引をしています。
銀行は常に、他行がどのような条件で融資をしているかを気にしています。
もし自行が追加融資を渋っている間に、他行が低金利で多額の融資を提案してしまえば、
メインバンクとしての地位を奪われたり、将来的な収益機会を失ったりする可能性があります。
防衛策として、先手を打って提案してくるケースも少なくありません。
銀行が積極的に融資を勧める会社の特徴
銀行から声がかかりやすい会社には、いくつかの共通点があります。
第一に、利益が安定していることです。
爆発的な利益よりも、毎期着実に黒字を積み上げている会社は、返済の原資が計算しやすいため好まれます。
第二に、資金繰りが安定していることです。
「お金が足りないから借りる」のではなく「将来の投資や備えのために借りる」という姿勢が見える会社です。
手元資金が厚い会社ほど、銀行は「いざという時も安心だ」と判断し、さらに貸したがります。
第三に、情報の開示がスムーズであることです。
試算表を毎月提出しているなど、日常的なコミュニケーションが取れている会社に対しては、銀行も現状を把握しやすいため、迅速な提案が可能になります。
経営者が理解しておくべきポイント
ここで一つ、冷静に認識しておかなければならない事実があります。
それは、銀行は「困っている会社を助けるための機関」ではなく、
「預金を安全に運用する義務を負った機関」であるということです。
雨が降っているときに傘を貸さず、晴れているときに傘を貸す。
これは銀行の代名詞のように言われますが、組織の構造上、避けられない性質でもあります。
銀行にとっての「良いお客さま」とは、極論を言えば「お金を貸さなくてもやっていけるほど財務が健全な会社」なのです。
だからこそ、経営者は「銀行から提案が来ているときこそ、借りどきである」という視点を持つ必要があります。
本当に資金が必要な「雨の日」になってから頭を下げても、審査は通りにくくなります。
条件が良いときに、将来の備えとして「晴れの日」に資金を確保しておく。
この感覚が、企業の生存率を高めることにつながります。
まとめ
銀行が追加融資を勧めてくるのは、あなたの会社の信用力が高まった証でもあり、同時に銀行側のビジネス上の都合でもあります。
彼らの行動原理は「リスクを最小限に抑えつつ、融資残高を最大化すること」に集約されます。
この原理を理解していれば、提案を受けた際に「なぜ今なのか?」を冷静に分析できるようになります。
銀行からの提案を単なる営業電話と切り捨てるのではなく、
自社の信用格付けを確認するバロメーターとして活用し、有利な条件を引き出す交渉の場として活用してみてはいかがでしょうか。
銀行の考え方を踏まえた対話ができるようになれば、より対等で健全なパートナーシップを築いていくことができるはずです。
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