この記事で分かること
- 借入金返済年数の計算方法と健全性の目安
- 銀行が「DSCR(借入金償還余裕率)」を重視する理由
- 銀行が決算書で最初に見る3つの財務指標
はじめに
「うちの会社の借入金は、規模に対して多すぎないだろうか」
経営者の方は、このような不安を抱きがちです。
借入の安全性を測る指標はいくつかありますが、銀行が融資審査の際にまず確認するポイントは、実はそれほど多くありません。
銀行は、単に「借金の金額」だけを見ているわけではなく、
「事業で生み出すキャッシュに対して、その借入が適正か」を客観的な指標で判断しています。
今回は、銀行が重視する代表的な3つの指標について解説します。
借入金返済年数とは
借入金返済年数(債務償還年数)とは、
会社が本業で生み出すキャッシュ(現金)を使って、借入金を何年で完済できるかを示す指標です。
経営者にとって、自社の借入総量が適正かどうかを判断する最も直感的な数字といえます。
計算式は以下の通りです。
借入金返済年数 = 有利子負債 / (営業利益 + 減価償却費)
(※分母の「営業利益+減価償却費」は、簡易的なキャッシュフローを指します)
例えば、以下の条件で計算してみます。
- 借入金(有利子負債):1億円
- 営業利益 + 減価償却費:2,000万円
この場合、1億円 ÷ 2,000万円 = 5年 となり、理論上は5年で借入を全額返済できる計算になります。
借入金返済年数の目安
銀行実務において、返済年数は以下のような感覚で評価されることが一般的です。
| 借入金返済年数 | 評価の目安 |
| 5年以内 | 非常に健全。追加融資もスムーズ。 |
| 7〜8年 | 良好。標準的な範囲内。 |
| 10年前後 | 一般的。注意深く見守る段階。 |
| 15年以上 | 返済負担が重い。改善の検討が必要。 |
業種や設備投資の状況にもよりますが、
まずは10年以内に収まっているかどうかが、一つの大きな分岐点となります。
なぜ銀行はDSCRを重視するのか
借入の総量を表す「返済年数」だけでなく、銀行がもう一つ非常に重視する指標があります。
それがDSCR(Debt Service Coverage Ratio:借入金償還余裕率)です。
DSCRは、以下の式で計算されます。
DSCR = キャッシュフロー / 年間の元利金返済額
例えば、以下のケースを考えます。
- キャッシュフロー:2,000万円
- 年間の借入返済額:1,500万円
この場合、2,000万円 ÷ 1,500万円 = 1.33 となります。
これは「返済を済ませても、手元に33%の資金的余裕が残る」ということを意味します。
借入金返済年数とDSCRの違い
この2つの指標は、見ている「時間軸」と「視点」が異なります。
| 指標 | 意味 | 銀行の視点 |
| 借入金返済年数 | 借入総額の大きさ(ストック) | 借金が多すぎないか? |
| DSCR | 毎年の返済余裕(フロー) | 毎年、滞りなく返せるか? |
銀行にとって最も避けたい事態は「返済が滞ること」です。
たとえ借入総額が多くても(返済年数が長くても)、毎年の利益で十分に返済が回っており、
DSCRが1.2〜1.3を超えていれば、銀行は「返済能力がある」と判断しやすくなります。
そのため、実務上はDSCRの方がよりシビアにチェックされる傾向にあります。
銀行が財務状況を確認する際に注目する主な指標
銀行が決算書の内容を把握する際、財務の健全性を測る目安として、主に以下の3つの指標に注目することが多いです。
- 自己資本比率:
会社の「基礎体力」です。純資産がどれくらいあるかを確認し、倒産しにくい体質かどうかを見ます。
- DSCR(借入金償還余裕率):
「返済の継続性」です。毎年のキャッシュフローで、約束通り返済を続けられるかを確認します。
- 借入金返済年数:
「借入の総量」です。会社の収益力に対して、借金が過大になっていないかを確認します。
この3つを定点観測することで、
「財務は安定しているか」
「借入は過大ではないか」
「返済は無理なく続けられるか」
会社を多角的に捉えるための判断材料となります。
まとめ
借入の安全性を判断する際、経営者としてまず自社の「借入金返済年数」を把握することから始めてみてください。
「何年で返せるか」というストックの視点と、
「毎年の返済にどれだけ余裕があるか(DSCR)」というフローの視点。
この両面をセットで考えることが、健全な資金繰りへの第一歩となります。
自社の数字が銀行からどう見えているのかを客観的に知ることで、今後の融資交渉や経営計画の立て方は大きく変わるはずです。
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