この記事でわかること
- 事業性評価において定性分析が重視される理由
- PESTLE分析を使って外部環境を整理する方法
- SWOT分析で自社の強みを戦略に変える手順
- 銀行融資で評価される経営計画の作り方
なぜ今、「事業性評価」が重視されているのか
金融機関の融資審査において、「事業性評価」の重要性が高まっています。
事業性評価とは、決算書などの財務データだけでなく、
- 技術力
- 顧客基盤
- 市場環境
- 競争優位性
といった、数値だけでは表れない企業の強みを含めて評価する考え方です。
これは、金融機関が単に「過去の実績」ではなく、
「将来も返済できる企業かどうか」
を重視しているためです。
決算書は過去の結果を示すものに過ぎません。
しかし融資判断で重要なのは、「将来の返済能力」です。
その根拠となるのが、定性分析を含めた事業性評価です。
銀行は決算書だけで融資を判断しているわけではない
実務上、金融機関は決算書の数字だけで融資判断をしているわけではありません。
例えば、売上が伸びている企業であっても、
- 一時的な特需によるものなのか
- 市場環境の追い風によるものなのか
- 自社の競争力によるものなのか
によって、評価は大きく異なります。
この違いを説明するのが、定性分析です。
銀行の担当者は、
「なぜこの企業は今後も売上を維持・成長できるのか」
というストーリーを重視します。
つまり事業性評価とは、
「銀行が融資判断を行うための根拠を整理する作業」
とも言えます。
外部環境を整理するPESTLE分析
事業の将来性を検討する際、まず必要なのは外部環境の把握です。
ここで有効なのがPESTLE分析です。
6つの視点から環境を整理します。
政治(Politics)
補助金制度、税制改正、規制の変化など
経済(Economy)
金利、為替、物価、人件費の動向など
社会(Society)
人口減少、高齢化、人手不足など
技術(Technology)
DX、AI、自動化技術など
法的(Legal)
法改正、業界規制など
環境(Environmental)
脱炭素、省エネ対応など
重要なのは、
これらの変化が自社にとって
・機会なのか
・脅威なのか
を整理することです。
SWOT分析で自社の立ち位置を明確にする
次に、自社の内部環境と外部環境を組み合わせて分析します。
これがSWOT分析です。
SWOT分析とは、自社を取り巻く内部要因(「強み」「弱み」)と外部環境(「機会」「脅威」)を現状分析するための手法です。
| 内部要因 外部環境 | SWOT | 説明 |
|---|---|---|
| 内部要因 | 「強み」Strength | ターゲットと比較して自社にとっての経営資源や武器 |
| 「弱み」Weakness | ターゲットと比較して活かせる経営資源が圧倒的に不足している状態 | |
| 外部環境 | 「機会」Opportunity | 可能性のあるカテゴリーや伸びしろ |
| 「脅威」Threat | 自助努力ではいかんともし難いもの |
強み(Strengths)
競合より優れている点
弱み(Weaknesses)
改善が必要な点
機会(Opportunities)
成長につながる外部要因
脅威(Threats)
リスクとなる外部要因
ここで重要なのは、「強み」と「機会」の組み合わせです。
例えば、
強み:高い技術力
機会:人手不足による省力化需要の増加
であれば、
「自社技術によって省力化ニーズに対応できる」
という成長ストーリーが描けます。
これは、融資審査において非常に説得力のある根拠になります。
クロスSWOTで具体的な戦略を導く
さらに分析を進めるために、要素を掛け合わせます。
SWOT分析をマトリックスに落とし込み、組み合わせから戦略を立案する手法を、SWOTクロス分析と言います。
戦略が具体的な内容であるほど、数値に根拠が得られ、損益計画が根拠のあるものになります。
| 内部要因 | |||
| 強み Strength | 弱み Weakness | ||
| 外部 環境 | 機会 Opportunity | ①積極戦略 | ③改善戦略 |
| 脅威 Threat | ②差別化戦略 | ④縮小撤退戦略 | |
強み × 機会(➀積極戦略)
最も成長可能性が高い領域
強み × 脅威(②差別化戦略)
差別化によって競争を回避する領域
弱み × 機会(③改善戦略)
投資によって改善すべき領域
弱み × 脅威(④縮小撤退戦略)
リスク管理が必要な領域
この整理により、
「どこに経営資源を集中すべきか」
が明確になります。
経営計画に落とし込むことが最も重要
分析の目的は、分析そのものではありません。
重要なのは、
経営計画に反映させることです。
例えば、
- 新規設備投資
- 新市場への参入
- 新サービスの開発
などの具体策に落とし込みます。
そして、
なぜその投資で売上が伸びるのか
なぜ返済が可能なのか
を説明できるようにします。
これが、金融機関が評価する経営計画です。
定性分析がある経営計画は融資評価が大きく変わる
金融機関の融資審査では、
単なる売上予測ではなく、
「なぜその売上が達成できるのか」
が重視されます。
PESTLE分析で外部環境を整理し、
SWOT分析で自社の強みを明確にすることで、
売上計画に根拠が生まれます。
この根拠があるかどうかで、
融資の可否や条件は大きく変わります。
事業性評価の本質は「将来の稼ぐ力」を説明すること
事業性評価とは、
企業の「将来の稼ぐ力」を説明する作業です。
決算書だけでは、将来は分かりません。
しかし、
- 外部環境
- 自社の強み
- 成長戦略
を整理することで、
将来の可能性を論理的に示すことができます。
これは、融資だけでなく、
経営判断そのものの質を高めることにもつながります。
まとめ
事業性評価とは、企業の将来性を評価するための重要なプロセスです。
PESTLE分析で外部環境を整理し、
SWOT分析で自社の強みを明確にし、
経営計画へと落とし込む。
この一連の流れによって、
「なぜこの企業は将来も成長できるのか」
を説明できるようになります。
金融機関は、決算書の数字だけでなく、
その数字の背景にあるストーリーを見ています。
数字の裏付けと、定性分析による説得力。
この両方を備えた経営計画こそが、金融機関からの信頼を高め、安定した資金調達につながります。
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