こんにちは。中小企業財務コンサルを専門としております行政書士・1級FP技能士・銀行融資診断士®の本間です。
今回は「為替147円/ドル」「長期金利1.6%」という2025年9月現在の足元の経済環境が、燕三条地区の中小製造業にどう影響するのか、そして社長が今どんな備えをすべきかをお伝えします。
為替147円/ドルがもたらす二極化
まずは為替。円安が進み、1ドル147円前後(2025年9月現在)という水準が定着しています。
燕三条の特徴は、「輸出ブランド企業」と「国内下請け加工業」の二極化です。
- 輸出比率が高い企業(カトラリー、包丁、金属洋食器メーカーなど)
海外販売分は円建てに換算すると売上が増加します。
例えば100ドルの商品は110円時代なら11,000円でしたが、147円なら14,700円。円安メリットが出やすい構造です。
ただし、海外の販売代理店が「為替分値下げしてほしい」と交渉してくるケースも多く、必ずしも利益が膨らむわけではありません。
- 下請け中心の企業(金属部品加工、研磨、プレスなど)
原材料の多くは輸入に依存しており、ステンレスや特殊鋼材の仕入価格が上昇しています。
販売先に十分な価格転嫁ができなければ、粗利率が圧迫され資金繰り悪化につながります。実際に「円安メリットより原材料コスト増が重い」との声も多く聞かれます。
つまり「輸出企業には追い風、下請け企業には逆風」というのが実態です。これが燕三条の円安効果の“二極化”です。
長期金利1.6%のインパクト
次に金利。
10年国債利回り=長期金利は1.6%前後(2025年9月現在)にまで上昇しています。
この数字そのものが中小企業の借入金利になるわけではありませんが、銀行は長期金利や短期プライムレートを基準にスプレッド(上乗せ幅)を加えるため、融資金利全般に上昇圧力がかかっています。
- 借入コストの増加
例えば、7〜10年の長期借入(保証協会付き) では、これまで0.9〜1.0%程度で借りられていた資金が、最近では1.5〜2.0%台に上昇してきています。
保証料を含めれば実質負担は2〜3%台になるケースも珍しくありません。
1億円を10年で借入する場合、金利0.5%の上昇だけで総返済額は数百万円増える計算です。
薄利の中小企業にとっては重い負担です。
- 投資マインドへのブレーキ
燕三条の企業は設備投資需要が大きいですが、「利息負担が増えるなら今は控えよう」と更新投資を先送りする動きも出やすいです。
- 銀行側の変化
長期金利が上がると銀行の利ザヤは改善します。
そのため貸出意欲は高まる一方、返済能力を見る目はシビアになり、財務内容をきちんと説明できるかどうかが融資可否を分ける要因になります。
為替・金利環境下で社長が取るべき対応
1.資金繰りシミュレーション
「もし材料費が10%上がったら」「もし金利が0.5%上がったら」といったシナリオを資金繰り表に反映させましょう。
粗利率・返済負担・キャッシュ残高がどう変化するかを把握することで、打ち手を先回りできます。
2.価格転嫁の交渉材料を整える
原材料や為替の影響を数字で示し、仕入れ先や販売先に説明できる資料を用意しておくことが大切です。
特に大手取引先との価格交渉では、根拠資料があるかどうかで説得力が大きく変わります。
3.借入条件の見直し
長期金利上昇により、変動金利で借りている場合は返済額が膨らむリスクが出てきます。
そこで以下の工夫が有効です。
- 返済期間を延長する
金利上昇で毎月の返済が増えた場合でも、期間を延ばせば 月々の元本返済を薄くして資金繰りを安定化 できます。
総利息は増えますが、「利息負担よりも資金ショートを避ける」ことを優先するのが現実的な経営判断です。
- 固定金利への切り替え
今の水準で固定してしまえば、将来さらに上がるリスクを避けられます。
「これ以上上がらない安心感」が得られるのは大きな意味があります。
- 複数の借入を一本化
バラバラの返済日や金利条件を一本化し、返済管理を楽にすることで資金繰りを見通しやすくします。
交渉次第では金利を下げられる場合もあります。
- 保証協会付きとプロパーのバランスを取る
保証料込みで実質金利が高くなっている会社は、プロパー融資に切り替えられないか検討する余地があります。
4.銀行への説明力強化
銀行は「多少利益が減っても返済可能か」を重視しています。
債務償還年数やEBITDAマージンを資料化し、将来の資金繰り見通しを示せると評価は上がります。
「数字に基づいて説明できる会社」こそ融資に強い会社です。
燕三条の社長へのメッセージ
為替147円・長期金利1.6%という局面は、地域の中小企業にとってまさに両刃の剣です。
輸出ブランドを持つ会社にはチャンスが広がる一方、下請け中心の企業には資金繰り悪化リスクが迫っています。
しかし、どちらの立場にあっても共通して必要なのは「数字で把握し、数字で説明する」姿勢です。
資金繰り表・収支シミュレーション・事業計画書を活用して、為替や金利の変動に備えることが、健全な企業経営への第一歩です。
まとめ
- 為替147円は「輸出企業には追い風」「輸入依存型には逆風」。
- 長期金利1.6%は「歴史的には低水準」だが「中小企業の借入金利を押し上げる要因」。
- 必要なのは「資金繰りシミュレーション」「価格転嫁の資料化」「借入条件の見直し(返済期間延長=元本返済の軽減・固定金利化・一本化)」「銀行への説明力」。
燕三条の中小企業が持続的に成長していくためには、為替や金利の変動を単なる環境変化ととらえるのではなく、経営改善のきっかけとして活かす視点が欠かせません。
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