こんにちは。中小企業財務コンサルを専門としております行政書士、1級FP技能士、銀行融資診断士®の本間です。
「社長、売上は順調に伸びていますね!」
銀行の担当者や取引先から、そんな声をかけられたとき、多くの経営者は胸を張りたくなるものです。
しかし現実には、「なぜか手元のお金が足りない」「支払いがキツくなってきた」という不安が同時に押し寄せることがあります。
これは単なる気のせいではなく、売上増加の裏側に潜む“資金繰りの落とし穴”です。
今回は、その理由と対策を分かりやすく解説します。
売上は「入金前」に発生する
売上が増えても、会社の口座にすぐ現金が増えるわけではありません。
BtoB取引ではほとんどが掛取引で、請求後30日~60日後に入金されます。
たとえば、3月に売上1,000万円を計上しても、入金は4月末や5月中旬。
その間、その売上は「売掛金」という未回収の数字として帳簿に載っているだけです。
売上が急増すれば、売掛金の額も同じスピードで膨らみます。
つまり、利益は紙の上で増えても、現金はまだ増えないのです。
支払いは「先」にやってくる
一方で、その売上を作るために必要な仕入代、外注費、人件費は先に支払わなければなりません。
- 材料仕入:売上の1~2か月前に発注・支払い
- 外注費:作業完了後すぐ支払い
- 人件費:毎月末や翌月初に支払い
先ほどの例でいうと、3月の売上1,000万円のために、2月末には仕入代500万円を支払い、3月中旬には外注費や運送費も支払う。入金はまだ先…。
こうして、お金の出口が先、入口が後という時間差が発生します。
利益は増えても現金が減る構造
利益=現金と思っていると、このギャップに驚きます。
売上増加期は、利益は確かに増えているのに、現金が足りない状態が続きます。
これは「利益が売掛金や在庫に変わっているだけ」で、まだ現金化されていないからです。
売上増期に資金繰りを圧迫する追加要因
売上増加期には、次のような要因がさらに現金を減らします。
- 在庫増加
需要増に備えて在庫を積み増すと、その分の現金が在庫に変わります。 - 増員・設備投資の前倒し
売上に対応するための人件費や設備投資は支払いが先行します。 - 消費税の負担
消費税は売上に比例して増え、資金流出を加速させます。
簡単な数値例
次の条件で考えてみましょう。
- 売上:月1,000万円 → 1,200万円に増加(20%増)
- 売掛回収:2か月後入金
- 仕入・外注:売上の50%、支払いは1か月後
- 在庫:売上の1か月分保持
売上が20%増えると、売掛金は2か月分で400万円増、在庫も200万円増。
この時点で運転資金は600万円増加し、現金がそれだけ必要になります。
利益が出ていても、この運転資金の増加分を用意できなければ資金ショートに陥る危険があります。
フローで見る資金の時間差
【売上増加時の資金の流れ】
① 仕入・経費支払い(現金▲) → ② 売上発生(帳簿上+) → ③ 入金(現金+)
※①と③の間に時間差があり、この差が大きいほど苦しくなる
売上が増えると、このタイムラグで動く金額も大きくなるため、現金不足のリスクも比例して高まります。
対策の方向性
売上増加期の資金繰り悪化を防ぐには、次のような手を打つことが有効です。
- 運転資金の増加分を事前に試算
「売上をいくら増やすと運転資金が何円必要か」を数字で把握する。 - 回収条件の改善
回収サイト短縮や前受金の活用。 - 支払条件の交渉
支払いサイト延長や分割払い。 - 在庫回転率の向上
在庫の滞留を減らす。 - 資金調達をセットで計画
売上増期は利益重視より資金重視の経営判断が重要。
まとめ
売上増加は会社の成長の証ですが、その裏側には資金繰りの落とし穴があります。
「売上が増えているのに苦しい」というのは、経営が間違っているわけではなく、お金の出入りのタイミングのズレによるものです。
だからこそ、売上増加期こそ資金繰り表とにらめっこし、必要な運転資金を確保してからアクセルを踏むことが大切です。
この視点を持つだけで、会社の成長を資金不足で止めるリスクを大きく減らせます。
本記事をお読みになり、「うちも売上は伸びているのに資金が苦しい」と感じる社長は、早めの対策をお勧めします。
必要であれば、簡単に運転資金の増加額を試算できるモデルもご提供できますので、お気軽にご相談ください。
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