はじめに
2026年1月22日、立憲民主党と公明党が合流し、新党「中道改革連合」が結成されました。
2月8日の衆議院総選挙を控え、日本列島が選挙戦の熱に包まれる中、経営者の皆様が最も注視すべきは
「政治の勝ち負け」そのものではなく、
その結果が「自社の試算表にどう波及するか」という点です。
特に今回の再編は、単なる議席数の変動に留まりません。
中小企業の命綱である「融資姿勢」や「金利政策」のあり方を根底から揺さぶる可能性を秘めています。
この激動の政治情勢が、実体経済にどのような波及効果をもたらすのか、冷静に深掘りしてみます。
金融・税制における二大勢力の決定的な違い
まず、現在の政権与党(自民・維新連合)と、新たに誕生した中道改革連合が掲げる政策の方向性を、中小企業経営に直結する項目で比較してみましょう。
| 項目 | 自民・維新(現政権)の方向性 | 中道改革連合(立憲・公明)の方向性 |
| 金融・利上げ | 「金利のある世界」への移行を容認。構造改革と淘汰を促す。 | 急激な利上げには慎重。利払い負担増を抑えるための政治圧力を重視。 |
| 社会保険料 | 加入対象の拡大(51人未満への拡大検討)など、負担増の傾向。 | 賃上げ支援とセットでの社会保険料減免や国費投入を主張。 |
| 消費税 | 食料品の「時限的」な税率ゼロ(2年間)を検討中。 | 食料品の消費税「恒久」ゼロを公約に掲げる。 |
| 融資姿勢 | 企業の「選別」と「生産性向上」を重視。出口戦略(回収)への意識強。 | 「セーフティネット」と「事業継続」を重視。リスケ等に柔軟。 |
この対比から見えるのは、自民・維新連合が「積極的な投資と成長」によって経済を強くしようとするスタンスであるのに対し、中道改革連合は「現場の生活守護」を最優先する姿勢です。
融資姿勢の緩和とセーフティネットの強化
今回の立憲民主党と公明党の合流による中道改革連合の結成は、政策面、特に中小企業の「資金繰り」に関わる部分で大きな変化をもたらす可能性があります。
公明党は伝統的に「中小企業の街・現場」を重視する政党であり、一方で立憲民主党は「下からの経済」を掲げてきました。
この両者が組むことで、以下の動きが加速すると予測されます。
一つ目は、信用保証制度の維持・拡充です。
高市政権が「成長戦略」として企業の選別や新陳代謝を促す方向へ舵を切る中、中道改革連合は「倒産防止」と「事業継続」を最優先する姿勢を強めるでしょう。
二つ目は、ゼロゼロ融資の返済猶予やリスケの柔軟化です。
返済が本格化している中、コロナ禍からの完全脱却を支援するため、より踏み込んだ返済猶予の延長や、新たな借り換えスキームの提案が野党第一党の柱になると考えられます。
ゼロゼロ融資の返済猶予や新たな借り換えスキームが政策の柱となることで、
経営者にとっては、既存債務の圧縮やキャッシュフローの再構築を図るための具体的な『時間的猶予』を確保できる可能性が高まります。
金融政策への牽制:金利上昇への慎重姿勢
現在、日本の金融環境は「金利のある世界」への移行期にあります。
しかし、中道改革連合はこの動きに対して非常に慎重な立場をとる可能性があります。
具体的には「急激な利上げ阻止」に向けたロビー活動です。
金利上昇が中小企業の利払い負担を直撃することを理由に、日銀に対して緩やかな移行を求める圧力を強めるでしょう。
変動金利で融資を受けている多くの社長様にとって、これは一時的な安心材料になるかもしれません。
財務的な視点で見れば、支払利息の増加を抑制できることは、PL(損益計算書)の安定に直結します。
「設計」重視の伴走型支援へのシフト
また、今回の再編で注目すべきは、単なるバラマキではない「人への投資」や「伴走型支援」へのシフトです。
これは金融現場においても、単なる「貸付」から、事業計画や「設計」を重視した支援への予算配分を求める動きに繋がります。
これまでは「正論(財務諸表の数字)」だけで判断されていた融資審査が、より「事業の継続性や地域への貢献」といった多角的な視点、つまり社長が腹落ちするような事業再生の設計図を重視する方向に、政治が動かしていく可能性があります。
銀行に対しても「数字だけで切り捨てない」姿勢を求める政治的圧力が強まることが予想されます。
経営者と従業員、それぞれの受け止め
こうした変化は、経営者と従業員の双方にメリットがあるように見えますが、実態はより複雑です。
経営者にとっては、資金繰りの緩和や社会保険料の軽減は短期的なPL防衛になります。
しかし、自民党が掲げる「構造改革」が停滞することで、業界全体のDX化や若返りが遅れるという懸念も拭えません。
一方で従業員にとっては、食料品の消費税ゼロや直接的な賃上げ支援は可処分所得を増やすため歓迎されます。
しかし、長期的には、より生産性の高い企業への労働移動が起きにくくなり、日本全体の賃金水準が頭打ちになるリスクも孕んでいます。
仮に「自民党推し」の方であっても、こうした「野党側の政策が実現した際のメリットとリスク」をシミュレーションしておくことは、リスクマネジメントの一環として不可欠です。
まとめ
2026年総選挙の結果がどちらに転んだとしても、経営者がすべきことは変わりません。
それは、政治の波を冷徹に読み、自社の「設計図」を書き換えることです。
自民・維新が勝てば「金利上昇と企業選別」に備えた強固な財務体質への改善が求められます。
中道改革連合が勝てば「新たな支援策や減税スキーム」を最大限に活用するスピード感が求められます。
政治的な是非を論じる前に、まずは「わが社のキャッシュフローはどうなるのか」を数字で把握すること。
それこそが、不透明な時代を勝ち抜く唯一の正解です。
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