はじめに
銀行から融資を受ける際、決算書がどのような視点で分析されているのかを把握しておくことは、資金調達を円滑に進めるために不可欠です。
銀行員は単に黒字か赤字かを見ているわけではありません。
決算書の各項目から、企業の安定性や将来の返済能力を多角的に分析し、独自のスコアリング(格付け)を行っています。
この記事では、銀行が決算書のどこを重点的に見ているのか、
そして格付けの土台となる4つの評価視点と具体的な財務指標について
詳しく解説します。
この記事で分かること
・貸借対照表(BS)で銀行が真っ先に確認する3つの項目
・返済能力の指標となるフリーキャッシュフローの正確な算出方法
・格付けを決定づける「安全性・収益性・成長性・返済能力」の具体的指標
決算書で銀行がまず注目する貸借対照表の3つのポイント
銀行が企業の健康状態を把握するために、損益計算書よりも重視するのが貸借対照表(BS)です。
貸借対照表は会社がこれまでに積み上げてきた財政状態を示す「履歴書」のようなものであり、
特に以下の3つの箇所は、企業の体力を示す重要なポイントとしてチェックされます。
ひとつ目は、左上に記載されている現預金です。
これは、支払いや返済に即座に充てられる資金がどれだけあるかを示しています。
現預金が豊富であれば、不測の事態でも資金繰りが破綻するリスクが低いと判断されます。
ふたつ目は、右上に記載されている借入金です。
現在の負債総額が、会社の規模や稼ぐ力に対して過大ではないかが見られます。
三つ目は、右下の純資産です。
ここがプラスであれば、これまでの利益の蓄積があることを意味します。
自己資本比率が高いほど、倒産しにくい安定した会社であると評価されます。
逆に、ここがマイナスの状態である債務超過は、銀行にとって極めて慎重な判断を要する状態と言えます。
利益よりも重視される返済能力の考え方
銀行は「実際に返済に回せる現金がいくら残るか」を極めて重視します。
この返済原資を測る指標がフリーキャッシュフローです。今回の定義では、以下の計算式で算出します。
フリーキャッシュフロー = 経常利益 + 減価償却費 – 法人税等
経常利益に、会計上の費用であっても実際には現金の流出を伴わない減価償却費を足し戻し、最終的に支払うべき法人税等を差し引きます。
このフリーキャッシュフローが、年間の借入返済額を安定して上回っているかどうかが、
継続的な融資を受けられるかどうかの分かれ目となります。
格付けを左右する4つの視点と具体的な指標の解説
決算書の数字を点数化する際、銀行は企業の状況を
「安全性」
「収益性」
「成長性」
「債務返済能力」
の4つの視点で評価します。
それぞれの主要な指標の内容を詳しく見ていきましょう。
1. 安全性の視点:企業の倒産しにくさを測る
会社が安定的に返済できる基盤があるかを見ます。
・自己資本比率:
自己資本がどれだけの割合を占めているかを示し、
30パーセント以上で一定の評価、60パーセント以上で満点となります。
・ギアリング比率:
自己資本に対する負債の比率です。
50パーセント未満で評価が高く、250パーセント以上だと評価が下がります。
・固定長期適合比率:
固定資産が長期的な資金で賄われているかを見ます。
100パーセント以内が望ましい水準です。
・流動比率:
短期的な支払い能力を測る指標で、140パーセント以上が望ましいとされています。
2.収益性の視点:効率よく稼ぐ力を測る
企業がどれだけ利益を上げる力を持っているかを見ます。
・売上高経常利益率:
売上高に対する経常利益の割合を示します。
4パーセント以上で満点となり、最低でも2パーセントを確保したいところです。
・総資産経常利益率(ROA):
経営効率を示す指標で、3パーセント以上が目安です。
・当期利益の推移:
過去2期連続で黒字でなければ評価対象にはなりません。
3.成長性の視点:今後の発展性を測る
企業の勢いや規模を評価します。
・経常利益増加率:
15パーセント以上の成長が目標とされています。
・売上高(規模):
事業の規模そのものが評価の対象となります。
・自己資本額:
自己資本が1億円以上であれば、プラス評価となります。
4.債務返済能力の視点:借金を返す力を測る
融資を受けた後、きちんと返済できる能力があるかが最も重視されます。
・債務償還年数:
返済能力を示す指標で、短いほど評価が高いです。1年未満で満点を得ることが目標です。
・償却前営業利益(EBITDA):
営業利益と減価償却費を合算したものです。融資の利息支払い能力を評価します。
・インタレスト・カバレッジ・レシオ:
事業利益が利息を支払う能力を示す指標で、3倍以上が理想とされています。
まとめ
銀行融資を成功させるためには、決算書の見栄えを整えるだけでなく、
これら4つの視点でバランスよく評価を得ることが求められます。
貸借対照表の構造を整え、現金の裏付けがある返済能力をしっかり示すことができれば、
銀行からの評価は確実に高まります。
自社の決算書を今回ご紹介した視点で見直し、改善できるポイントから着手していくことが、
安定した資金調達への近道となります。
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またどの指標を優先的に改善すれば融資の条件が良くなるのかを把握することは、安定経営の第一歩です。
現在の財務状況に基づき、将来の資金調達を円滑にするための具体的な設計を提案いたします。
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