長期借入は資金繰りを大きく左右する重要な経営判断です。
本記事では、
中小企業が借入年数と金額を決める際の考え方、
銀行が見る指標、
短期継続融資(短コロ)との関係、
そして失敗しないための実務ポイントをわかりやすく解説します。
こんにちは。中小企業の財務コンサルタントを専門とする行政書士・1級FP技能士・銀行融資診断士®の本間です。
経営者にとって「借入」は避けて通れないテーマです。
特に長期借入は、毎月の返済計画に直結し、資金繰りを大きく左右します。
ところが、いざ銀行と交渉する段階になると
「期間はどのくらいが妥当なのか?」
「金額はどこまで借りていいのか?」
と迷う社長が少なくありません。
今回は、中小企業の長期借入金を“どう設計するか” に焦点を当て、具体的な考え方を整理していきます。
借入期間は「資金の性質」と「資金繰り」で決める
借入期間を考えるときに最も重要なのは、資金の性質に合わせることです。
設備資金の場合
- 資金使途:機械、建物、車両などの購入
- 借入期間:設備の耐用年数に合わせて7~15年程度
- 返済財源:経常利益+減価償却費-法人税等
たとえば10年使う機械を購入するなら、10年で借入を組むのが原則です。
設備の寿命より短い期間で返済を設定すると、月々の返済負担が過大になり、資金繰りを圧迫しかねません。
運転資金の場合
- 資金使途:入金と出金のタイムラグや、売上拡大による仕入増加
- 借入期間:本来は数か月から1年以内(短期借入が基本)
ただし、慢性的に資金が不足する場合は、5~7年程度の長期借入で安定化を図ることも現実的です。
短期継続融資(短コロ)との関係
ここで補足ですが、銀行によっては「短期継続融資(通称:短コロ)」という仕組みを利用できる場合があります。
これは、毎年更新を前提に実質的に“借りっぱなし”にできる制度で、返済を気にせず運転資金を安定的に確保できます。
ただし、すべての企業が利用できるわけではありません。
- 取引銀行が短コロを扱っていない
- 業績に不安があり承認が得られない
こうした場合には、運転資金であっても長期借入を選択肢に入れる必要があります。
借入金額は「返済可能性」を軸に考える
金額を決める際に多くの社長が陥るのは、「いくら借りたいか」で考えてしまうことです。
銀行は「いくら返せるか」で判断します。
設備資金の場合
「見積金額+付随費用(工事費や設置費など)」に加え、稼働立ち上げ時の追加運転資金を見込むことが大切です。
必要額の算定イメージ
設備投資額 + 運転資金の増加分 + 余裕資金
余裕資金を見込んでおくことで、急な入金遅延や追加発注にも対応できます。
銀行が重視する指標
- DSCR(元利返済カバー比率):返済原資 ÷ 元利返済額。目安は1.2以上。
- 借入金月商倍率:借入金総額 ÷ 月商。3~5倍以内が健全ライン。
借入期間を長くするメリットとデメリット
長期借入にはメリットとデメリットがあります。
メリット
- 毎月の返済額が軽くなる → 資金繰りに余裕
- 運転資金を厚めに確保できる → 突発的な資金需要にも耐えられる
デメリット
- 支払利息の総額が増える
- 「返済に時間がかかる会社」と銀行に見られる可能性
- 次の投資に使える融資余力が減る
つまり、期間を延ばせば楽にはなるが、その分コストと信用面のリスクが増すのです。
社長が陥りやすい失敗例
- 「早く返したい」と短期で組んで資金繰りが行き詰まる
- 「借りられるだけ借りたい」と上限まで借りて返済不能に陥る
- 「銀行に任せきり」で自社のキャッシュフローと合わない返済計画になる
これらはすべて「借入の設計を社長自身が主体的に考えなかった結果」です。
実務的な工夫で安定化する
- 繰上返済の余地を残す:余裕資金が出れば前倒し返済して利息を減らす
- 複数銀行に分散:1行依存を避け、交渉力と安定性を確保
- 借入と内部留保のバランス:借金ゼロを目指すより、健全に借りて現預金を厚く持つ方が安全
まとめ
長期借入は「会社の未来の資金繰りを設計する行為」です。
- 借入期間は「資金の性質」と「返済能力」に合わせる
- 借入金額は「返済可能性+余裕資金」で考える
- 短コロが使えない場合には、運転資金も長期借入で安定化を図る
- 銀行目線を理解しつつ、自社のキャッシュフローに沿った返済計画を描く
借入は悪いものではなく、経営を安定させるための道具です。
大切なのは、社長が自らの判断基準を持ち、銀行と対等に会話できるようにしておくことです。
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