相続税がかかる方
日本全国で相続税の課税人数は、年間約13万4千人(2022年)です。
被相続人(死亡者)が年間約158万人なので、「課税割合」(=課税人数/死亡者数)は8.5%、100人に8〜9人となっています。
相続税は、相続や遺贈によって取得した財産および相続時精算課税の適用を受けて贈与により取得した財産の価額の合計額(債務などの金額を控除し、相続開始前3年以内の贈与財産の価額を加算します。)が基礎控除額を超える場合に、その超える部分(課税遺産総額)に対して課税されます。
ここで「基礎控除額」は
3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
の算式で計算されます。
例えば、法定相続人が3人(妻と子2人)なら3,000万円+600万円×3人=4,800万円までの相続であれば、相続税はかかりません。
相続税には特例措置が用意されている
相続税がかかる場合の特例措置として「小規模宅地等の課税価格の計算の特例」という制度があります。
これは、被相続人(亡くなった方)の居住用や事業用であった宅地に高額な相続税が課されると、相続税を支払うためにその宅地を処分しなければならなくなり、相続人が居住したり事業を引き継ぐことができなくなってしまうことを抑えるための制度です。
このような宅地(一定の要件※を満たした宅地)については、この制度を使えば、通常の評価額から一定割合の評価減を受けることができます。
なお、評価額は「路線価方式」(主に市街地の評価に適用)や「倍率方式」(郊外などの路線価がない場合に、当該土地の固定資産税評価額に評価倍率を乗じて計算)で求められます。
※一定の要件は以下のとおりです。
| 用途 | 区分 | 限度面積 | 減額割合 |
|---|---|---|---|
| 居住用 | 特定居住用宅地等(注1) | 330m2 | 80% |
| 事業用 | 特定事業用宅地等(注2) | 400m2 | 80% |
| 事業用 | 貸付事業用宅地等 | 200m2 | 50% |
(注2)取得した人が申告期限まで事業を引き継いだ場合など
「特定居住用宅地等」というのは、簡単に言えば、亡くなった人が住んでいた家の土地です。
「特定事業用宅地等」というのは、簡単に言えば、亡くなった人が経営していた会社の敷地です。
「貸付事業用宅地等」というのは、簡単に言えば、亡くなった人がアパート経営や貸倉庫・貸事務所等を保有していた場合の敷地です。
これらの土地を相続した場合、多額の相続税を課せられてしまったら、相続した土地を売却して納税資金を用意しなくてはならないかもしれません。
居住用の宅地は、相続人等の生活基盤となる大切な宅地等であり、相続したが故に売却しなければならないと、住む場所が無くなってしまいます。
また、事業用宅地は、老舗の会社が、相続税のために経営が出来なくなってしまっては、日本の産業が代替わりのために失われてしまうおそれが生じます。
こうした事態を避けるため、相続税における税制優遇を設け、相続による承継をスムーズに行えるようにしているのです。
相続のことを考え始めた社長様は、ぜひとも押さえておくべき内容です。
具体的な計算例
例えば、
相続する特定居住用宅地300m2
評価額が3,000万円
相続税率が10%
基礎控除をしても相続税が課税される場合、
この特例制度を使わなければ、
3,000万円×10%=300万円の相続税がかかるところ、
特例を使うことで
[3,000万円×(1-80%)]×10%=60万円の相続税で済む
ということになります。
限度面積を超える部分については、この特例は適用されません。
また、この特例を適用するためには、相続税の申告期限(相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヵ月以内)までに遺産分割を済ませておく必要があります。
坪単価が都市部で330m2以下の土地に住んでいる場合、大きく相続税を減らす効果があります。
事業用と居住用は税制優遇の併用が可能
3つのカテゴリーの宅地(特定居住用宅地等、特定事業用宅地等、貸付事業用宅地等)に対し、優遇措置があるとお伝えしました。
いずれも各カテゴリーで「限度面積」が設けられていますが、これらのカテゴリーは併用が出来ます。
貸付事業用宅地等(貸しているアパートの土地等)がなければ、完全併用できます。
この場合、最高で400m2(特定事業用)+330m2(特定居住用)=730m2
まで適用可能です。
しかし、貸付事業用宅地等がある場合は、以下の式により、面積が制限されます。
特定事業用等宅地等の適用面積×200/400
+特定居住用宅地等の適用面積×200/330
+貸付事業用宅地等の適用面積
≦200m2
仮に1m2当たりの評価額が同じなら、減額の絶対値が大きい順に、
特定事業用等の宅地等 > 特定居住用の宅地等 > 貸付事業用宅地等
の順に適用すれば、減税効果が最大になります。
まとめ
まず、社長様ご本人が亡くなった際に、相続税が課税されるかどうか。もし相続税がかかるとなれば、居住用の土地か事業用の土地だけであれば、相続税の土地評価額(面積制限あり)は8割減となりますので安心です。
一方、貸付事業用宅地等がある場合、相続税の優遇は限定的になります。
これは、貸付事業用の土地は、居住用や自社事業用と違い、切迫感がないから、という見方もあります。土地の評価額の減額割合も、居住用や自社事業用が80%であるのと比べ、50%に留められています。
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