将来の資金繰りを見える化
中小企業にとって財務の最重要項目は「資金繰り」です。
資金繰り管理は「資金繰り表」を使って行いますが、決算書ではないため、多くの中小企業では作成されていないのが実態です。
「資金繰り表」には、足元までの過去の実績を表す「実績資金繰り表」と、今後の事業計画から作成される将来の「資金繰り予定表」があります。
まずは過去のトレンドを知るために、過去の「資金繰り実績表」を1年分作成します。
その上で、今後の5か年程度の会社運営に関する中期計画(損益計画)から、来期1年分の計画をもとに、資金繰りの見通しである「資金繰り予定表」を作成します。
まずは向こう5年間で事業を伸ばしてキャッシュをどこまで増やしたいのかを、大まかにイメージするところから始めます。それを月別にブレイクして、下記で示す手順で具体的に数値化していくのです。
資金繰り予定表を作成することで、この先5年間の企業のイベントを、キャッシュの増減という観点で検討し、資金不足による倒産リスクを未然に防ぐという効果が期待されます。
3つの5か年予定表の関連性
①5年後のあるべき姿、ありたい姿(目標値)を設定する
②目標値に達するためのアクションプラン(どうやったら達成出来るのか)を策定
③アクションプランを実行した場合の財務状況の数値化
という手順で作成されます。③の段階で作成するのが、「損益予定表」「資金繰り予定表」「貸借予定表」の3つの5か年予定表です。
数値ありきでいきなり③の「損益予定表」から作成するケールが見受けられますが、これでは実効性がありません。
「前年比売上10%増」という目標だけでは、達成のアプローチが見えませんし、達成した結果、キャッシュがどのような状態になるのかが不明確になります。
具体的な行動指針である「②アクションプラン」があって初めて、根拠のある計画と言えることに留意しましょう。ここが薄いと、金融機関や社員に対して説得力のある説明が出来ません。
そして、精度の高い損益計画を作ることが重要です。
損益計画の解像度が低ければ、「資金繰り予定表」の精度も低くなりあまり役に立たないものとなります。
この5か年予定表は、「損益予定表」⇒「資金繰り予定表」⇒「貸借予定表」の順に作成します。
この3つは互いに連動しており単体で完成するものではありません。
例えば「損益予定表」を「資金繰り予定表」に落とし込んでみたら、目指すキャッシュが得られないというのであれば「損益予定表」を手直しする、という関係性です。
「貸借予定表」は「損益予定表」と「資金繰り予定表」の事業計画の行きつく先となるため、ここが理想からほど遠いようであれば、上流の「損益予定表」や「資金繰り予定表」を見直していくことになります。
<損益予定表イメージ>

資金繰り予定表の作成手順
「資金繰り予定表」の発射台になるのが「実績資金繰り表」です。5か年の初年度分は、期中で作成する場合、足元の過ぎた月分は実績、期末までの分は予定ベースで作成します。
なお、「月初繰越残高」と「翌月繰越残高」には、定期預金や定期積金など、キャッシュとして常時動かせないものは含みません。
<資金繰り予定表イメージ>

作成に必要な資料
・月次売上計画、売掛金回収予定表
・売上原価計画、買掛金支払予定表
・経費計画、人員計画、未払金支払予定表
・設備計画
・金融機関借入返済計画
作成手順
上記の作成に必要な資料は、過去実績等に基づきそれぞれ作成。
◆売上計画表
商品別、得意先別等のセグメントに分類。前期の売上実績の月別比で年間今期目標を月別展開する。

◆売上計画表
すべて月末締めで翌月末現金回収、貸倒れなしの場合、売上計画表と連動して以下のように整理。

このうちの「現金回収」の部分が「資金繰り予定表」に売上入金として反映されます。
同様に、「売上原価計画」「買掛金支払予定表」は、「資金繰り予定表」に仕入支出として反映されます。
それ以外の各計画についても、キャッシュの入出金額を「資金繰り予定表」の各項に月別に入力します。
資金繰り予定表作成における注意点
以下は漏れる可能性があるので特に注意します。
・法人税、事業税、消費税などの税金や、社会保険料の支払い
・期日一括返済型の借入金の返済
・資産計上されている保険金
金額はすべて消費税込みのキャッシュベースで記載します。「翌月繰越金」は、将来の通帳残高と手元現金の合計を表すからです。
全体が仕上がったら、次月繰越金がマイナスになっていないか、年間の経常収支はプラスになっているか、設備投資を行う場合、自己資金の不足や返済に無理な設定はないか、また、手元現預金が不足する場合は追加融資を検討します。
資金繰りの予実管理が重要
毎月の「資金繰り実績」は遅くとも翌月20日までには集計し、当該月の「資金繰り予定表」と対比します。
対比表は、予定と実績を隣り合わせで記載してもよいし、フォーマットが同じもので、予定ベースと実績ベースの2種類を作ってもよいです。
おおよそ予定どおりに進捗している場合は、予定表を変える必要はありません。
予定と実績のブレが大きい場合は、実績のトレンドから未来予測を修正し、常に先の資金繰り予定を把握することが重要です。
足元の実績が下振れして、そこから連動して近い将来資金不足が生じるリスクを、早い段階で気付くことが出来ます。気付くのが遅れればそれだけ打ち手が少なくなります。
現実に支払いが目の前に迫ってから「1週間後にお金が必要だから貸してください」と銀行に駆け込んでいては、もはや手遅れなのです。
融資が実行されるまでの期間は、融資実績がある会社であれば短くても2~3週間程度、初めてその銀行から借りる場合は1か月半から2か月程度は見る必要があります。
融資審査に通らない場合に備えるためにも、余裕をもって3か月前には融資の申込みをするぐらいがベストです。
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