返済期間の長短が影響するもの
融資の申込みをする際、最も気になるのは「金利負担」と考える経営者は多いです。
銀行の融資金利は、企業毎に行われる自己査定や経済情勢にもよりますが、おおよそ、短期融資で年0.5%~2.0%程度、長期融資では年1.0%~3.0%程度と言われています。
確かに、融資を受けるのであれば、少しでも金利負担を減らしたいと思うのは当然ですが、そこだけで判断すべきではありません。
融資期間、つまり「返済期間を何年にするのか」は資金繰りを考える上で、非常に重要です。
特に設備資金は長期で借りるため、キャッシュフロー(経常利益+減価償却費ー法人税等)が返済財源となります。ゆえに、手残りを確保するには、月々の返済を抑えた長めの融資を検討すべきなのです。
これにより資金繰りが安定するのです。
企業は取得した設備を長期間にわたり使用して、投資した資金を回収するということを考えれば、よほど資金繰りに余裕がある場合を除き、使用期間に応じた返済にするのが望ましいです。
融資期間とメリット(〇)・デメリット(▲)
| 返済期間 | 資金繰り | 金利 |
|---|---|---|
| 長い | 〇 楽 | ▲ 高い |
| 短い | ▲ 厳しい | 〇 低い |
上記以外の論点としては、短い返済期限でも返し切ることが出来るのであれば、銀行に対して「返済した」という実績を作ることが出来るため、次回の融資の際にその点は考慮されるメリットはあります。
事例検討
<ケース1>
キャッシュフロー(経常利益+減価償却費ー法人税等)は毎年500万円
金利3%、借入期間10年、借入額3,000万円の場合
(⇒横スクロール)
| キャッシュ フロー① | 元金・ 返済② | 期首残高 | 利息③ | 元利支払 ④=②+③ | 手残り (①ー④) | ||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1年目 | 500 | 300 | 3,000 | 90 | 390 | 110 | |
| 2年目 | 500 | 300 | 2,700 | 81 | 381 | 119 | |
| 3年目 | 500 | 300 | 2,400 | 72 | 372 | 128 | |
| 4年目 | 500 | 300 | 2,100 | 63 | 363 | 137 | |
| 5年目 | 500 | 300 | 1,800 | 54 | 354 | 146 | |
| 6年目 | 500 | 300 | 1,500 | 45 | 345 | 155 | |
| 7年目 | 500 | 300 | 1,200 | 36 | 336 | 164 | |
| 8年目 | 500 | 300 | 900 | 27 | 327 | 173 | |
| 9年目 | 500 | 300 | 600 | 18 | 318 | 182 | |
| 10年目 | 500 | 300 | 300 | 9 | 309 | 191 | |
| 計 | 3,000 | 495 | 3,495 |
<ケース2>
キャッシュフロー(経常利益+減価償却費ー法人税等)は毎年500万円
金利1%、借入期間5年、借入額3,000万円の場合
(⇒横スクロール)
| キャッシュ フロー① | 元金・返済② | 期首残高 | 利息③ | 元利支払 ④=②+③ | 手残り (①ー④) | ||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1年目 | 500 | 600 | 3,000 | 30 | 630 | ▲130 | |
| 2年目 | 500 | 600 | 2,400 | 24 | 624 | ▲124 | |
| 3年目 | 500 | 600 | 1,800 | 18 | 618 | ▲118 | |
| 4年目 | 500 | 600 | 1,200 | 12 | 612 | ▲112 | |
| 5年目 | 500 | 600 | 600 | 6 | 606 | ▲106 | |
| 計 | 3,000 | 90 | 3,090 |
【分析】
〇借入期間(資金繰り)
各年の資金繰りへの負担(元利合計④)は<ケース1>は300万円台、<ケース2>は600万円台であり、期間が長い<ケース1>の方が分割期間が長くなり、返済の負担が減少されます。
<ケース1>・・・〇
<ケース2>・・・▲(元利支払いがキャッシュフローを超過。手元資金がどんどん減っていく。)
〇金利
利息③の合計から見れば、<ケース2>5年融資の方はトータル90万円で、<ケース1>10年融資の方のトータル495万円より少なくて済みます。これは5年融資の方が金利が安いためです。
期間が長いうえ、長期の貸倒れリスクを考慮した高い%が設定されているからです。
<ケース1>・・・▲
<ケース2>・・・〇
| 返済期間 | 資金繰り | 金利 | |
|---|---|---|---|
| ケース1 | 長い | 〇 楽 | ▲ 高い |
| ケース2 | 短い | ▲ 厳しい | 〇 低い |
まとめ
融資の条件として、多くの経営者はどうしても借入金利に目が向いてしまいます。利息は安いに越したことはありませんが、まず第一に考えるべきは、手元になるべく多くのキャッシュを残すということです。
手元にキャッシュがなくなると、仮に損益計算書で利益が出ていても、最悪の場合倒産します。
上記の<ケース1>は、10年トータルの金利負担は大きいですが、資金ショートで倒産するリスクは<ケース2>より軽減されます。
<ケース2>では、下手をすると、5年持たずに倒産してしまうかもしれません。
長く借りれば金利負担は確かに多くなってしまいますが、元本返済が多すぎて、会社の利益が全部返済に充てられるというのは健全とは言えません。
融資条件を銀行と詰める際、何年で返済するかという論点は、ある意味、金利よりも重要です。
とくに設備資金は、融資開始時点で借入期間をいったん決めてしまうと、あとで借換えやリスケにより、借入期間を延伸することは、交渉のハードルは非常に高くなってしまいます。
資金繰り予定表で十分なシミュレーションをして、合理的な期間で融資の申込みをするようにしましょう。
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