こんにちは。中小企業財務コンサルを専門としております行政書士、1級FP技能士、銀行融資診断士®の本間です。
「損益分岐点」という言葉は聞いたことがあっても、その意味や計算方法を正確に理解している経営者は意外と多くありません。
今回は、損益分岐点の考え方ついて解説します。
損益分岐点売上高とは
損益分岐点売上高とは、売上高と総費用(固定費+変動費)がちょうど同じになり、利益がゼロになる売上高のことです。
この売上高を超えると利益が出始め、下回ると赤字になります。
固定費+変動費が損益分岐点売上高なので、計算式は以下のとおりです。
損益分岐点売上高 = 固定費 + 変動費 (=売上高×変動費率※)
※ 売上高に対する変動費の割合
方程式で表してみましょう。
売上高をXとすると、
X = 固定費 + X×変動比率
→ XーX×変動比率=固定費
→ (1-変動比率)X=固定費
→ ∴X=固定費 ÷(1-変動比率)
すなわち、
損益分岐点売上高=固定費÷(1ー変動比率)
となります。
数値例で理解する
ある飲食店の固定費(家賃、正社員の給料、リース代など売上に関係なく発生する経費)が140万円、変動比率(仕入、配送料など売上に比例する経費の割合)が30%だとします。
売上高を X とすると、
損益分岐点売上高(X)=固定費(140万円)+変動費(0.3 × X)……売上高と費用がイコール
→ (1-0.3)X=140万円
→ 0.7 X =140万円
→ ∴ X=200万円
つまり、このお店は月商200万円を超えて初めて利益が出始めます。
人件費を追加する場合の影響
例えば、自分の人件費を560万円と設定すると、固定費が140万円+560万円=700万円になります。
X=固定費(700万円)+変動費(X×0.3)
→ 0.7X =700万円
→ ∴X=1,000万円
つまり、単純に560万円分の売上を増やせば良いわけではなく、変動費を考慮すると、必要な売上増加額はさらに大きくなることが分かります。(Xが200万円から1,000万円に増えているのが分かります。)
実務での注意点
従業員を雇用する場合も同じ原理です。
給料以外にも福利厚生費、交通費、通信費などの固定費が追加されるため、損益分岐点売上高はさらに上がります。
また、給料や家賃は毎月発生するため、キャッシュベースでの売上確保が必要です。
もしキャッシュが不足すれば、借入や融資を検討せざるを得ません。
まとめ
- 損益分岐点売上高とは、売上高と総費用(固定費+変動費)がちょうど同じになり、利益がゼロになる売上高のこと
- 損益分岐点売上高=固定費÷(1-変動費率)
- 固定費や変動費率が変わると、損益分岐点も大きく変動する
- 新たな投資や人件費増加は、必要売上の増加に直結する
経営は数字の積み重ねです。
限界利益と損益分岐点を押さえることで、「いくら売れば黒字になるか」を具体的に把握でき、経営判断の精度が格段に上がります。
一般的な変動費率
一般的な変動費率(売上高の〇%)の目安は以下のとおりです。
| 業種 | 変動比率 | 変動費の具体例 |
|---|---|---|
| 飲食業 | 30~40% | 食材、飲料仕入 |
| 小売業 | 50~80% | 商品仕入、包装費、運送費 |
| 建設業 | 40~60% | 材料仕入、外注費 |
| 製造業 | 50~60% | 材料仕入、外注費 |
| 美容業 | 10~20% | 材料仕入 |
| 学習塾 | 5~20% | 教材費、映像授業料 |
| サービス業 | 0~20% | 基本的になし |
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