融資形態の使い分け
融資資金は、目的に応じて「設備資金」と「運転資金」に分類されます。
設備資金
・資金使途 ⇒ 特定の設備の購入(見積書の提出を求められる)
・返済期間 ⇒ 7~15年程度と長め
・返済財源 ⇒ キャッシュフロー(経常利益+減価償却費ー法人税等)
運転資金
・資金使途 ⇒ 入金と出金のタイムラグから生じる資金ニーズ、成長投資
・返済期間 ⇒ 数か月~7年程度(短め)
・返済財源 ⇒ 短期継続融資であれば元本返済は考慮不要(借りっぱなし)、長期融資で受ける場合はキャッシュフロー(経常利益+減価償却費ー法人税等)
このように、資金使途や返済期間が異なるため、融資の形態を使い分ける判断が必要となります。
融資形態と借入れの難易度
金融機関の一般的な融資形態とその難易度(借りやすさ、借りにくさ)は以下のとおりです。
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| 融資形態 | 内容 | 短期・長期 | 難易度 |
|---|---|---|---|
| 手形割引 | ・商取引に基づき振り出された商業手形を所有する企業が、支払期日前に金融機関に割引料(利息)を支払い、買い取ってもらうことにより資金調達をする方法 ・銀行取引約定書を交わしていない企業からの手形割引は応じない ・割引した手形が不渡りとなれば、割引を依頼した企業に買戻し義務 | 短期融資 | 銀行:リスク低 (手形が不渡りにならなければ回収可能) 企業:借りやすい【易】 |
| 手形貸付 | ・借入の実行に当たり、借用証書の代わりに借入金額と同額の約束手形(金融機関宛)を振り出して資金を借り入れる方法 | 短期融資 | 銀行:リスク低 (短期であり、手形が担保となるため貸倒れリスクが低い) |
| 証書貸付 | ・借主が借入れについての内容、条件等を記載した借用証書(金銭消費貸借契約書)を貸主に差し入れて資金を調達する方法 | 長期融資 (短期融資もある) | |
| 当座貸越 | ・当座勘定貸越約定書に基づき設定された極度額(限度額)までは自由に資金を借りたり返したり出来る方法 ・必要な時にすぐに資金を借りることが出来るので、借り手にとっては都合がよいが、財務内容がよい企業でなければ審査は通らない ・契約期間は1~2年程度で、期間満了後は更新手続きが必要 | 短期融資 | 銀行:リスク高 企業:借りにくい【難】 |
その他の融資形態としては以下もあります。
| 融資形態 | 内容 |
|---|---|
| 代理貸付 | 金融機関が他の金融機関(政府系金融機関等)からの委託を受けて、委託金融機関に代わって融資の実行、担保の取得、実行後の資金管理等の融資業務を代行するもの。委託金融機関が融資の債権者となり、受託金融機関は代理人・代理店という位置付けになる。 |
| ABL (動産・債権担保融資) | 企業の保有する在庫や売掛債権、機械設備等の動産あるいは知的財産等の担保価値に基づいて資金調達を行う方法。担保となった在庫の販売、売掛金の回収、機械設備の使用など企業活動に支障はない。(民法の譲渡担保) |
貸借対照表で見る融資形態
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| 貸借対照表 | 資金使途等 | 融資形態 | 手法等 | 返済財源 |
|---|---|---|---|---|
| [流動負債] 短期借入金 | 経常運転資金 | 手形割引 手形貸付 証書貸付 当座貸越 | 「手形貸付」の書換による短期継続融資 (返済期日到来時に手形貸付の書換えで融資をつなぎ、返済を延長する) | 継続融資につき、元本の返済はない 利息の支払いのみ |
| [固定負債] 長期借入金 | 設備資金 | 証書貸付 | 約定弁済(元利支払い) | フリーキャッシュフロー(利益+減価償却費)による分割返済 |
| 財務内容悪化 短期⇒長期 | 手形貸付 | 手形貸付の書換継続 | 借入金の固定化(資本性借入金化) | |
| 当座貸越 | 更新不可の場合 | 分割弁済 |
経常運転資金は短期継続融資が基本です。仮に「証書貸付」による約定弁済(長期借入金)で組んでしまうと、毎月の売上代金が返済に回ってしまうため、仕入れが出来なくなります。
「長期融資の方が資金繰りが楽」との思い込みは大変危険で、もし経常運転資金を長期で組んでしまった場合は、返済に見合う利益が確保されたうえで、自社にも利益がさらに残るぐらいでないと難しいと言えます。
使い勝手がよい当座貸越
当座貸越は、つなぎの運転資金の発生頻度が高い業種(建設業、IT業、製造業、卸売業など)においては使い勝手がよい融資となります。極度額の枠内であれば、借りたり返したりが自由にできるため、売掛金、在庫、棚卸資産が現金化されるまでの間の資金不足を補うことが出来ます。
貸借対照表上に売上金や棚卸資産がない企業(現金商売、不動産業、不動産賃貸業など)であっても、季節変動や資金繰りに波がある企業においては、当座貸越枠を与えられる場合があります。
ただ、銀行も貸倒れリスクを回避したいため、当座貸越枠を与えるのは、財務内容が良好な企業です。手元現預金が多い会社も「しばらく倒産しない」という見られ方をするため、当座貸越が設定されやすいです。
当座貸越枠を与えられる企業は、銀行から優良と認められている証となるため、まだ枠を持たない企業は一度銀行に申し出てみるのも良いかもしれません。
まとめ
融資形態は様々あり、資金使途に応じて使い分けを意識しましょう。
経常運転資金は「手形貸付」や「当座貸越」などを使って短期融資で申し込みます。当座貸越は優良企業の証ともなるため、銀行に対し申出てみるのが良いでしょう。
一方、設備資金は「証書貸付」となり、フリーキャッシュフローの範囲内で毎月の返済を行うこととなります。資金繰り予定表を作り、返済に無理のない範囲で借入れを行うようにしましょう。
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