はじめに
資金繰りが厳しくなり、銀行からの新規融資が難しくなったとき、
多くの経営者は「もう打てる手がない」と絶望に近い気持ちになります。
しかし、それは決して終わりの合図ではありません。
むしろ、これまでの経営を見直し、筋肉質な体質に生まれ変わるための「リスタート」の機会でもあります。
大切なのは、パニックになって間違った順序で動かないことです。
本記事では、事業を死守し、再び成長軌道に乗せるために知っておくべき「キャッシュインの優先順位」と、
その先にある希望について、資金繰り支援の専門家の視点でお伝えします。
優先順位1:社内資産の現金化(在庫・売掛金・遊休資産)
外部に頼る前に、まずは自社の足元にある現金をすべて掘り起こします。
これが最も健全で、誰にも気兼ねのいらない調達方法です。
まず、倉庫に眠っている「在庫の処分」です。
たとえ利益を削ってでも、今すぐ現金に変える。
それによってキャッシュフローが回り始めます。
次に、未回収の「売掛金」の徹底した回収、そして事業に使っていない「遊休不動産」などの資産売却です。
これらは単なる現金確保だけでなく、無駄な維持費を削り、経営を身軽にする効果もあります。
自力でここまでやり抜く姿勢は、のちの金融機関との交渉においても大きな信頼へとつながります。
優先順位2:事業用資産の活用(リースバック等)
社内資産を整理してもなお資金が不足する場合、次に検討すべきは、事業に使用している設備や不動産などの現金化です。
自社ビルや工場、車両などを一度売却してまとまった現金を得た上で、その後はリース料を支払って利用を続ける「セール・アンド・リースバック」などの手法があります。
これは、次なるステップである「銀行へのリスケジュール相談」の前に、自力でどこまでキャッシュを確保できるかという、自助努力の姿勢を示す重い一手でもあります。
固定資産を「所有」から「利用」に切り替えることで、大きなキャッシュを一度に確保し、経営再建の原動力とします。
優先順位3:金融機関へのリスケジュール(再生へのチャンス)
自力での資金確保を尽くしてもなお足りない場合、いよいよ「今ある返済を止める」交渉、
つまり「リスケジュール(リスケ)」に入ります。
「リスケをしたら二度と融資が受けられない」と、後ろめたさを感じる必要はありません。
返済を一時的に止める、あるいは減額することは、実質的にその分だけの資金を「調達」しているのと同じです。
リスケの最大のメリットは、返済に追われていた日々から解放され、経営者が「本業の改善」に全精力を注げる時間を作れることです。
この期間に、専門家と共に実効性のある経営改善計画を立て、実行に移す。
そうして業績が回復すれば、再び銀行から信頼され、新規融資を受けられる日は必ずやってきます。
リスケは「終わり」ではなく、復活のための「猶予期間」なのです。
優先順位4:経営者個人の資産投入と個人名義の借入れ
リスケを行ってもなお、事業継続のために一時のつなぎ資金が必要な際に、ここで初めて「経営者個人の資産」に目を向けます。
個人の預貯金を会社に貸し付ける(役員借入)、あるいは経営者個人の生命保険から「契約者貸付」を受ける、個人名義での借入れを行うなどの方法があります。
リスケの後にこの「個人資産の投入」を置いているのには、再建の可能性を最後の最後まで残しておくためです。
もし先に個人の蓄えをすべて会社に注ぎ込んでしまったら、その後のリスケ期間中に思うように業績が改善しなかったとき、いよいよ打てる手がなくなり、そこで本当に「終わり」になってしまうからです。
個人資産は、言わば「最後の予備軍」です。
法的な交渉であるリスケを優先し、個人の資金を温存しておく。
それは、万が一の際の再起の資金として、あるいは再生への最終局面で再点火するための貴重な燃料として、最も重要なタイミングで投じるべきカードである、私はそう考えます。
優先順位5:究極の選択としての「支払い延滞」
あらゆる手段を講じても資金が不足する。その時、最後に残るのが「支払いの延滞」です。
推奨されることではありませんが、倒産を避けるための優先順位はあります。
まずは「税金・社会保険料」の分納・猶予相談です。
役所には公的な救済制度があるため、放置せずに相談へ行くことで、差し押さえという最悪の事態を回避できます。
取引先への支払い交渉は、誠心誠意、再建計画を伝えて待ってもらうしかありません。
しかし、ここまで来る前に専門家と共に手を打っていれば、別の道が開ける可能性は十分にあります。
まとめ
資金調達・確保の優先順位は、以下の通りです。
- 在庫処分・売掛金回収・遊休資産売却
- 事業用資産の売却(リースバック等)
- 金融機関へのリスケジュール(返済猶予)
- 経営者個人の資産投入・個人借入れ
- 公租公課の猶予・支払い延滞
この順序の意味するところは、「事業を継続させるための時間を稼ぎつつ、再起のための力を温存する」ことにあります。
特にリスケジュールは、前向きな再生のためのステップです。
その猶予期間中に、あえて温存しておいた個人資産という「最後のカード」を適切なタイミングで投じることで、事業を再点火させ、真の復活へと繋げていく。
これが、私が考える最善の再建シナリオです。
一つひとつの判断が会社の運命を左右します。
一人で悩み、間違った順番で突き進んでしまう前に、ぜひ一度立ち止まってください。
冷静に現状を分析し、最適な一手を打つことが重要です。
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資金繰りの悩みは、出口が見えないトンネルのように感じられるかもしれません。
しかし、打てる手は必ずあります。
「リスケをしたいが、銀行にどう話せばいいか分からない」 「経営改善計画を立てて、もう一度会社を立て直したい」 「自分の資産を会社に入れるべきタイミングを知りたい」
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