粉飾決算はなぜいけないのか
粉飾決算とは、企業が融資を受けやすくするため、売上を実際よりも多く見せたり、数字を操作して赤字を黒字に変えてしまい、決算書が良く見えるように加工することです。
よほど巧妙な粉飾をしても、数字のプロである金融機関の職員はいずれ気が付きます。
粉飾が発覚すれば、当然、金融機関からの信用は大きく失墜し、完全に信頼を回復することは難しくなります。
その後の融資をはじめ、金融機関との関係性において大きな足かせとなるでしょう。
例えば売上を水増し計上するという粉飾を行った場合、現金か預金、売掛金、受取手形などを対で計上しなければなりませんが、預金は入金がないことが通帳残高ですぐに分かってしまいます。
然らば、現金や売掛金、受取手形を水増し計上するということになりますが、これらが前期比で異様に増えたりしていると、必ず理由を聞かれます。
仮に聞かれなくても、金融機関側で粉飾決算を確信した場合、融資は実行されないでしょう。
そのうえ、次回融資の申込みをしても「この会社は粉飾決算をしていた」という事実は残ってしまうため、門前払いとなるでしょう。
粉飾は「嘘」であり、これを誤魔化すために、水増し分をまた別な科目である貸付金などに移すなど、どんどん現実と乖離してきます。
やがて社長自身も、矛盾した決算書の説明が出来なくなってしまい、元に戻すことが出来なくなってしまいます。
粉飾決算は違法行為
仮に粉飾した決算書で融資を受けられたとしても、金融機関を騙してお金を引き出したということになります。粉飾決算は、銀行に対する詐欺罪(刑法246条2項)、有価証券報告書虚偽記載罪(金融商品取引法第197条)、特別背任罪(会社法第960条)など、様々な法律に抵触する「違法行為」となります。
仮に金融機関が粉飾された決算書に基づき融資を実行、あるいは、粉飾された決算書を信頼して取引が行われた後、貴社が倒産、支払い遅延などが生じて相手方に経済的な不利益を起こしてしまえば、相手方から「損害賠償請求」をされる可能性があります。(会社法462条、429条、金融商品取引法第24条の4など)
前述のとおり、粉飾決算は最後にはバレます。「この場さえ乗り切れれば、融資さえ出てしまえば、あとは何とか乗り切れる」という単純な発想で粉飾を行ってしまうと、バレた時に取返しの付かないことになるのです。
粉飾が行われる代表的パターン
粉飾を行うのは、「売上が少ないので多く見せたい」「利益が少ない、赤字なので黒字にしたい」など、損益計算書の見た目を良くしたいからです。そこで、多く見られる粉飾のパターンをご紹介します。
売上の架空計上・水増し
簿記では仕訳を起こさなければならないので、「売上高」を立てれば、必ず何かしらの相手科目を立てる必要があります。実態のない売上高を立てれば、実態のない「売掛金」「受取手形」等の債権を立てなければならず、その債権は永遠に回収されることはありません。
(借方)売掛金 ××× (貸方)売上高 ×××
※いずれも架空であり、借方の売掛金は回収されないため、ずっと消えない。
勘定科目内訳明細書の「売掛金の内訳書」を数期分見れば、塩漬けになっている(ずっと動かない)売掛金の銘柄はすぐに分かります。
相手勘定に「預金」を立てるのは難しいでしょう。なぜなら通帳ですぐ照合出来てしまうからです。
相手科目に「現金」を立てる粉飾は多いと言われていますので、あまりに多額の現金勘定が計上されていたり、前期から急に増えたりした場合は粉飾を疑われるでしょう。
売上高の年度間調整
3月締めの年度末は、翌期首から5月初旬頃までかけて作成しますが、3月までの決算が赤字であった場合、4月分の売上を3月に前倒し計上してしまう方法です。
[3月]売掛金 ××× (貸方)売上高 ×××
[4月]本来上がるはずの上記売上高の計上なし
この場合、売買契約が4月付けであるなど、エビデンス(4月)と会計整理(3月)にズレが生じてしまうため、説明が出来なくなります。
諸経費や原価の未計上
同じく赤字回避のため、一旦計上していた諸経費や仕入を次年度へ後ろ倒しして、当年度の計上を消してしまう方法です。
[適正な仕訳](借方)諸経費 ××× (貸方)未払費用 ×××
[諸経費の打ち消し](借方)仮払金? ××× (貸方)諸経費 ×××
これも簿記の仕訳を起こさなければならず、費用を消した分、何等かの資産を立てなければなりません。費用の打ち消しと対にするのは「仮払金」「貸付金」などの資産科目が考えられますが、いずれも内容が不明確であり、銀行査定上も貸借対照表上でキャンセルされ、自己資本はその分減額評価されてしまいます。
在庫の水増し
粗利=売上高ー売上原価ですが、
売上原価=期首棚卸資産+当期仕入高ー期末棚卸資産
であるため、売上原価を減らすために「期末棚卸資産」を増やす方法です。
そうすれば粗利=売上高ー売上原価が増えるため、赤字を黒字に変えることが出来ます。
この手法は、実際にはない棚卸資産を計上することになるため、実際の在庫よりも会計上の棚卸資産の方が大きくなります。
実際の在庫 < 会計上の棚卸資産
2期分の貸借対照表を見て、棚卸資産が急増していれば、在庫水増しが疑われることとなります。
まとめ
粉飾決算の動機は、融資を受けたい他にも、許認可の条件クリアのため、入札参加要件のため、与信管理のためなど、様々な場面が想定されます。
粉飾決算は最後にはバレます。「この場さえ乗り切れれば、融資さえ出てしまえば、あとは何とか乗り切れる」という単純な発想で粉飾を行ってしまうと、バレた時に銀行や取引先からの信頼を大きく損なうばかりか、そもそも違法行為であり、損害賠償請求の対象にもなります。
粉飾を繰り返しているとやがて社長自身も、矛盾した決算書の説明が出来なくなってしまい、元に戻すことが出来なくなってしまいます。
目先の誘惑に惑わされることなく、粉飾はしない!と決めましょう。
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