2025年9月時点で中小企業が活用できる
・賃上げ促進税制
・中小企業経営強化税制
・中小企業投資促進税制
・カーボンニュートラル投資促進税制
・企業版ふるさと納税
を徹底解説。
繰延べ型の節税との違いを整理し、実効性のある「減税型」制度をわかりやすく紹介します。
はじめに
こんにちは。中小企業の財務コンサルタントを専門とする行政書士・1級FP技能士・銀行融資診断士®の本間です。
「節税」と聞くと、経営者の多くは「今期の利益を圧縮して税金を減らす」イメージを持たれます。
しかし正しくは、税法上の課税所得を一時的に減らすだけの方法がほとんどです。
例えば保険料の損金算入や特別償却などは、当期は課税所得を小さくできても、将来には返戻金や償却不足として課税所得が増え、通算では税負担は変わりません。
これは単なる「繰延べ」であり、真の意味での減税ではないのです。
一方、今回ご紹介する制度は、国が政策的に「賃上げ」「投資」「脱炭素」「地域貢献」を促すために設けたもので、法人税額から直接控除する仕組み(税額控除型)を中心としています。
これは繰延べではなく、将来も含めて通算で納税額を減らすことができる「減税」です。
賃上げ促進税制(給与等支給額増加に伴う法人税控除)
制度概要
賃上げや人材育成への投資を積極的に行う青色申告法人に対し、
雇用者給与等支給額の前年度からの増加額の一定割合(税額控除率)を、
法人税額から向上することが出来ます。
資本金1億円以下の中小企業の最大税額控除率は45%です。
ただし税額控除額は、法人税額トータルの20%が上限です。
| 全雇用者給与支給額 (前年度比)※ | 税額控除率 | 上乗せ措置 | 最大税額 控除率 | |
| 教育訓練費 | 子育て両立 女性活躍 | |||
| +1.5% | 15% | 10%上乗せ | 5%上乗せ | 30% |
| +2.5% | 30% | 45% | ||
ポイント
賃上げは今後継続的なキャッシュアウトとなるため、慎重な判断が必要ですが、法人税の観点で言えば、賃上げすることで経費計上額が増えて、課税所得を減らす効果があります。
さらに法人税額から直接差し引かれるため、繰延べではない実効的な減税が実現します。
中小企業経営強化税制
制度概要
青色申告法人である中小企業者等が「経営力向上計画」に基づいて一定の設備を取得等した場合、
その設備投資に対して、
全額即時償却(一括その年の経費に計上)、
または10%(資本金3,000万円超は7%)の税額控除
を選べます。
ただしこちらも、税額控除額は、法人税額トータルの20%が上限です。
- A類型:旧モデルより年1%以上生産性が向上する設備
- B類型:投資収益率が年平均7%以上の投資計画に係る設備
- D類型:修正ROAまたは有形固定資産回転率が一定割合以上の投資計画に係る設備
ポイント
即時償却を選べば「税金の繰延べ効果」に近いですが、税額控除を選べば法人税額が減る=真の減税につながります。
中小企業投資促進税制
制度概要
青色申告法人である中小企業等が、一定の設備を取得等した場合に、
取得価額の30%特別償却(減価償却を割り増し)または7%の税額控除※
を選択出来ます。
※ 税額控除は資本金3,000万円以下の中小企業者等に限る
こちらも、税額控除額は、法人税額トータルの20%が上限です。
ポイント
こちらも償却前倒しを選ぶと繰延べ効果にとどまりますが、税額控除を選択することで確実に納税額が減る点が重要です。
カーボンニュートラル投資促進税制
制度概要
青色申告法人が、認定エネルギー利用環境負荷低減事業適用計画の認定を受けて認定日(2026年3月31日まで)から3年以内に一定の設備等の取得等をして事業の用に供した場合、
取得価額が500億円以下の部分について、取得価額の一定率(中小企業者は10%または14%)を税額控除、
または取得価額の50%を特別償却(減価償却を割り増し)出来ます。
ただしこちらも、税額控除額は、法人税額トータルの20%が上限です。
ポイント
エネルギーコスト削減と同時に、国の政策的な「環境投資減税」としてキャッシュフロー改善に直結します。
企業版ふるさと納税(地方創生応援税制)
制度概要
地方創生プロジェクトに寄付すると、
寄付額の最大約9割が法人税・住民税・事業税から控除され、
実質的な企業の負担が約1割まで圧縮されます。
- 控除割合:寄付額の最大約90%(損金算入含む)。
- 寄付額要件:1回10万円以上。上限は法人税額の20%程度。
ポイント
通常の寄付金控除と違い、税額控除が中心のため、通算でも納税額が確実に減ります。
さらに地域貢献や企業PR効果も得られる制度です。
繰延べ型と減税型の違いを整理
繰延べ型節税(多くの従来策)
当期の課税所得を減らすだけ → 将来に課税が跳ね返る → 通算では納税額は変わらない。
減税型優遇制度(今回紹介の税制)
法人税額から直接控除 → 将来に跳ね返りがない → 通算でも納税額が減る。
まとめ
中小企業にとって重要なのは「一時的な繰延べ」ではなく、実効性ある減税効果です。
- 賃上げ促進税制:人材確保と減税を同時に実現。
- 経営強化税制・投資促進税制:設備投資をしながら納税額を削減。
- カーボンニュートラル投資促進税制:環境対応と資金繰り改善を両立。
- 企業版ふるさと納税:地域貢献と税負担軽減を両立。
これらは単なる「税金の先送り」ではなく、国の政策に従った企業行動に対して、国が本気で用意した“減税策”です。
制度の活用は、資金繰りを助けるだけでなく、銀行評価や企業ブランド向上にもつながります。
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