~経営判断を変える“儲け”の本質~
「とにかく売上を上げろ!」
これは、多くの経営者が口にする言葉です。確かに、売上は会社の血流のようなもの。売上がなければ、事業は始まりません。
しかし、売上ばかりを追いかける経営は、時に会社を危機にさらすことがあります。
実は、社長が本当に意識すべきなのは「売上」ではなく、「粗利(=粗利益、売上総利益)」です。
当記事では、「なぜ売上よりも粗利を重視すべきなのか?」という点を、中小企業の社長にも分かりやすく解説します。
粗利とは何か?
まずは基本的な定義から整理しましょう。
粗利(売上総利益)=売上高 - 売上原価
つまり、商品の販売価格から、その商品を仕入れたり作ったりするためにかかった費用(原価)を引いた金額です。
例えば…
- 商品を1個1,000円で仕入れ、1,500円で販売した場合
→ 粗利は500円(1,500-1,000)
- 同じ商品を1,200円で販売したら
→ 粗利は300円(1,200-1,000)
このように、売上がいくらあっても、粗利が少なければ手元に残る利益も少なくなります。
売上を伸ばしても儲からない?
売上至上主義の落とし穴はここにあります。
たとえば、以下の2社があったとします。
| 会社 | 売上高 | 粗利率 | 粗利額 |
|---|---|---|---|
| A社 | 1億円 | 10% | 1,000万円 |
| B社 | 5,000万円 | 40% | 2,000万円 |
一見、A社の方が売上は2倍ありますが、実際に残る粗利はB社のほうが多いのです。
つまり、B社の方が「効率よく儲かっている」と言えます。
売上が大きくても、原価が高すぎたり、値引き競争に巻き込まれていたりすれば、利益がほとんど残らないというケースは少なくありません。
粗利が経営を左右する理由
粗利は、会社が自由に使えるお金の“源泉”です。
この粗利から、人件費、家賃、水道光熱費、広告費などの経費を払い、最終的な利益(営業利益や純利益)になります。
つまり、粗利がなければ、いくら売っても人件費も払えず、赤字になるのです。
また、銀行や金融機関も、融資審査の際に粗利率を重視します。
粗利が安定して高ければ、経費削減などの工夫で黒字転換できる可能性が高いためです。
社長が意識すべき3つのポイント
ここからは、実際の経営判断に活かすために、社長が「粗利」をどう見るべきか、3つのポイントを紹介します。
1.「粗利率」を把握せよ
売上に対する粗利の割合=「粗利率」を常に意識しましょう。
例えば、
- 売上1,000万円で粗利300万円
→ 粗利率30%
- 売上1,000万円で粗利100万円
→ 粗利率10%
この数字を商品ごと、得意先ごとに出すと、「儲かる取引」「利益が出ない仕事」が明確になります。
2.「利益が残る価格設定」を考えよ
値引きや安売りは、一時的に売上を上げるかもしれませんが、粗利を削ってしまいます。
例えば、粗利率20%の商品を10%値引きしたら、粗利は半分になることもあります。
価格設定は「売れるかどうか」だけでなく、「儲かるかどうか」で決めることが重要です。
3.「粗利の高い商品・事業」に力を入れよ
粗利の高い商品に注力することは、経営改善の最短ルートです。
例えば、仕入れ型の商売(粗利10~20%)よりも、オリジナル商品やサービス提供型(粗利50%以上)に注力するなど、構造改革を意識するのも1つの手です。
「売上の呪縛」から自由になれ
中小企業の経営者は、つい「売上目標」を掲げがちですが、「粗利目標」の方が会社の実態に即した経営指標になります。
売上の数字に一喜一憂するのではなく、「どれだけ手元に残ったか」を常に確認する習慣をつけましょう。
月次決算でも、試算表でも、「粗利」の欄を必ずチェックすることが、黒字経営への第一歩です。
まとめ
🔷 売上よりも粗利を重視すべき理由
🔷 粗利がなければ経費も払えず、会社は回らない
🔷 商品・顧客ごとの粗利を把握して戦略を立てよ
「売上は虚像、粗利は実像、現金は真実」とも言われます。
ぜひ、明日からの経営判断の軸を「売上」から「粗利」へシフトしてみてください。
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