はじめに
「資金繰り表なんて要らない、通帳を見ればわかる」
そうおっしゃる経営者も少なくありません。
しかし、帳簿上の利益は出ているのに、なぜか手元の現金が足りないという状況は突然やってきます。
これは、実際の現金の動き(キャッシュフロー)と会計上の利益がずれるタイミングを把握しきれていないことが原因です。
精度の高い資金繰り管理を行うために、
なぜ「税込」で作成すべきなのか、
そして実務上で注意すべき支払タイミングのポイントについて解説します。
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この記事で分かること
- 資金繰り表を税込で作成すべき理由
- 「税抜管理」が引き起こす、直前の資金ショートの恐怖
- 消費税や源泉所得税、社会保険料の納付が資金繰りに与える影響
- 買掛金、支払手形、借入金返済などの支出を正確に把握するコツ
勘と経験に頼るリスクと資金繰り表の必要性
「売上が上がっているから大丈夫」という直感は、時に危険です。
黒字倒産という言葉がある通り、利益と現金は一致しません。
特に、大型の受注が決まって仕入れが先行する場合や、納税が重なる時期など、通帳だけを見ていては「数ヶ月先の危機」に気づくことができません。
資金繰り表は、経営の先行きを照らす「ヘッドライト」の役割を果たします。
資金繰り表は「税込」で作成する
実務上の鉄則として、資金繰り表は必ず税込で作成してください。
会計ソフトで決算書(損益計算書)を作る際は、売上や経費を「税抜」で管理するのが一般的です。
しかし、資金繰り表の目的は「実際にお金がいくら残っているか」を確認することにあります。
取引先から入金される金額も、仕入れ先へ支払う金額も、すべて消費税が含まれた金額です。
「税抜管理」の思い込みが招く資金ショートの恐怖
もし「税抜」で資金繰り表を作ってしまうと、どうなるでしょうか。
手元の計算上は「資金は足りている」と思い込んでいたのに、
支払直前になって通帳を見ると、消費税分(10%)の現金が想定以上に減っていることに気づきます。
例えば1,100万円の支払いがある際、税抜の1,000万円で計算していると、100万円の乖離が生まれます。
この「わずかなズレ」が積み重なり、
支払日の数日前に「お金が足りない!」とパニックになり、慌てて銀行へ駆け込んだり、支払い延期をお願いしたりする……。
こうした事態を防ぐためにも、入金も出金も「税込」という通帳の動きに合わせることが不可欠なのです。
消費税の納税時期をあらかじめ組み込む
税込で資金繰り表を作成していると、日々の入金に含まれる消費税も「自分のお金」のように見えてしまいがちです。
しかし、消費税はあくまで「預かっているお金」であり、後でまとめて納税する必要があります。
特に、中間納税がある場合や確定申告時の納税額は、数百万円単位になることも珍しくありません。
納税月になって慌てないよう、あらかじめ納税予定額を支出項目として資金繰り表に組み込んでおくことが不可欠です。
源泉所得税と社会保険料の「支払いサイクル」
税金以外にも、毎月決まって出ていく大きなお金があります。
これらは「給与」とは別の支出として管理するのが実務上のコツです。
- 源泉所得税:
給与や外注費から天引きした分を納付します。
「納期特例」を利用している場合は、1月と7月に半年分をまとめて支払うため、この月の支出は非常に大きくなります。
- 社会保険料:
通常、給与支払日の翌月末に引き落とされることが多く、
会社負担分も合わせた合計額が動くため、インパクトを正確に予測しておく必要があります。
買掛金や支払手形の「支払月」を正確に把握する
売上が上がっても、すぐにお金が入ってくるとは限りません。
同様に、仕入れた代金の支払いも数ヶ月先になることがあります。
- 買掛金の支払い:
締め日と支払日のルール(例:月末締め翌月末払い)を正確に反映させます。
- 支払手形:
手形の発行日ではなく、決済日(引き落とし日)を基準に記載してください。
これらを「売上時期」や「仕入時期」で考えてしまうと、手元の現金不足に気づくのが遅れてしまいます。
借入金返済と利息の動き
銀行借入がある場合、毎月の返済額も大きな支出です。
ここで注意したいのは、損益計算書(PL)には「利息」しか費用として載りませんが、
資金繰り表には「元金の返済額」も載せる必要があるという点です。
「利益は出ているのに返済が進むとお金が残らない」という現象は、この元金返済が原因であることが多いです。
毎月の返済予定表を確認し、約定日に確実に引き落とされる「元金+利息」の合計額を計上しておきましょう。
まとめ
資金繰り表は、経営の「羅針盤」です。
- 通帳の動きと一致させるために税込で作成する。
- 消費税や源泉所得税、社会保険料の「納付月」を正確に入れる。
- 買掛金や借入金返済など、実際の現金の流出日を基準にする。
これらを徹底することで、精度の高い予測が可能になります。
直前になって慌てることのないよう、手元の現金を正確に把握し、余裕を持った経営判断ができる体制を整えましょう。
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