この記事で分かること
- 実績資金繰り表を短時間で作成する具体的ステップ
- 銀行がチェックしている「資金繰り表の重要ポイント」
- どんぶり勘定から「数字に基づいた経営判断」へ変える方法
- 資金ショートの兆候をいち早く察知するための自己診断
はじめに
「売上は順調、利益もしっかり出ている。なのに、なぜか通帳の残高が心もとない……」。
多くの中小企業経営者が直面するこの悩み。
その原因は、損益計算書だけでは見えない「現金の動き」にあります。
会社を存続させるために最も重要なのは、利益ではなく「現金(キャッシュ)」です。
どんなに黒字であっても、支払いの瞬間に現金がなければ、会社は「黒字倒産」という最悪の結末を迎えてしまいます。
このリスクを回避し、自信を持って経営の舵取りを行うための武器が「資金繰り表」です。
今回は、専門的な会計知識がなくても取り組める、実績資金繰り表の作り方と、
作成した表のどこに注目すべきか、その「見方」の要点を詳しく解説します。
損益計算書では「お金の正体」は掴めない
まず、なぜ決算書(損益計算書)だけでは不十分なのかを整理しましょう。
損益計算書は「発生主義」といって、商品を売ったタイミングで利益を計上します。
しかし、実際に入金されるのは1ヶ月先、2ヶ月先ということが一般的です。
一方で、借入金の元金返済や、多額の設備投資、在庫の積み増しなどは、損益計算書には直接現れません。
つまり、「帳簿上の利益」と「手元の現金」には必ずズレが生じます。
このズレの正体を解明し、現金の流れを透明化するのが資金繰り表の役割です。
実績資金繰り表をスムーズに作成する3つの手順
資金繰り表は、1円の狂いもなく合わせることよりも、まずは「全体像を早く掴むこと」が重要です。
以下の手順で作成を進めてみましょう。
◆ 手順1:必要な資料を揃える
手元に「預金通帳(または預金出納帳)」「現金出納帳」「借入金の返済明細書」を用意します。
基本的には、通帳の動きを転記していく作業が中心になります。
◆ 手順2:3つの区分に分類する
お金の出入りを、以下の3つの箱(区分)に分けて整理します。
- 経常収支:
日々の商売(売上入金、仕入・経費支払い、給与など)
- 設備収支:
未来への投資(機械や車両の購入、店舗改装など)
- 財務収支:
銀行とのやり取り(融資の実行、元金の返済など)
◆ 手順3:消費税込みで集計する
ここが間違いやすいポイントですが、資金繰り表は「実際にお金が動いた額」を記録するため、必ず「消費税込み」で集計します。
また、減価償却費のような「お金の動きを伴わない経費」は一切含めません。
資金繰り表の「どこ」を見れば良いのか?4つのチェックポイント
表が完成したら、次にすべきことは「分析」です。経営者が特に注視すべきは、以下の4点です。
◆ ポイント1:経常収支がプラスで安定しているか
「本業の商売で、毎月しっかりお金を残せているか」を確認します。
ここが恒常的にマイナスの場合、商売をすればするほどお金が減っている状態です。
売価の設定や経費の見直し、回収サイクルの改善が急務となります。
◆ ポイント2:返済後のキャッシュフローは残っているか
経常収支から「借入金の元金返済」を差し引いた後の金額が、プラスになっているかを確認してください。
もしマイナスであれば、本業で稼いだお金以上に返済が進んでおり、いずれ手元の現預金が底を突く恐れがあります。
◆ ポイント3:設備投資のタイミングと財源は適切か
多額の設備投資を行う際、それを「手元の現金(経常収支の蓄積)」で賄うのか、「融資(財務収支)」で賄うのかを判断します。
無理な現金投資が、後の運転資金不足を招いていないかをチェックします。
◆ ポイント4:3ヶ月後の「翌月繰越」はプラスか
実績表をベースに、向こう3ヶ月程度の予定を書き込んでみましょう。
先々の残高が一度でもマイナスになる予測が出たならば、それが「資金ショート」のシグナルです。
早めに銀行への融資相談や支払い調整に動くことができます。
銀行は資金繰り表の「信憑性」を見ている
銀行から融資を受ける際、資金繰り表の提出を求められることがあります。
銀行員が最も見ているのは、「この会社は、貸したお金を本業の稼ぎから返せるのか?」という点です。
実績と大きくかけ離れた希望的観測ばかりの予定表を出してしまうと、かえって不信感を招きます。
実績資金繰り表を毎月作成し、実態に基づいた計画を提示できる経営者は、銀行からも「管理能力が高い」と評価され、融資の相談がスムーズに進みやすくなります。
まとめ
「資金繰り表の作成」と聞くと、難しく、面倒な事務作業のように感じるかもしれません。
しかし、その本質は「自社の命を守るための健康診断」です。
まずは1円単位の正確さにこだわらず、ざっくりとでも良いので、直近1年間の現金の動きを3つの区分で整理してみてください。
数字が「見える化」されるだけで、漠然とした不安は「具体的な課題」へと変わり、次の一手が明確になります。
安定した経営の土台を作るために、今日から資金繰り表の運用を始めてみましょう。
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