こんにちは。中小企業の財務コンサルを専門としております行政書士・1級FP技能士・銀行融資診断士®の本間です。
今回は「棚卸差異」をテーマに取り上げます。
年に一度の決算や定期棚卸で、帳簿上と実在庫の数量が合わないことはよくあります。
しかし、この差異を「仕方ない」と流してしまうと、会社の利益は大きく失われていきます。
棚卸差異は「現金の流出」と同じ
棚卸差異が出ると、多くの経営者は「計算違いかな」「仕入れや出庫の記録漏れかも」と軽く考えがちです。
しかし、在庫が実際に減っているなら、それは 現金が失われたのと同じ意味 を持ちます。
例えば帳簿上は100個あるはずの商品が、実際には95個しかないとしましょう。
この「5個の差異」は、帳簿上の数字を修正すれば片付く話ではなく、5個分の原価が損失になっているということです。
例:棚卸差異500万円のケース
具体的な数字で考えてみます。
ある卸売業の会社で、期末棚卸をしたところ、帳簿上では在庫5,000万円あるはずが、実際は4,500万円しかありませんでした。
つまり、棚卸差異500万円 が発生したのです。
この500万円は帳簿上「在庫減耗損」として処理されますが、実際には 500万円分の現金が消えた のと同じ意味を持ちます。
損失を取り返すにはどれだけ売らなければならないか
ここで粗利の視点を加えてみましょう。
仮に粗利率30%の商品構成だとすると、500万円の損失を取り返すために必要な売上高は:
500万円 ÷ 0.3 = 約1,667万円
です。
つまり、500万円の棚卸差異を埋め合わせるには、1,600万円以上の売上努力 が必要になるのです。
数字で見る「棚卸差異の怖さ」
- 棚卸差異500万円
- 粗利率30%なら、必要売上は約1,667万円
- つまり「在庫の数え間違い・紛失」が、数千万円の売上努力を無駄にする
たった数%の在庫差異でも、売上換算すると桁違いの努力が必要になることがわかります。
棚卸差異の原因は?
棚卸差異が発生する要因は様々です。
- 記録ミス
仕入や出庫の伝票入力漏れや二重計上。 - 紛失・盗難
倉庫内での取り違えや、一部商品の持ち出し。 - 破損・劣化
サビや変形で使えなくなったが、記録されていない。 - 数え間違い
棚卸作業時の単純なヒューマンエラー。
「小さなズレ」が積み重なって、最終的に大きな金額差になるのが棚卸差異の怖いところです。
経営者が意識すべきポイント
- 棚卸差異は「利益を奪う損失」だと認識する
数字を合わせる作業ではなく、経営的に大きな意味を持つ。
- 粗利ベースで換算してみる
「差異500万円=売上1,600万円の努力」と置き換えると重みが理解できる。
- 社内で共有する
現場スタッフに「数え間違い1個が何万円の売上努力になるのか」を数字で示すと意識が変わる。
棚卸差異を防ぐための実務的工夫
- 定期的な実地棚卸:年1回ではなく、四半期や月次で確認する。
- IT活用:在庫管理システムやバーコード管理で記録ミスを減らす。
- Wチェック体制:棚卸は必ず2人以上で相互確認する。
- 現場教育:「差異=売上数倍分の無駄」を伝えて危機感を持たせる。
銀行も棚卸差異を見ている
銀行の目から見ると、棚卸差異の多い会社は「内部管理が甘い」「数字が信頼できない」と評価されます。
実際、決算説明の場で「在庫差異が毎年出ている」と言えば、担当者の心証は悪化します。
逆に「棚卸差異を削減する仕組みを導入した」と説明できれば、管理体制がしっかりしている会社として評価が上がります。
まとめ:数字で危機感を持つ
棚卸差異500万円は、粗利率30%なら売上1,600万円以上の努力が必要。
差異を軽視するか、真剣に改善するかで、会社の利益は大きく変わります。
経営者がすべきことは、単なる「数合わせ」ではなく、棚卸差異を粗利換算で可視化し、経営課題として扱うことです。
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