こんにちは。中小企業の財務コンサルを専門としております行政書士・1級FP技能士・銀行融資診断士®の本間です。
「借りた金は返すな」という言葉、聞いたことはありませんか?
とても刺激的ですが、実は正しい場合と間違っている場合の両方があるのです。
大切なのは、融資の性質を理解し、それに合わせて借り方・返し方を変えること。
誤れば、黒字経営でも資金が回らず倒産につながります。
融資は大きく4つの種類に整理できますが、その中心となるのが「設備資金」と「運転資金」です。
それぞれ「返すべきかどうか」を問いながら整理してみましょう。
設備資金は返すべきか?
答えは 「必ず返すべきお金」 です。
店舗改装や機械導入などのために借りる設備資金は、長期(10〜15年)で調達し、設備が生み出すキャッシュフローで返済するのが原則です。
このとき注意したいのは、期待したほどの利益が出なかった場合。
返済の穴埋めに赤字補填の融資を使うと、負債だけが膨らみ、資金繰りが悪化します。
典型的な「負のスパイラル」です。
また、繰り上げ返済は基本的にお勧めできません。
事業には予期せぬ支出がつきものだからです。手元資金を厚く残しておくことの方が経営の安全度を高めます。
経常運転資金は返すべきか?
答えは 「返してはいけないお金」 です。
売掛金や在庫に固定される資金は、事業が続く限り必ず必要で、なくなることはありません。
理想は短期継続融資(1年更新)で借り、毎年更新し続けること。
事業を畳むときに売掛金や在庫を換金して返す設計です。
ところが多くの企業は設備資金と同じように長期で借りてしまい、毎月の返済で運転資金が減少。
資金が足りなくなってはまた借りる…という悪循環に陥っています。
運転資金は「返さない」ことが安定経営の条件。
銀行との信頼関係を築き、更新型で借り続けられる体制を整えるのが理想です。
赤字補填の運転資金は返すべきか?
答えは 「必ず返さなければならないお金」 です。
経営赤字を埋めるための融資は、本来教科書的には存在しないはずですが、コロナ融資のように政策的に供給される場合があります。
これはあくまで「立て直し資金」。改善が前提であり、黒字化して生まれるキャッシュフローで返すものです。
改善が進まなければ返済が重荷になり、追加借入を繰り返す危険なスパイラルに陥ります。
「借りた金は返すな」を真に受けてこの融資を返さずにいると、債務償還年数が20年、30年と膨らみ、出口が見えなくなります。
お付き合いの運転資金は返すべきか?
答えは 「減らさなくてもよいお金」 です。
新しい銀行との取引で「とりあえず借りてください」と勧められることがあります。
これは手元資金を厚くし、不測の事態への備えや、チャンスを掴むための資金として活用できます。
返済は契約通り行いますが、返した分を折り返しで再度借り入れることで残高を維持します。
こうすれば「減らさない」扱いが可能です。
金利負担は発生するものの、キャッシュポジションを厚くするメリットや、銀行との関係強化につながるメリットは大きいといえます。
まとめ ― 融資の性質を見極める力を持とう
同じ「借金」でも性質はまったく異なります。
- 設備資金 → 必ず返すべきお金
- 経常運転資金 → 返してはいけないお金
- 赤字補填資金 → 必ず返すべきお金
- お付き合い資金 → 減らさなくてもよいお金
「借りた金は返すな」という言葉は、時に正しく、時に危険な誤解を招きます。
重要なのは、融資の種類ごとに正しい扱い方を見極めることです。
資金繰りに不安を感じる社長は、一度専門家とともに資金繰り表を作り、自社にとっての最適な借り方・返し方を整理してみてください。
それが安定経営の第一歩となります。
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