こんにちは。中小企業の財務コンサルを専門としております、行政書士・1級FP技能士・銀行融資診断士®の本間です。
「信用保証協会の無担保保証枠(8,000万円)はほぼ使い切ってしまった。
少し残りはあるが、今回必要な希望額には到底足りない。しかも担保に出せる資産もない――」
このような悩みを抱える経営者は少なくありません。
結論から言えば、無担保枠そのものを8,000万円以上に拡大することはできません。
しかし、工夫次第で「保証協会の枠+銀行プロパー融資」を組み合わせ、担保なしで必要額を調達する道は開けます。
今回は、その具体策と銀行との交渉ポイントを解説します。
信用保証協会の枠の仕組み
まずは制度の基本を押さえておきましょう。
- 一般保証枠:2億8,000万円
- 無担保枠:8,000万円(一般保証の中に含まれる)
つまり、担保なしで保証協会が保証してくれるのは原則8,000万円まで。
この限度を超えて「保証協会だけで不足分をカバーする」ことはできません。
別枠保証を併用する
信用保証協会には、一般保証枠とは完全に別に使える制度保証があります。
条件を満たせば、無担保枠を使い切っていても利用可能です。
代表的なのは次の3つです。
- セーフティネット保証4号(100%保証)
自然災害や地域経済の急激な落ち込みで、売上が20%以上減少した企業が対象。全額保証されるため、銀行も貸しやすい。
- セーフティネット保証5号(80%保証)
業況が厳しいと指定された業種の企業が対象。毎年対象業種が見直される。景気変動に左右されやすい業種の企業には有力な選択肢。
- 危機関連保証(100%保証)
リーマンショックやコロナ禍のような全国的な経済危機時に発動される臨時制度。時限的ではあるが強力な別枠。
これらは「完全な別枠」なので、無担保枠8,000万円をほぼ使っている状況でも、新たに保証を追加できる可能性があります。
プロパー融資を引き出す
今回のテーマの中心となるのが、この「プロパー融資」です。
プロパー融資とは?
- 銀行が保証協会を通さず、自らのリスクで実行する融資。
- 保証協会が保証しない分、銀行にとってはリスクが高い。
- そのため中小企業にとっては「プロパーで借りる」のは難しいのが現実です。
しかし、ここにこそ工夫の余地があります。
保証協会残枠を“安心材料”にする
仮に保証協会の残枠が1,000万〜2,000万円でも残っていれば、それをまず使うことができます。
銀行からすれば「この部分は保証協会がリスクを負ってくれる」ため安心感があります。
すると不足分についても、
「全額プロパーは難しいが、保証付きとセットならプロパーも応じやすい」
という心理が働くのです。
銀行にとっての見え方
- 全額プロパーだと銀行のリスクは100%。
- 一部でも保証協会付きがあれば、その分リスクが限定される。
- したがって「保証協会残枠+プロパー」の協調スキームは銀行にとって実行しやすい。
保証協会が一部リスクを負っているからこそ、銀行は残りをプロパーで出しやすい。
この仕組みを理解して活用することが、資金調達の突破口になります。
補足:小口零細企業保証は呼び水になる
ここで補足しておきたいのが「小口零細企業保証(マル保)」です。
- 限度額は2,000万円、保証割合は100%。
通常の一般保証では、銀行が貸し倒れた場合に「保証協会が80%を肩代わりし、残り20%は銀行が負担する」仕組みです。
一方、マル保は100%保証のため、銀行のリスクはゼロ。
のため銀行にとっては「非常に貸しやすい融資」となり、不足分をプロパーで出してもらいやすくなる“呼び水” となるのです。
- ただし「一般保証残高と合算して2,000万円まで」という制約があり、無担保枠8,000万円を利用できるような規模の企業には適用されません。
つまり「別枠保証」ではありません。
しかし、小規模事業者で与えられた保証枠を使い切りそうな場合には、プロパーを引き出す呼び水になることがあります。
銀行にとって「全額保証=リスクゼロ」の融資があることで、「では残りはプロパーで」と踏み切りやすくなるのです。
このようにマル保は、「保証枠を増やす制度」ではなく「プロパー融資を引き出す補助的な制度」と理解すると誤解がありません。
銀行・保証協会を動かすストーリー
制度を並べるだけでは不十分です。
実際に資金を引き出すには、銀行や保証協会が納得できるストーリーが必要です。
具体的には次の3点です。
- 資金需要の理由
新規受注、売上増による仕入資金、人員強化など前向きな理由を明確にする。
- 返済可能性の根拠
資金繰り予定表、利益改善の見込み、価格転嫁策などを示す。
- リスク分担の姿勢
「保証協会残枠を使ったうえで、不足分は御行のプロパーで協調いただきたい」と伝える。
この3点を備えていれば、銀行担当者も「本部に上げやすい案件だ」と判断します。
実務ステップ
- 保証協会残枠を正確に把握する
- 別枠保証(セーフティネット・危機関連保証)の可否を確認する
- 銀行に「残枠+プロパー協調」でお願いする
- 返済シナリオを数字で提示する
まとめ
- 信用保証協会の無担保枠は制度上8,000万円まで。拡大はできない。
- しかし「残枠+プロパー融資」を組み合わせれば、担保なしでも希望額を実現できる可能性がある。
- 別枠保証(セーフティネット・危機関連)は有効な追加手段。
- 小口零細保証は別枠ではないが、小規模事業者にとってはプロパーを引き出す呼び水になる。
- 銀行を動かすには「資金需要・返済可能性・リスク分担」をそろえたストーリーが不可欠。
資金調達は「制度をどう組み合わせるか」と「銀行をどう説得するか」で大きく結果が変わります。
保証協会と銀行を両輪として動かす視点を持つことが、資金繰り改善の近道です。
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