中小企業にとって「返済のための新規借入」は悪手に思えるかもしれません。
しかし実は、借換えや返済条件の見直しを上手に活用すれば、資金繰りの安定化につながります。
本記事では銀行が応じるケースや注意点を解説します。
はじめに
こんにちは。中小企業の財務コンサルタントを専門とする行政書士・1級FP技能士・銀行融資診断士®の本間です。
「返済のために新しい借入をするのは無理なのでは?」
多くの経営者がこう感じます。確かに、単純に「足りないから借りる」だけでは、銀行は首を縦に振りません。
しかし一方で、借換えを上手に活用すれば資金繰りの改善につながり、会社の健全性を高める有効な手段となるのです。
今回はそのポイントを整理してみます。
借換えと新たな借入の違い
まず整理しておきたいのは、「借換え」と「新規借入」の違いです。
借換え(リファイナンス)
- 既存の借入を、別の融資で置き換えること
- 借入総額は増えない
- 目的は「返済条件の改善」
例:高金利を低金利にする、返済期間を延ばす、複数を一本化する
👉 銀行にとっても「財務改善」と映るため、応じやすい。
新たな借入
- 既存の借入はそのままにして、追加で資金を調達すること
- 借入総額は増える
- 目的は「運転資金」「設備資金」などの補充
- 返済能力がより厳しくチェックされる
👉 単に「返済が苦しいから新規で借りたい」と言うと、銀行は難色を示す。
ポイント
- 「返済のために借りたい」と言わず、「借換えで資金繰りを改善したい」と説明するほうが前向きに受け止めてもらえる。
- 借換えなら銀行にとってもリスク低減につながるため、協力を得やすい。
銀行が嫌がる「返済のための借入」
銀行の基本姿勢は「事業性資金の融資」です。
つまり、仕入れや設備投資など、事業活動に直接必要なお金を貸すのが建前。
そのため、過去の返済ができないから新しい融資をしてほしいという依頼には、原則として消極的です。
理由は明確で、銀行にとっては「返済ができない=資金繰りが行き詰まっている」ことを意味し、将来の返済可能性に疑問が生じるからです。
銀行が応じる「前向きな借換え」のケース
とはいえ、銀行が前向きに対応してくれる場面もあります。大切なのは「借りる理由」です。
(1)高金利借入の低金利借換え
過去に高い金利で借りていた融資を、金利の低い融資に組み替えるケースです。
→ 毎月の返済額が減り、会社の資金繰りが改善します。銀行から見ても「返済確実性が高まる」ためプラスの判断材料となります。
(2)短期借入の長期化
5年返済の融資を10年に伸ばすなど、返済期間を延長することで毎月の負担を減らす方法です。
→ これも資金繰り安定化に直結し、経営改善策の一つとして認められやすいです。
(3)複数借入の一本化
複数の銀行や短期借入をバラバラに抱えている場合、それを一本化して返済スケジュールを整理するケース。
→ 管理が楽になり、信用格付け上も改善効果があります。
(4)リスケの代替としての借換え
本来なら「返済条件変更(リスケジュール)」で対応すべきところを、新規融資で借換えして形式上“正常先”の扱いを維持することもあります。
→ これは銀行にとっても自己査定上メリットがあるため、交渉の余地があります。
銀行が応じにくい場合
逆に、以下のような場合は難しいと考えてください。
- 赤字が続いており返済原資が見込めない
- 新しい資金需要がなく、ただ「返済のためだけ」になっている
- 他行からの借換えを持ち込まれ、リスクだけを引き受ける形になる
この場合は、借換え以前に「経営改善計画の策定」が必須となります。
借換えを検討する際のポイント
実務で借換えを申し込む際は、単に「楽にしたい」と言うだけでは通りません。
以下の工夫が大切です。
- 資金繰り改善シミュレーションを提示
借換え後に毎月いくら返済が軽減され、現預金がどの程度確保できるかを数字で示す。
- 将来の返済余力を明確にする
今後の利益計画や受注見込みを示し、「改善後は返済が確実」と説明する。
- メインバンクから順番に相談する
複数行取引がある場合は、必ずメインバンクから着手。信頼関係を損ねないように進める。
借換えを「悪」ではなく「改善」と捉える
「返済のための借入」と聞くと後ろ向きに思われがちです。
しかし、借換え=財務改善策と捉えると意味が変わってきます。
実際、健全な会社でも、低金利や長期借入をうまく利用することでキャッシュフローを改善し、事業の成長投資につなげています。
まとめ
- 単なる「返済のための新規借入」は銀行も応じにくい
- しかし「条件改善のための借換え」であれば前向きに対応してくれる
- 借換えと新規借入は似て非なるもの。違いを理解し、説明の仕方を工夫することが大切
- ポイントは「資金繰りの安定化」「返済可能性の向上」を数字で示すこと
借換えは決して「ごまかし」ではなく、資金繰り改善のための重要な手段です。
経営者の方は「返済のため」と後ろめたく考えず、前向きな財務戦略の一環として検討してみてください。
ご相談はこちらから
最後までお読みいただきありがとうございました。
当事務所が、社長の悩みに対する壁打ち相手になって、貴社の発展を全力でサポートいたします。
相談は無料ですので、お気軽にご連絡ください。
資金繰り表無料ダウンロード
WEB特典無料ダウンロードとして、「実績資金繰り表フォーマット」をダウンロードいただけます。