中小企業が銀行融資を申し込むと「不動産などの担保を提供してください」と言われることがあります。
なぜ担保が必要なのか?銀行はどのように担保価値を評価するのか?そして評価額に対して実際に借りられる金額はどの程度なのか?
本記事では、融資における担保の実態をわかりやすく解説します。
こんにちは。中小企業の財務コンサルを専門としております、行政書士・1級FP技能士・銀行融資診断士®の本間です。
今回は「融資と物的担保」をテーマに、銀行がどのように評価し、実際にどの程度の融資を実行するのかを、経営者の視点から整理してみたいと思います。
銀行が担保を求める典型的なケース
銀行は必ずしも担保を要求するわけではありません。
信用保証協会付き融資や、プロパー融資でも信用力が高ければ無担保で実行されることもあります。
ただし、以下のような場面では担保を求められるケースが多い傾向にあります。
・ 大型の設備投資資金:工場建設や機械設備導入など長期資金の場合
・ 高額な運転資金:資金需要が大きく、信用保証協会の保証枠を超えるとき
・ 財務内容に不安がある場合:赤字や債務超過の状態で追加融資を希望する際
・ 創業間もない企業:実績が乏しく、返済リスクが高いと見られるとき
このときに最も重視されるのが「不動産担保」です。
工場や事務所、自宅の土地建物、遊休地などが代表例。
場合によっては、機械設備や有価証券、預金も対象となりますが、銀行は換金性の高い不動産を最優先します。
銀行は担保価値をどう評価するのか?
担保価値は帳簿価格や購入時の価格とは異なり、銀行独自の基準で評価されます。主な評価方法は次の通りです。
・ 公的指標の利用
路線価や公示価格、固定資産税評価額などを参考にします。
・ 銀行独自の査定
近隣の取引事例や地価動向を加味し、一般的に時価より低めに見積もります。
・ 流動性の考慮
都市部の売却しやすい土地は高く評価されますが、地方の山林や特殊用途地は割引率が大きくなります。
・ 建物の耐用年数
木造住宅は20~30年で評価がゼロに近づきます。鉄骨やRC造は比較的長く価値が残ります。
こうして算定された「担保評価額」は、経営者が考える市場価格よりも低く出るのが通常です。
担保評価額に対して銀行はどれくらい融資するのか?
銀行は担保評価額そのままを融資するのではなく、「掛け目(かけめ)」を設定して貸出額を決定します。
一般的な目安は以下の通りです。
・ 住宅地や商業地の土地:評価額の70%前後
・ 工業用地や特殊用途地:評価額の50~60%程度
・ 建物(RC造・鉄骨造):評価額の30~50%程度
・ 木造建物・老朽化建物:評価額はゼロに近い
・ 預金担保:評価額の100%(全額融資可能)
・ 有価証券担保:上場株式で70%前後、国債は90%以上
例えば担保評価が1億円の土地でも、融資は7,000万円前後に抑えられるのが通常です。
これが「融資掛け目」です。
融資と担保で誤解しやすいポイント
・ 担保があれば必ず借りられるわけではない
銀行が最も重視するのは返済能力です。赤字続きの企業は担保があっても融資を断られることがあります。
・ 担保余力は将来の資金調達余地
今回使わなくても、余力が残っていれば将来の融資に活かせます。
資金繰り計画と合わせて把握しておくことが重要です。
・ 共同担保(二番抵当)に注意
既に他行に担保提供している不動産は評価が大きく下がります。
どの銀行がどの担保を押さえているか整理しておきましょう。
経営者が準備しておくべきこと
担保評価は銀行任せですが、経営者の事前準備で交渉がスムーズになります。
・ 不動産の権利関係を整理
相続未登記や共有状態は評価を下げる要因です。早めに名義を整えましょう。
・ 評価証明や固定資産税評価の取得
役所で公的資料を揃えておくと銀行との対話が円滑になります。
・ 返済能力の説明
銀行は担保以上に「返済可能性」を重視します。
資金繰り予定表や事業計画を具体的な数字で示しましょう。
まとめ
中小企業にとって融資の担保は「信用を補完する保険」です。
特に不動産担保は中心的役割を持ちますが、評価は市場価格より低く、融資額も評価の50~70%程度に制限されるのが一般的です。
重要なのは「担保があるから借りられる」ではなく、「返済計画を示しつつ、担保を補完的に活用する」姿勢です。
担保余力を把握しながら、資金繰り改善と銀行との信頼関係づくりを進めていきましょう。
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