こんにちは。中小企業の財務コンサルを専門としております行政書士・1級FP技能士・銀行融資診断士®の本間です。
今回はフィクションを通じて、物価高や人件費・エネルギー高騰で苦しむ燕三条の金物メーカーの「銀行に伝わる経営計画」と「資金調達の組み立て方」を解説します。
社長の悩み
田中社長(仮名)は、原材料高騰で粗利率が30%から26%へ低下し、頭を抱えていました。
「値上げすれば得意先が離れる。現状維持では利益が出ない…」
価格競争に巻き込まれ、行き詰まりを感じていたのです。
気づきと戦略
ある百貨店催事で職人が実演販売したところ、普段なら売れ残る包丁が即完売しました。
「人は商品そのもの以上に“背景の物語”を買っている」―ここに突破口がありました。
田中社長は決断します。
「職人技を前面に出した新ブランドを立ち上げる」。
- 職人の顔や製造工程をパッケージや動画で見せる
- 小ロットの高付加価値品を開発
- ギフト・インバウンド需要を狙う
経営計画の骨子
現状分析
- 売上高:3億円(横ばい)
- 粗利率:26%(原材料高騰で悪化)
戦略
- 新ブランド投入で利益率改善
- 初年度は限定ロットで市場反応を検証
数値計画
- 投資額:500万円(設備)+500万円(運転資金)
- 新ブランド売上:初年度3,000万円 → 3年後7,000万円
- 営業利益率:3% → 7%へ改善
融資戦略:設備と運転を分ける
設備資金(中期)
- 借入額:500万円
- 期間:5年
- 投資内容:
- 小ロット対応の小型プレス機更新
- 職人技を発信する撮影・展示設備
- 高級パッケージ対応の小型機械
- 年間返済:約104万円
運転資金(短期継続融資)
- 借入額:500万円
- 期間:1年(短期継続)
- 使途:初回仕入300万円+広告費150万円※+支払サイト差50万円
- 返済:期日一括(実際は更新)、利息のみ約6万円
※ 広告費は本来「費用」であり短コロに馴染みにくいのですが、「新ブランド立ち上げに伴う一時的運転資金」として仕入等とまとめて説明すれば、銀行も前向きに検討しやすくなります。
年間返済合計
- 設備資金104万円+運転資金6万円=約110万円
銀行への説明の仕方
「既存事業は原材料高騰の影響で収益性が低下していますが、日常の運転資金は現有資金と既存融資でなんとか回せています。
ただ余裕は大きくなく、将来の不測の事態に備える意味でも資金的な厚みが必要です。
今回申請する1,000万円は、新ブランド立ち上げのための追加資金が主目的ですが、結果として資金繰り全体の安全余裕度を高めることにもつながります。
内訳は、
①小ロット対応の機械更新・PR設備などの設備資金500万円
②初回仕入・広告宣伝などを含む一時的運転資金500万円
です。
運転資金については短期継続融資(短コロ)を想定していますが、これは既存の取引実績や信頼関係が前提となるため、御庫と相談しながら柔軟に組み立てていきたい考えです。」
銀行との対話
信用金庫担当者は計画を見てこう言いました。
「既存事業は利益率が下がっている点は課題ですが、資金繰りは維持できています。
追加で必要なのは新ブランド分の1,000万円ですね。
設備資金は5年返済で妥当ですし、運転資金については短コロを前提にするにしても、取引実績がある当社だからこそ対応できます。
資金使途も具体的で、返済負担も年間110万円なら十分に可能です。」
結果、希望通りの融資が実行され、田中社長は新ブランド立ち上げに踏み出すことができました。
経営者の覚悟
「価格競争に巻き込まれていたら淘汰されていた。これからは“物語”を武器に戦う。
銀行が応援してくれたのは、計画を数字で示し、資金使途を現実的に組み立てたからだ。」
まとめ
銀行は夢や情熱では融資しません。必要なのは、
- 課題 → 戦略 → 数値計画 → 融資戦略 → リスク対応の流れ
- 設備と運転資金を分け、使途と期間を合理的に設定
- 短コロを活用し「既存は足りている。追加分だけが必要」と説明すること
物価高で苦しむ中小企業も、オリジナリティある戦略を数字に落とし込み、銀行目線で資金を整理すれば、新しい道を切り開けます。
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