粗利率は会社の健康診断。決算書を待つのでは遅すぎます。
本記事では、freee会計をベースに、商品別・顧客別に粗利率を算出する具体的な入力・確認方法と、重点管理(ABC分析)の実務活用法の一例を解説します。
はじめに
こんにちは。中小企業の資金繰り改善や融資支援を専門にしている行政書士・財務コンサルタントの本間です。
「売上は伸びているのに、なぜかお金が残らない」
この原因の多くは粗利率の低下にあります。
売上総利益(粗利)は人件費や家賃、営業経費などをまかなうための原資であり、ここが十分に確保できなければ、たとえ決算書が黒字でも資金繰りは苦しくなります。
しかし、中小企業の現場では「粗利率なんて決算書を見ないと分からない」「品目が多すぎて管理できない」と放置されているケースが少なくありません。
結果として、利益の出ていない商品を売り続けたり、特定の取引先に過度な値引きをしてしまったりと、資金を食いつぶす要因が放置されがちです。
そこで本記事では、freee会計を使って粗利率を“毎月”管理する方法を、操作ステップも交えて解説します。
決算書では不十分な理由
多くの経営者が「決算書を見れば粗利は分かる」と考えています。
しかし実際には、それでは手遅れになることが多いのです。
- 年に1度しか作成されない:決算書はタイムリーさに欠ける
- 全体しか分からない:会社全体の粗利率しか表示されず、商品別や顧客別の採算性は不明
- 気づいた時にはキャッシュが減っている:決算時点で粗利率の悪化が分かっても、資金繰りはすでに悪化している
👉 粗利率は「決算後に確認」ではなく「毎月チェック」する必要があるのです。
freee会計で粗利率を管理する具体ステップ
ステップ1:品目マスタを登録する
まずは商品やサービスを品目マスタに登録します。
- メニュー → [設定] → [品目の設定]
- 「品目名」「販売単価」「仕入単価」を入力(仕入単価は省略も可能ですが、設定しておくと便利)
👉 全品目を登録するのは大変なので、まずは売上や粗利の大きい商品から登録するのが現実的です。
ステップ2:売上・仕入を品目付きで入力する
次に、日々の売上や仕入を「品目付き」で入力します。
- 売上:freeeで請求書を発行すれば、自動で売上仕訳が登録される。その際、品目を選択。
- 仕入:仕入先からの請求書を入力、またはPDFをアップロードして取り込み。その際も品目を選択。
👉 この「品目選択」が粗利率管理のカギです。
入力時に選ばないと後から集計できないため、社内ルールとして徹底する必要があります。
ステップ3:粗利を算出する
freee会計には「粗利レポート」のような専用画面はありません。(※参考:freee販売には「案件粗利レポート」という機能もあります。)
しかし、次の手順を用いれば、freee会計で粗利率を把握できます。
- 取引レポートや仕訳帳を開く
- フィルターで「品目」を選択し、売上・仕入を抽出
- CSV形式で出力
- Excelやスプレッドシートで「売上 − 仕入 = 粗利」「粗利 ÷ 売上 = 粗利率」を算出
👉 一度Excelテンプレートを作っておけば、毎月CSVを貼り付けるだけで自動的に粗利率が更新されます。
ステップ4:重点管理(ABC分析)
すべての商品を詳細に追いかけるのは非現実的です。そこで活用したいのが「重点管理(ABC分析)」です。
- Aランク:売上や粗利額の大きい商品・顧客 → 詳細に粗利率を追う
- Bランク:中位層 → 粗利率が大きく変動していないかを確認
- Cランク:少額取引 → 簡易管理にとどめる
👉 「売上が多いが粗利率が低い商品」を見つけられると、価格改定や仕入見直しの判断に直結します。
実務での工夫ポイント
freee会計を使って粗利率を管理するには、次の工夫が有効です。
- 月次ルーティンに組み込む
経営会議や社長の確認事項に「粗利率チェック」を必ず入れる
- 全部を管理しない
上位20%の商品・顧客だけを追いかけるだけでも効果は大きい
- 在庫と合わせて管理する
粗利率が低い商品が在庫過多になると、一気に資金繰りを圧迫する
- 営業担当者別に見る
粗利率を営業別に出せば、人件費に見合った利益が出ているかも把握できる
粗利率管理から得られる気づき
粗利率を毎月見える化することで、次のような気づきが得られます。
- 「売上は伸びているのに、粗利率が下がり、資金が残っていない」
- 「在庫が積み上がっているのに、利益に結びついていない」
- 「一部の顧客が極端に低い粗利率で、全体の利益を押し下げている」
こうした“危険サイン”を早期に発見できるのが、粗利率管理の大きな価値です。
まとめ
粗利率は「会社の健康診断」に例えられるほど重要な指標です。
- 決算書では遅い。毎月チェックすること
- freee会計では専用レポートはないが、品目入力+CSV出力+Excel加工で粗利率を算出できる
- すべてを追うのではなく、**重点管理(ABC分析)**で経営資源を集中する
この仕組みを実務に落とし込めば、数字に基づいた経営判断が可能になり、資金繰りの安定にも直結します。
「黒字なのにお金が残らない」と感じるときこそ、まずは粗利率の見える化から始めてみてください。
なお、本記事で紹介した方法以外に、freee会計やfreee販売を使ったより良い活用法をご存じの方がいれば、ぜひ教えていただけると幸いです。
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